カラスと髑髏 の商品レビュー
世界史の闇を縦横無尽に次代を駆け巡って暴き立てるノンフィクションです。こういう話を読んでいると、残酷な世界でそれでも自分たちがこうして生きなくてはならないということにたまらなく悲哀を感じます。 この本はいわゆる、世界史の裏側を読み解いた本になるわけで、最初に読んだときには筆者の...
世界史の闇を縦横無尽に次代を駆け巡って暴き立てるノンフィクションです。こういう話を読んでいると、残酷な世界でそれでも自分たちがこうして生きなくてはならないということにたまらなく悲哀を感じます。 この本はいわゆる、世界史の裏側を読み解いた本になるわけで、最初に読んだときには筆者の口語体を用いた文体に幾分面食らいました。俗語を使った口語体の歴史書は初めて読んだのでそれになれるためには少し時間がかかりました。しかし、この本にはそれを補って余りあるくらいの情報量があって、読み終えるまでにはすごく骨が折れました。古代から中世、さらにブッシュ政権時代に至るまで厳然と貫かれているのは、強欲によって世界が突き動かされているという事実でした。 そしてそれを崇拝するのがスカル・アンド・ボーンズや海賊の旗などに代表されるされこうべ―髑髏であるということを詳細に語っております。いやはや…、恐ろしいな。こういう獰猛な部分を持った人間の部分に唖然とし、また恐れおののいている自分がおります。それにしても、よく作者はこういう膨大な時間の流れをひとつの本にまとめたもんだなとその手腕に脱帽します。 この本を読んで感じたことは世界は決して『平等』ではないということ。何人かの人間によって暴かれていますが、それでも公には決して明かされることのない、世界を裏で動かしている『怪物』が今でも脈々と生きているのだな、ということでした。つくづく恐ろしい現実を突きつけられます。この世界に横たわっている『真実』を知りたい方はどうぞお読みになっていただけるとうれしく思います。
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冒頭からルイス・キャロルのことを「彼女」とか言ってて「あ、だめだこりゃ」感いっぱいで読み始めたけど。 トンデモ本の上に文体が寒く、目が滑って滑って何を言っているのかさっぱりわからず脱落。
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副題に「世界史の闇のとびらを開く」とあり、表紙をめくると”神話崩しの物語と書かれている怪しさ満点の一冊。著者は自分自身のことを魔術師と呼び、膨大な知識を軽いタッチで語り出す。その怪しさに妙にリアリティがあるからタチが悪い。あれよあれよという間に日本の初源の姿が露わになり、日本と世...
副題に「世界史の闇のとびらを開く」とあり、表紙をめくると”神話崩しの物語と書かれている怪しさ満点の一冊。著者は自分自身のことを魔術師と呼び、膨大な知識を軽いタッチで語り出す。その怪しさに妙にリアリティがあるからタチが悪い。あれよあれよという間に日本の初源の姿が露わになり、日本と世界がつながる。最後まで油断のできない一冊である。 ◆本書の目次 第一部 日本・アジア編 第一章 「初源の物語」への旅 第二章 太陽から飛び去ったカラス 第三章 生命の原郷・熊野 第四章 馬と刀の道 第五章 ”アメリカ橋”を渡った果てに 第二部 ヨーロッパ・アメリカ編 第六章 ヨーロッパ精神の初源の光景 第七章 「クリスマス」に隠された暗号 第八章 「柱」よ、語れ 第九章 十字軍と近代資本主義 第十章 大航海時代とエルドラド 第十一章 国が国を食う時代 第十二章 合衆国の真の名前は? 前半は「天皇制」、「武士道」がテーマ。しかしキーワードはカラスと熊。日本の神話にも登場する「三本足の烏」、日の丸の起源という説もある「熊」、これらが高句麗のシンボルと同一でもあるというところから、日本の起源を辿っていく。著者の持ち味は、結論へと一直線には向かわずに、さまざまな話をかき混ぜながら、どんどん拡散していくところだ。これにより妄想は、一気にエンタテイメントへと昇華されていく。 一方で後半のテーマは「キリスト教」と「資本主義」。ここでも珍説、奇説が盛りだくさんに紹介されている。 ・クリスマスの起源は、アンチ・キリストの異教の神オーディンだった? ・十字架の起源は狩猟民マタギがクマの心臓を十字に斬るところから? ・マリアさまの処女胎児は事実ではない? ・モーセの正体はユダヤ人ではなく、エジプト人? ・アダムスミス、「神の見えざる手」の神はギリシャ神話の最高神ゼウス? 信心深い人にとっては、常識をひっくり返されるような諸説の数々であろう。しかし、いかにノンフィクションとは言え、ルーツを遡っていくとフィクションとの境界線はあいまいになっていく。つまり突き詰めていけば、過去は想像することしかできない。 著者の根底にある思いは、過去を想像することは、未来を想像することと同義であるということだろう。自分達が信じてきたものが、いかに根拠の乏しいものであるか、その気付きを得ることによって、未来もまた変わるかもしれないということなのだ。今一度立ち止まり、自分の足元を見つめるきっかけを作ってくれる一冊である。
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