英文表現力を豊かにする例解和文英訳教本《公式運用編》 の商品レビュー
赤の「文法矯正編」の内容を少し復習して、主に時制と、「最近」とか「~せざるをえない」といった「頻出表現」と「~してからx年になる」とか「~するいちばんの方法は…することだ」といった「頻出構文」について確認する第1部、それを応用して短文を訳してみよう、という第2部から成る。 第...
赤の「文法矯正編」の内容を少し復習して、主に時制と、「最近」とか「~せざるをえない」といった「頻出表現」と「~してからx年になる」とか「~するいちばんの方法は…することだ」といった「頻出構文」について確認する第1部、それを応用して短文を訳してみよう、という第2部から成る。 第1部だけでも相当な勉強になるし、本当に英作文の勉強をしようとしている高校生なら赤の「文法矯正編」から読むべき。それなりに英文法や英作文を勉強した人でないとこの本から読むのはキツいと思う。第1部は復習なので、第2部がこの本のメインとなる部分だが、割と読み応えがある。 まず第1部の「頻出表現」に書いてあることだが、「英文は時制とその上に乗った単語によって奏でられる調べである。時制にぴったり合った単語を載せなければきれいな音色は出ない。英作文の学習を単なる英文の暗記だと思っておられる方は、こうした意識が薄いのではないかと思われる。1つ1つの言葉にはみなニュアンスがあり、どれを選択するかによって多かれ少なかれ文意が変わるということを認識していただきたい。」(p.29)という部分、やっぱり英作文は最後まで残るのは単語の知識、ということが言える部分かもしれない。それとともに、和文英訳の勉強に独特な部分は、「常に常識を働かせながら、あるいは文脈を考えながら訳す癖をつけていると、英訳に困っている箇所を違う発想から表現できたり、そもそも英語では訳さなくても済むということに気づいたりする」(p.77)というところ。 この本では「単語の知識」と「英訳の仕方」の両面について、前者の点では、この単語はこういうニュアンス、とか文体が堅いとか古いとか、コロケーションが良いとか、例とともに解説してくれている。後者の点では、例えば「入試も間近に迫っていますから、風邪をひかないように気を付けてください」(p.162)の後半の訳。Be careful not to catch a cold.とおれは何も考えずに訳してしまうが、「『他の病気になるのはかまわないが(例えば、肺炎になってもよいが)風邪だけはひかないように』ということになってしまう。この文を言うと、ネイテイヴスピーカーから『なぜ風邪のことだけ言うのか』と聞かれる」(p.163)らしい。だからTake care of yourself.と訳す、とか、おれは考えが至ってなかった。さらに別の問題で、「外国旅行をしていて、言葉が通じないことほど辛いことはない」(p.194)の訳。なんか違和感を覚えながらも、そのまま訳すことだけ考えてNothing is as hard as not being able to make myself understood.とか何も考えずに訳すが、「『言葉が通じない』ことが海外旅行でいちばんつらいことなのだろうか。」(同)と考えて、I hate it when...とか、It always upsets me when...と訳せるか、というのはだいぶ高度な話だと思う。 というように、第2部では100の文について、どういう表現が別の表現より適切かという点で書かれており、割と読むのに骨が折れた。△の表現が、なぜ△なのかが書かれていないところもあり、難しいところもある。が、割と同じ知識が繰り返されている部分もあるので、1回読むだけでもそれなりに勉強になる。が、身につけるためには、何回か繰り返さないとダメだと思う。英文法の勉強も一通り終わり、それなりに和文英訳の練習もしたことがあるという高2後半から高3くらいでおすすめの本。(20/01/04)
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