倫理とは何か の商品レビュー
序盤の退屈さに何度寝落ちしたかわからない。 後半になるに従って面白さが指数関数的に上昇。と同時に退屈に思っていた前半の議論の重要さを認識。 大澤真幸による解説が秀逸。 夏頃にもう一度読み直そう、と思った。 直接的な善から道徳的な善を導出することは不可能である。 人はみな根源的利...
序盤の退屈さに何度寝落ちしたかわからない。 後半になるに従って面白さが指数関数的に上昇。と同時に退屈に思っていた前半の議論の重要さを認識。 大澤真幸による解説が秀逸。 夏頃にもう一度読み直そう、と思った。 直接的な善から道徳的な善を導出することは不可能である。 人はみな根源的利己主義者である。 しかし、根源的利己主義者は往々にして、自身の主義と明らかに矛盾する"利己主義者の愛"によって根源的利己主義から逸脱する。それをどう考えるか。
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よく出版できたものだ。 ここに載っている内容は思考における公理であり、本来誰もが理解していなければならないものである。 しかし悲しいことに、私を含め、それができる人間は一割に満たないだろう。そして、これを最も読むべき人間がこの本を手にすることは大凡ないであろう…
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野矢茂樹の「論理トレーニング」の1冊として書かれた作品らしいが結果として”教科書”的なものは書けずにこういう形で出したらしい。確かに全く教科書的ではない(要は護教論的じゃないし”道徳的に”生きることについて妄信的ではない)。 とても曖昧で見過ごされがちな問題について、深くかつ斜め...
野矢茂樹の「論理トレーニング」の1冊として書かれた作品らしいが結果として”教科書”的なものは書けずにこういう形で出したらしい。確かに全く教科書的ではない(要は護教論的じゃないし”道徳的に”生きることについて妄信的ではない)。 とても曖昧で見過ごされがちな問題について、深くかつ斜め上あたりから書いてるような感じなんだけど、私が道徳に対して抱いていた胡散臭さを見事に問いとして提示してくれていた。 欲しい問いがあった。 哲学は「答え」より「問い」だと思ってるから満足。 特に利己主義、功利主義、利今主義の視点や包含具合など、納得。 で、倫理って怖いなって思った。怖い怖いと思って読んでて、やっぱり怖い終わり方だった。 道徳に対する私のイメージは「奴隷道徳」だったんだけど(それは今でも変わらない)。倫理学について読んできて、利己主義からの道徳という視点もいいと思った。ていうかそうとしかありえない!って思った。
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哲学や倫理学を扱う本にしては、読みやすいと思います。 しかし、どこか「常識」に対して、疑問を投げかけてくれる本なので、結構頭を使います。文庫なのに、内容的にも重厚な本なので、ある程度読む力(気力)が必要に思います。 読み終わった後になぜか達成感がある本。 考えることが好きな人に...
哲学や倫理学を扱う本にしては、読みやすいと思います。 しかし、どこか「常識」に対して、疑問を投げかけてくれる本なので、結構頭を使います。文庫なのに、内容的にも重厚な本なので、ある程度読む力(気力)が必要に思います。 読み終わった後になぜか達成感がある本。 考えることが好きな人にはお勧めです。
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長かった。全390ページに詰め込まれた抽象的な議論を読むのに、何度も飽きながらもついに1ヶ月かかって読み切った。 その達成感も含めて、評価☆5をつけたい。 なんとか理解できる部分を拾いつつ、こんな問題提起があり、こんなことを考えた人がいたのかという驚きに溢れていた。 とり...
長かった。全390ページに詰め込まれた抽象的な議論を読むのに、何度も飽きながらもついに1ヶ月かかって読み切った。 その達成感も含めて、評価☆5をつけたい。 なんとか理解できる部分を拾いつつ、こんな問題提起があり、こんなことを考えた人がいたのかという驚きに溢れていた。 とりあえず、暫く哲学系の読書は置いといて、教育や経済を勉強しよ…。
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作品の紹介 「Google ブック検索」より 悪いことはしたくない、できれば善いことをしたい―。本当に皆がそう思っているのか?そもそも、人はなぜ道徳的に善く生きねばならないのか?この地平から本書は、道徳的な善悪それ自体を哲学していく。二人の大学生と猫のアインジヒト、M先生が登場し...
作品の紹介 「Google ブック検索」より 悪いことはしたくない、できれば善いことをしたい―。本当に皆がそう思っているのか?そもそも、人はなぜ道徳的に善く生きねばならないのか?この地平から本書は、道徳的な善悪それ自体を哲学していく。二人の大学生と猫のアインジヒト、M先生が登場し、「人はみな自分の幸福を求めているか?」「社会契約は可能か?」「なぜ道徳的であるべきか?」等について対話を繰り広げる。プラトン、アリストテレス、ホッブズ、ルソー、カント、ロールズらの考えがくっきりわかる、これまでにない不道徳な倫理学の教科書。
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表紙絵といい、本文が会話体であることといい、非常にわかりやすい倫理学書かと思ったら、そうでもない。いや、意外と難しいので、なめてかかってはいけません。 M先生という大学教授が、倫理学通史ふうな講義をつづけるあいまに、受講している大学生2人としゃべる猫「アインジヒト」が、講義内容に...
表紙絵といい、本文が会話体であることといい、非常にわかりやすい倫理学書かと思ったら、そうでもない。いや、意外と難しいので、なめてかかってはいけません。 M先生という大学教授が、倫理学通史ふうな講義をつづけるあいまに、受講している大学生2人としゃべる猫「アインジヒト」が、講義内容に触れながらいろいろと議論する。 ところがこの会話、なかなかにややこしいことを言っている。この「大学生」2人、どう見ても倫理学/哲学初心者とは思えないことばかりしゃべるし、どう考えてもこの会話は、一人の哲学者の視点であーだこーだつぶやいているだけのようにしか見えないのである。要するに、会話体としてのこの本の意図は、完全に失敗している。 が、それでも、ところどころに鋭い指摘があって、そこはとてもおもしろかった。たとえば、自分が「大勢の中の一人である」という前提は「社会契約」から来ているとか。 結局一般的な倫理学への疑問を呈して終わってしまうので、読後はすっきりしない。会話を中心とした構成も、せっかくの登場人物たちもあまり効果的とはいえないままに終わっているから、書物としてあまりいいできとは言えないと思った。
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自分にとって「直接的に善いこと(悪いこと)」と、「道徳的に善いこと(悪いこと)」とは一致しない。むしろ「道徳的に善いこと」は自分にとって直接的には「悪いこと」であり、逆に「道徳的に悪い」とされていることは、「直接的には善いこと」である。 本書はこの認識に基づき、「講義」と「対話...
自分にとって「直接的に善いこと(悪いこと)」と、「道徳的に善いこと(悪いこと)」とは一致しない。むしろ「道徳的に善いこと」は自分にとって直接的には「悪いこと」であり、逆に「道徳的に悪い」とされていることは、「直接的には善いこと」である。 本書はこの認識に基づき、「講義」と「対話」で、道徳と利己主義の相克(互いに他を飲み込もうとする争い)を描く。終始、倫理に関する哲学的考察であり、当然ながら倫理学の解説書とは一線を画する。(ゆえにものすごく面白い)。 しかも道徳と利己主義の相克の背後には、「他者の存在」と「独我論」、「人生という長期的にみた場合の自分」と「いま現在の自分」との対比が隠されており、こういった洞察も大変興味深い。
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