B.A.D.チョコレートデイズ(1) の商品レビュー
短編集という事も有ってか、本編よりも若干ライトな印象を受けるね それでもあざかと出逢ったばかりの頃の小田桐を描いた過去編などは彼に容赦なく地獄を突き付けるのだけど 『僕が「繭さん」と呼ぶ理由』 腹に鬼を宿してから半月しか経っていない事も有り、このEPの小田桐は芯から厭世的。お...
短編集という事も有ってか、本編よりも若干ライトな印象を受けるね それでもあざかと出逢ったばかりの頃の小田桐を描いた過去編などは彼に容赦なく地獄を突き付けるのだけど 『僕が「繭さん」と呼ぶ理由』 腹に鬼を宿してから半月しか経っていない事も有り、このEPの小田桐は芯から厭世的。おまけにあざかへの信頼も特に無いものだから彼には寄辺となる何かすら無い そんな彼がどうしてあざかの傍で生きると決めたのか、という小田桐の根源に関わる点が描かれているね 怪異自体はホラー風味で恐ろしさは有るのだけど、実害に繋がる危険性は低い為かこの話で主題となるのはどのように怪異の正体を暴くかではなく、自分の意志でどうとでもなる現実的な死を前に小田桐が何を選択するか?という点かな あざかの本性を理解して、自分に救いなど無いと実感して… その上で彼が選んだ生き方の本質はとても単純でありながら、彼という人がひとまず生を選ぶには揺るがしようがない程に強い感情であるように思えたよ 『私が先輩に恋した非日常』 読み終わって気付いたけど、サブタイトルで「恋した」って明言していたのか 本当に普通の女の子でしか無い梓が嵯峨と関わり始め、その繋がりを維持しようと決意するまでの物語 本作って出逢う事件がヤバすぎるものばかりである為か普通の子って中々居ないだけに吃驚するくらいに普通な梓は貴重に思える そんな彼女だから出逢う怪異も普通の枠から踏み外したものとはなっていないね。学校の七不思議なんて本作で扱うにしては可愛らしい類 そんな印象を抱くだけに普通の梓が異常の塊でしかない嵯峨にどうして惹かれるのかは驚きを伴って興味を覚えてしまう 友達相手には話を聞いていないなんて呆れられる彼女が自ら動く形で近付いた金髪の不良。それは彼女の積極性であり運命的な望みなのかもしれないと思えたよ 『狐の生まれた日』 小田桐の旧友でありつつ宿敵と言えるあさとが今の形となるまでの物語 このEPを見ると、あざかは最初から繭墨あざかとして完成されていたが、あさとはあざかとしての生き方を失った事もあってか非常に中途半端で曖昧な存在だったようで この頃の彼が何者であったのか、という点は終盤にあざかが存分に語っているね。それによって判るのはあさとが自分をどこまでも偽っている点 その意味ではこのEPで語られる彼のモノローグの大半が信頼ならないと云う話になる 面白いのは彼が己というものが無いと思い込んでいるのに、当初からあざかへの憎しみは持ち合わせている点 でも、己を偽る彼は自分の感情を認めない。だからこそ、外部から与えられた感情に則って行動しているという体裁を取れる状況をこそ欲したと言える。絹は最初の踏み台とするには丁度よい相手だったようで ただ、一方であさとが絹に対して母性を見出していたのではないかと深読みすると更にあさとという人物が見えてくる気がしないでもない 実母から憎しみに似た願いを与えられながら叶えられず、親から普通の愛情は一切向けられず そんな彼にとって思惑が有ったとしても、愚かなまでに愛を思わせる感情を向けてきた絹は特異な存在だったんじゃなかろうかと思ってしまう けれど、あさとは自分を偽って他人で己を満たそうとするから絹を地獄に追い詰めて ならば、得も損もなく手を取ってくれた特異な存在である小田桐に抱いた感情もあさとにとって、きっと間違えてはならないものだったのだろうなぁ… けど、それを間違えてしまうからあさとは狐でしかないと…… 最後の最後に自らの意思で小田桐を憎んだ彼は何だかんだ言って、小田桐という人間が好きだったんだろうな
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繭墨と小田桐、嵯峨雄介、あさと、この3組の短編集。 時系列はバラバラだが、小田桐とあさとの話はB.A.Dを構成する最初の駒になっていると感じた。短編でもそれぞれに人の醜さ、意地汚さ、狡猾さとひと掬いの優しさがよく書かれていて、性悪説という言葉が頭を過ぎる。読了した後のなんとも言え...
繭墨と小田桐、嵯峨雄介、あさと、この3組の短編集。 時系列はバラバラだが、小田桐とあさとの話はB.A.Dを構成する最初の駒になっていると感じた。短編でもそれぞれに人の醜さ、意地汚さ、狡猾さとひと掬いの優しさがよく書かれていて、性悪説という言葉が頭を過ぎる。読了した後のなんとも言えない後味の苦味、唯一何も変わらない繭墨の希少さが最後に残る。
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呼ぶ理由、恋をした非日常、狐に生まれた日、の短編集。 こういう理由だったのか、という昔の話。 誰しも過去は引きづりますが、決別する事もできます。 といえばシリアスですが…いや、内容はシリアスですが この人と一緒にいる事に、さらなる不安を憶えます。 金属バットをいつも振り回して...
呼ぶ理由、恋をした非日常、狐に生まれた日、の短編集。 こういう理由だったのか、という昔の話。 誰しも過去は引きづりますが、決別する事もできます。 といえばシリアスですが…いや、内容はシリアスですが この人と一緒にいる事に、さらなる不安を憶えます。 金属バットをいつも振り回している彼、が出てくる話。 人についていくばかりで、自分で考えない主人公。 確かにこれはいらつくでしょうが、それはそれで 本人にきっちりと伝えた方がよろしいかも? 伝えない優しさなのか、伝える優しさなのか。 自分を自分として認識して、生まれ変わった日。 大事な事ではありますが、完全に認識が間違ってます。 見たくないものから目をそらすとこうなりますよ、な 末路見本、という感じです。 本人が道しるべを見つけたのなら、いい事、でしょうか?
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シリーズ番外編第1弾。短編3本を収録しています。 第1話「僕が「繭さん」と呼ぶ理由」は、あさとによって静香を壊された小田桐が、あざかの助手となった直後の物語です。 第2話「私が先輩に恋した非日常」は、立花梓(たちばな・あずさ)という少女が主役を務めます。学校の怪談に巻き込まれ...
シリーズ番外編第1弾。短編3本を収録しています。 第1話「僕が「繭さん」と呼ぶ理由」は、あさとによって静香を壊された小田桐が、あざかの助手となった直後の物語です。 第2話「私が先輩に恋した非日常」は、立花梓(たちばな・あずさ)という少女が主役を務めます。学校の怪談に巻き込まれた彼女が、不良少年と目されている嵯峨雄介と知り合い、彼の助けを得て事件を解決する話です。 第3話「狐の生まれた日」は、「繭墨あざか」の役目から追われ屋敷に飼い殺しにされていたあさとが、屋敷を飛び出して狐の仮面をかぶって生きることを決めるまでの経緯が描かれています。 第1話、第3話は、本編と同じようなテイストの作品です。第2話は、主役を張る梓と雄介のキャラクターのせいか、若干コミカルな作風になっているような気がします。
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全体的に面白かったが、 所々首をひねりたくなるシーンがあった。 嵯峨雄介を好きになれた一冊。
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『B.A.D.』シリーズの短編集。 本編ではあまり触れられない隠れたお話がぎゅっと詰まってます。 新たな視点で読めるので楽しいです。
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グロと独特の雰囲気で魅了してくるB.A.Dシリーズの短編集(というには1編1編が長い気がするけど・・・)。 WEBで連載されていた小田桐が繭墨あざかを呼ぶようになった話、本編からは全く想像もつかない嵯峨雄介に恋した女子の話の2つに加え、書き下ろしで繭墨あさとが狐となる瞬間の話が...
グロと独特の雰囲気で魅了してくるB.A.Dシリーズの短編集(というには1編1編が長い気がするけど・・・)。 WEBで連載されていた小田桐が繭墨あざかを呼ぶようになった話、本編からは全く想像もつかない嵯峨雄介に恋した女子の話の2つに加え、書き下ろしで繭墨あさとが狐となる瞬間の話が入っている。 B.A.D.シリーズ読んでいる人にはとても大きな影響与えることまちがいなし。 以下各短編の感想 『僕が「繭さん」と呼ぶ理由』:話の時系列的にも1巻の前で小田桐のある種のウザさ、腹の子に対する認識とかが前のままなのでせっかく4巻まででよくなってきた流れが完全にないから結構読みにくかった。 『私が先輩に恋した非日常』:嵯峨雄介は本編では実にアレな人で本短編でもそのキャラはブレていないんだけど、彼女(立花梓)の方が健気過ぎる。結末はやっぱりこのシリーズならではって感じで、梓は多くのものを失うけど小田桐と違っていい方向に進んでる気がする・・・よくわからないけど。 『狐の生まれた日』:あさとが一体どんな人間(?)だったのかがよくわかる話。自分が宗家で唯一の存在だったはずなのがあざかの登場でアイデンティティが失われ、本人も気づかぬうちに歪んでいく感じがなんというか、このシリーズらしいところで読んでて不覚にも一種の快感を得てしまった。 あざかの忠告とその後すぐの「狐」誕生の瞬間の「キタ━(((゚∀゚)))━!」感が半端ない。すっかりこのシリーズに毒されてる。うん。
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てっきりあってもなくてもいいレベルのサイドストーリーかと舐めてたら・・・、必読でしょう、これは。4巻でひとつの幕を下ろしたタイミングだから書けたのでしょうけど、狐に関しては、この話を読んでピースがほぼ埋まったような感じがしました。書き下ろしらしいのでこの本でしか読めません。 ...
てっきりあってもなくてもいいレベルのサイドストーリーかと舐めてたら・・・、必読でしょう、これは。4巻でひとつの幕を下ろしたタイミングだから書けたのでしょうけど、狐に関しては、この話を読んでピースがほぼ埋まったような感じがしました。書き下ろしらしいのでこの本でしか読めません。 雄介の話も非常によかった。彼の壊れたところに変わりはないのに、彼らしいアプローチというか他人との距離を保ち、こういうストーリーが展開されたのは少々驚きに値します。作者もそのつもりがあるようなので是非続編というかスピンオフ作品をつくって欲しい。 1話目の話が一番重いと作者は語ってましたが、まあ否定するほどでもないですが、なんかすぅーと入ってしまいましたね。重いことは重いんですが、このシリーズを気に入っている人なら、やはりおもしろいという言葉が合う内容だったんじゃないでしょうか。 ある意味、芝居がかったような語りやキャラクタの所作は好き嫌いあるところかもしれませんが、改めて今一番気に入っている作品のひとつだなと再認識しました。悪趣味と言われそうですけど。
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まるまる一冊折原臨也という人間の物語。ほんとこいつはキャラぶれねーなー一巻当初から。シズちゃんは(萌えキャラへと)変化してきているけれども、第三者のラスボスのぶれなさに安心します。ヤスダさんの挿絵の趣味に吹きだしつつ。
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