死刑執行人の日本史 の商品レビュー
死刑判決と死刑執行を区別し、現代の死刑執行における法律の不備はなるほど理解できたが、それを明らかとするために書かれた本であるのに、この大仰なタイトルの付け方には疑問が残る。さらには筆者の死刑反対意見が随所で透けて見え、もちろんその考え方を否定するわけではないが、確固たる意志をもっ...
死刑判決と死刑執行を区別し、現代の死刑執行における法律の不備はなるほど理解できたが、それを明らかとするために書かれた本であるのに、この大仰なタイトルの付け方には疑問が残る。さらには筆者の死刑反対意見が随所で透けて見え、もちろんその考え方を否定するわけではないが、確固たる意志をもって眺める歴史観には、多少の偏りが生じるものだ。ということで、法律と慣習の歪みの一例としてのみ記憶しておくにとどめる次第。
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死刑について、死刑そのものより死刑を執行させられる刑務官に焦点を当てた本。 著者が友人でもあるため、彼の活人論について予備知識があり、 とても興味深く読めた。 漫画や映画などで例える箇所が多々あり、学術書としては柔軟性がある。 日本史と題するだけあって、中盤の死刑の歴史について詳...
死刑について、死刑そのものより死刑を執行させられる刑務官に焦点を当てた本。 著者が友人でもあるため、彼の活人論について予備知識があり、 とても興味深く読めた。 漫画や映画などで例える箇所が多々あり、学術書としては柔軟性がある。 日本史と題するだけあって、中盤の死刑の歴史について詳細にかつわかりやすく書かれており、勉強になった。 後がきでも少し触れていたが、今回の本は死刑執行人へと論点を当ててなぜ殺させられる職務の人がいるのかといった議題提示であったけど、その解決編というべきか、彼なりの結論を今後読んで見たいと思った。
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大上段に振りかぶっただけの序論。その後腰砕けに。というのも、現実の制度としての死刑について、どうして司法手続と行政手続にすっぱり分けて論じることができるのか、理解に苦しむ。また、旗幟を鮮明にせずこの問題を論じるの卑怯だと思う。要は、「人文科学」の論にありがちな思考実験的な論に終始していると言わざるをえない。それに、簡単に手に入る「二次資料」を集めて、とりあえず時間軸上にプロットしただけ。これを「歴史社会学」とはおこがましい限り。この分野に関心を持ってある程度知識がある者にとっては得るものはない。なによりも、致命的なのは、読み物としても面白く無いこと。 ここの出版社のこのシリーズは、それほどすぐれてもいない修士論文を単行本化していることが多かったはず。取扱注意。
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