天文屋渡世 の商品レビュー
中公文庫の「天文台日記」が面白かったので本書を手に取った。東大岡山天文台に24年間勤務した天文学者なので星、星座、岡山、星の先達の野尻抱影等の随筆が主なのは当然だが、山の話題、若き日の恋愛、歌舞伎、能狂言、クラシック等の話題も有りその幅の広さと質の高さに驚かされる。理系、文系を軽...
中公文庫の「天文台日記」が面白かったので本書を手に取った。東大岡山天文台に24年間勤務した天文学者なので星、星座、岡山、星の先達の野尻抱影等の随筆が主なのは当然だが、山の話題、若き日の恋愛、歌舞伎、能狂言、クラシック等の話題も有りその幅の広さと質の高さに驚かされる。理系、文系を軽々と乗り越える教養の高さはやはり旧制中学、高校教育の賜物なのか。
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みすず書房の大人の本棚シリーズに新しい本が仲間入り。天文学者にして優れた教養人でもあったエッセイスト・石田五郎のこの作品である。1988年に筑摩書房から刊行されたものを改めて復刻したものだ。星と文学と古典芸能を織り交ぜたエッセイの珠玉のような数々。若き日の淡い片思いには、シューベ...
みすず書房の大人の本棚シリーズに新しい本が仲間入り。天文学者にして優れた教養人でもあったエッセイスト・石田五郎のこの作品である。1988年に筑摩書房から刊行されたものを改めて復刻したものだ。星と文学と古典芸能を織り交ぜたエッセイの珠玉のような数々。若き日の淡い片思いには、シューベルトの歌曲と共に夜空を仰いだ際の星・みなみうお座のフォーマルハウトの輝きが寄り添っている。単なる趣味人ではない、ユーモアに満ちた文才を持つこのような天文学者いや天文屋が日本にいたことに嬉しさを覚える。
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