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職業としての科学 の商品レビュー

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10件のお客様レビュー

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2019/01/02

大学人として共感もし、考えさせられもするグッと来た本。 マックスウェーバーが、自己の魂の救済と重ねて群がる若者に対して、官制として制度化された大学の学問はそういうものではない、と冷や水を浴びせたこと。 「食えない」不安を突破するために、生活次元を超えた公共的で壮大な使命感で自己を...

大学人として共感もし、考えさせられもするグッと来た本。 マックスウェーバーが、自己の魂の救済と重ねて群がる若者に対して、官制として制度化された大学の学問はそういうものではない、と冷や水を浴びせたこと。 「食えない」不安を突破するために、生活次元を超えた公共的で壮大な使命感で自己を充電する必要があった。 狭い領域で論文を書き続ける"論文作家"だけを研究者・科学者というのではなく、科学に絡む人間が互いに同じ公共的役割を意識した「科学技術エンタープライズ(事業体)」をつくる。

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2018/09/28

職業科学者としての立場から、科学という知的な営みの歴史や、科学と社会との関係について論じている本です。 科学哲学におけるマッハとプランク、ポパーとクーンの対立をわかりやすく整理しています。とくに目を引いたのは、実在論と反実在論との対立にかんして、科学者としての立場から「動機的実...

職業科学者としての立場から、科学という知的な営みの歴史や、科学と社会との関係について論じている本です。 科学哲学におけるマッハとプランク、ポパーとクーンの対立をわかりやすく整理しています。とくに目を引いたのは、実在論と反実在論との対立にかんして、科学者としての立場から「動機的実在論」というべき立場を提示し、科学者のいわば素朴な実在論的態度として語られてきたものが、「実証のない形而上学的要素を排するしごき方であって、しごかれるものが生まれる源泉を温存しておくことも重要なのである」と述べている箇所です。 また、科学社会学者のマートンが提唱した「CUDOS」の基準についても、それがあまりに理想主義的であることは認めつつも、「目標として掲げるべき徳性であることに変わりはない」と述べて、ここでも科学者としての立場から一定の評価を与えています。こうした著者のスタンスには、まさに本書のタイトルとなっている「職業としての科学」の立場が示されているように感じました。 そのほか、明治以降の日本における科学・技術にまつわる制度の変遷を追いかけるとともに、現代の「ポスドク問題」にも触れつつ、「科学技術エンタープライズ」という構想を打ち出しています。 科学哲学・科学史の観点から書かれた入門書とは異なり、やや話題が散漫な印象はありますが、職業科学者の立場からさまざまな問題にアプローチがなされていて、興味深く読みました。

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2017/06/23

制度としての科学と科学する精神との間の対立、緊張、協調が基底になっている。 科学の西洋史を俯瞰した前半部分は、論点の整理も含めて、興味深く読んだ。 最終部分の現代の科学者の生き残りに関しては、中途半端だ。提言の体をなしていない。 ・physicist,scientistとい...

制度としての科学と科学する精神との間の対立、緊張、協調が基底になっている。 科学の西洋史を俯瞰した前半部分は、論点の整理も含めて、興味深く読んだ。 最終部分の現代の科学者の生き残りに関しては、中途半端だ。提言の体をなしていない。 ・physicist,scientistという言葉は、ウィリアム・ヒューエルが1833年頃作った。それまでman of scienceと言われていた。科学の担い手が巨匠から中産階級の職業に変化する19世紀末に普及した。 ・切羽詰まると人間は一般に道理を見失い、思想の古層に里帰りする。それが「理」よりも「誠」に回帰する精神構造だ。

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2017/01/21
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2011年刊行。著者は京都大学名誉教授。主に18世紀以降の西洋における科学哲学に関する論争と、科学が必要とされる契機を解読することで、科学(大学などの教育機関の整備等を包含する制度科学も検討対象としている)のありようや、あるいは科学の必要性に関する将来像を提示する。現代社会は、冷戦終結後から徐々に進行しつつある国民国家における科学の必要性の低下と、科学者としてのアイデンティティの喪失傾向に直面しつつあるという分析を踏まえ、それに対する処方箋を歴史的経緯と論争から見出そうとする中々興味深い一書。 フリーマン・ダイソン、相良亨を知れたのは個人的には有益(まぁ、私の勉強不足と言うほかないのだろうが…)、

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2016/10/11
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※このレビューにはネタバレを含みます

 科学の発展について、その歴史と今後の展望を述べた書。教養満載で、個々の内容はすごく面白かったのだけれど、本書を通じて何を伝えたかったのか・・・読む側の資質がありませんでした。ななめ読みしたのがいけなかったかも・・・  本書を読んで、今でも科学技術振興の仕事がしたいと強く思っていることに気が付きました。

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2013/03/22

歴史を辿りながら科学・科学者と社会や国家との関わりや制度について見ていく。話の行きつ戻りつが多いこともあり、理解できていない。大震災前の本であり、原発事故を踏まえると違う視座も必要かも。「科学技術エンタープライズ」は興味深いが、現実性には疑問があるなあ。

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2012/01/06

実はこの本もタイトル買いしたのだった。ウェーバー風の科学技術本なのだろうと、さっと買い物カゴの中に入れた。ウェーバーの「○○としての~」シリーズより当然読みやすく、一気に読了した。著者はウェーバーと本書の関係をはじめにと3章でふれている。 これは、やわらかい「科学史の教科書」と...

実はこの本もタイトル買いしたのだった。ウェーバー風の科学技術本なのだろうと、さっと買い物カゴの中に入れた。ウェーバーの「○○としての~」シリーズより当然読みやすく、一気に読了した。著者はウェーバーと本書の関係をはじめにと3章でふれている。 これは、やわらかい「科学史の教科書」と性格を持っている。類書ですぐに思い浮かんだのは、乾侑 『科学技術政策―その体系化への試み』東海大学出版会や、廣重徹『科学の社会史(上・下)』岩波書店の2冊だ。ただ何れも少し前にかかれたものとなっている。この「職業としての科学」は、今日の科学トピックと歴史的エピソードを関連付けさせながら、わかりやすく、科学技術やそれを生み出した科学者について述べている。結果として、「やわらか科学史」になったのではないか。そう感じる理由は、著者がメタ理論的な科学論は成功していないことが多いので、歴史に執着して論を展開しているからだろう。 著者は、巨大な社会システムとなった科学技術は、専門家の気風と社会の期待により乖離が生じている、またまだまだ可遡的、と述べている点は、読者に思考の余地を与えてくれている。転換期の科学技術政策を考える機会を与えてくれる良書だ。

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2011/11/19

主に欧米の科学史。科学技術の発展の歴史を追うようなかたちで書いている。昔、物理の授業で習った名前がどんどんと現れる。 面白いのだけど、結論がわからなかった。

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2011/06/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

職業として科学にたずさわる者にとってためになる本である。 統計的には人口当たりの研究者数は日本は多いが,肩書きだけが研究者という人も多いからな。

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2011/01/29

とても難しかったですが、科学の歴史は俯瞰できました。 蓮舫さんにムッとされたかのような印象を受けたのはボクだけでしょうか。

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