ソーシャル・ビジネス革命 の商品レビュー
20世紀の大発明といえば資本主義。 しかし2008年以降の金融危機が資本主義の暴走の結果であるとするならば、21世紀は何を教訓とすべきか。 資本主義とは(株式会社といってもいいかもしれないけれど)、つまり利益の最大化である。 それは人間の利己的な面を表してもいるし、ここにこそ金...
20世紀の大発明といえば資本主義。 しかし2008年以降の金融危機が資本主義の暴走の結果であるとするならば、21世紀は何を教訓とすべきか。 資本主義とは(株式会社といってもいいかもしれないけれど)、つまり利益の最大化である。 それは人間の利己的な面を表してもいるし、ここにこそ金融危機を招いた最大の弱点があった。 一方人間には利他的な側面もあって、個人の利益では無く社会的な幸福を追求しようという動きが2010年前後から活発になってきている。 ユヌス氏の提唱するソーシャルビジネスがそれだ。 従来の経済活動を行っているとその延長線上で考えてしまいがちだけれど、ユヌス氏は厳密にソーシャルビジネスを定義しており、本書を読むことをおすすめする。 金は天下の回りものである。
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ノーベル平和賞受賞者であり、マイクロファイナンスの父であるムハマドユヌス氏。社会問題の解決を「慈善事業」から「事業」へ昇華させた彼ならではの示唆に富む一冊。 主に「マイクロ」という視点からダノンなど世界的著名企業と協業しながらビジネスを実行してきた彼ならではの説得力ある内容です...
ノーベル平和賞受賞者であり、マイクロファイナンスの父であるムハマドユヌス氏。社会問題の解決を「慈善事業」から「事業」へ昇華させた彼ならではの示唆に富む一冊。 主に「マイクロ」という視点からダノンなど世界的著名企業と協業しながらビジネスを実行してきた彼ならではの説得力ある内容です。
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ソーシャルビジネス革命と歌っているが、特に新しいことでもなんでもない。ビジネスの原点回帰が起こっているだけにすぎない。 ビジネスの原点は問題解決であり、それはエネルギー問題を解決したり、住環境問題を解決したり、コミュニケーション問題を解決したりと社会問題を解決してきた。 最...
ソーシャルビジネス革命と歌っているが、特に新しいことでもなんでもない。ビジネスの原点回帰が起こっているだけにすぎない。 ビジネスの原点は問題解決であり、それはエネルギー問題を解決したり、住環境問題を解決したり、コミュニケーション問題を解決したりと社会問題を解決してきた。 最近のニュースを見ているとビジネスの本来の意味が失われ、ビジネス=大金儲けという印象を抱く人が多くなっていると思う。ベンチャー企業を作って転売して、大儲けしたとか。 だから敢えてこんなキーワードが掘り起こされている。 ビジネスの原点は問題解決であり、金儲けではない。問題解決方法に賛同する人がいるから、商取引が生まれ、大金が動くのだ。
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ソーシャルビジネスは、投資に対して元本以上のリターンを返さず、利潤は事業運営の拡大に当てるビジネスを指す。ビジネスの対象となるものは、貧困や衛生改善などをターゲットにしたものが多い。 世の中の大多数の、いやほぼすべての営利企業に当てはまるように、企業は自己の利潤を最大化させるため...
ソーシャルビジネスは、投資に対して元本以上のリターンを返さず、利潤は事業運営の拡大に当てるビジネスを指す。ビジネスの対象となるものは、貧困や衛生改善などをターゲットにしたものが多い。 世の中の大多数の、いやほぼすべての営利企業に当てはまるように、企業は自己の利潤を最大化させるために動いている。そして自己の利潤を最大化するためには、顧客を満足させ、持続可能なビジネスを行う必要がある。それはつまり、長期的には社会貢献を行うことでもある。水道も、農家も、卸業者も、八百屋も、食料の配分や衛生の改善に貢献している、しかも企業として活動すると、持続可能なビジネスモデルとして自発的に最善をつくすよう動機付けられる。 そう考えると、「事業内容」に対して、わざわざ「ソーシャルビジネス」と区別する必要はないのではないか。そう考え、ソーシャルビジネスの定義を、 「投資に対して元本以上のリターンを返さず、利潤は事業運営の拡大に当てるビジネス」 と定義した。 ほとんどのお仕事は、人間個人や社会、果ては環境に対して良い影響を与え持続可能なモデルを作ることで成り立っている。 そのため、「ソーシャルビジネス」は資金調達の手段として、とても聴き応えのよいフレーズとして強い武器となる。リターンを返さないと契約を結ぶ点も素晴らしい。 そして、ソーシャルビジネスに携わる企画者たちの給料は、"一流企業の給与よりも高い" と本書でも明言している。 このへんの感覚が私には残念ながら理解出来ない。利潤は事業拡大のために使うと散々謳っておいて、そのからくりでは、投資家がソーシャルビジネスのスタッフとして名を記載すれば、実質的に大きなリターンを手に入れる裏口ができるではないか。 この人が行なっていることは立派であろう。しかし、そのソーシャルビジネスにあやかって活動している人たちの中で、この種の闇の誘惑との絶え間ない戦いを続けなくてはならないのだろう。 「簡単に悪いことができ、自浄作用が機能しにくい、まだ改良の余地が大きいモデル」であるというのが本書を読んだ感想。
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ソーシャルビジネスというフレーズに惹かれ、名前だけはぞんじていたユヌス氏を深く知りたくて読書。理論でなく実践、そして彼自身がこれまで実践してきた中でみえてきたことや現在進行形で未来へむけれすすめていることを、現場の声としてかいてくれている。若者やこれから志したい人への力強いメッセ...
ソーシャルビジネスというフレーズに惹かれ、名前だけはぞんじていたユヌス氏を深く知りたくて読書。理論でなく実践、そして彼自身がこれまで実践してきた中でみえてきたことや現在進行形で未来へむけれすすめていることを、現場の声としてかいてくれている。若者やこれから志したい人への力強いメッセージも。 バングラディッシュのグラミン銀行の設立者、ムハマドユヌス氏。 彼の著書「ソーシャルビジネス革命」に出会った。 以前からよく名前や活動は存じていたが、 実際にじっくりと著書を拝読したのは始めてだ。 「一度に2~3人に手を差し伸べるような、小さな計画から始めなさい。 (中略)計画に時間を費やさず、今すぐ実行に移し、 実践しながら学びなさい。」 「この世界から貧困を根絶することは可能である。 なぜなら、貧困は自然な人間の姿ではないからだ。 それは人の手によって彼らに課せられたものなのである。 できるだけ早く、貧困を終焉に導き貧困を永遠に博物館に入れるため、 この身を捧げようではないか?」 本当に静かに力強く、語りかけて下さるので、 むくむくとパワーが湧いてくる。 このキモチは以前、ある大学で講演会があった サティシュクマール氏の講演を拝聴したときの感動に 似ている。 ユヌス氏の映像。 お話もすばらしい!(英語) ↓ http://vimeo.com/27587359
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利潤ではなく、社会貢献を追及するビジネススタイル。その難しさはあるが、育てて行かなければならない理念。何度も読み返そう。
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・私たちは若者たちに、仕事を探す立場ではなく与える立場になりなさいと伝えている。 ・貧困の原因は貧しい人々の能力不足ではない。制度、機関、概念によって生まれる。貧困は人災だ。 ・現代の資本主義理論の最大の欠陥は、人間の本質を誤解している点。つまり、人間は利益の最大化という経済的目...
・私たちは若者たちに、仕事を探す立場ではなく与える立場になりなさいと伝えている。 ・貧困の原因は貧しい人々の能力不足ではない。制度、機関、概念によって生まれる。貧困は人災だ。 ・現代の資本主義理論の最大の欠陥は、人間の本質を誤解している点。つまり、人間は利益の最大化という経済的目標を一途に追い求めるとみなされていること。 ・ソーシャルビジネスの投資家の目的は、金銭的な利益を得ずに他者に手を貸すこと。しかし、持続可能でなければならない。つまり、社会的目的の実現のみに専念する「損失なし、配当なしの会社」。 ・ダノン。企業の成功基準は、生み出した年間利益ではなく、栄養不足を解消した子どもの数。誇りと喜び。 ・利益の追求には反対しない。しかし、まずは貧しい人に貧困から逃れる手助けをしよう。貧しい人が中流になったらどしどし売りつけて儲ければいい。しかし、貧乏でいるうちは、お金をむしり取るのは待ちなさい。それが人の道。 ・社会的利益をもたらそうとする人は、うぬぼれを抱きやすい。善人だと思っているから。その結果、顧客の勘違い、弱さ、失敗、欠点、時には単純な文化の違いにさえ我慢できないことがある。相手の文化に身を投じよ。 ・ソーシャルビジネスを始める場合は、利潤を最大化するビジネスケースから探しはじめるわけではない。解決すべき社会問題を選び出し、それをビジネスの力で解決する方法を探すのだ。 ・ソーシャルビジネスを設立する目的は、自分自身の金儲けではなく、雇用の創出。 ・住みよい世界をつくり、人類の生活を向上させる手助けをしたいという欲求は、個人的な利益を積み上げたいという欲求と同じくらい、人間性に深く刻み込まれている。経済理論の大きな欠陥のせいで、利他心を抑圧してきたビジネスマンが、それを開放するチャンスに色めき立つ。 ・人間のオリジンとして、「私」と「無私」という相矛盾する欲が対局的に存在する。人類は特に産業革命以降、前者を満たすことに執着して発展を続けてきた。だが、後者を疎かにしてきたツケが回ってきているようだ。
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本書は、ソーシャル・ビジネスへの誘いであると同時に、ソーシャル・ビジネスを志す若い人々へのエールである。 本書では、ユヌス氏の成功体験だけではなく、失敗談、そしてどうやってそれを乗り越えたかについて多くのページが割かれている。 また、資金調達のノウハウなど、通常の「自伝」や「企...
本書は、ソーシャル・ビジネスへの誘いであると同時に、ソーシャル・ビジネスを志す若い人々へのエールである。 本書では、ユヌス氏の成功体験だけではなく、失敗談、そしてどうやってそれを乗り越えたかについて多くのページが割かれている。 また、資金調達のノウハウなど、通常の「自伝」や「企業本」では書かれない部分についても触れられれている。 そして、最も重要なのは、ソーシャル・ビジネスの定義について厳格に定めている点だ。 まさに「ソーシャル・ビジネスの教科書」と言っても良いだろう。 ソーシャル・ビジネスが重視しているのは、「社会問題の解決を目的とする」「利益ゼロ・配当ゼロである」という2つを前提としながら、あくまで「ビジネス」であることだ。 ここには2つの重要な意味が含まれる。 1つは、そのサービス・商品が無償で一方的に渡ったのではなく、双方が価値を認めて初めて成り立つという点だ。 買う側は「欲しいものを買った」し、売る側は「買ってもらえるものを売った。しかも、買って欲しい人に」。 2つめは、ビジネスであるが故に、責任が生じることだ。 そのためソーシャル・ビジネスは「持続可能性」が重視されることになる。 そして、ビジネスの持続はすなわち「雇用の持続」でもある。 一方、最大の困難もまたビジネスであるために生まれる。 つまり「いかにすればビジネスとして成立するか」だ。 ソーシャル・ビジネスはこの難問に立ち向かわざるを得ない。 しかし、これこそ「"ビジネスとして成立するもの"をビジネス対象とする"営利ビジネス"」との最大の違いでもある。 ソーシャル・ビジネスをビジネスとして成立させることができたときの喜びは、計り知れないに違いない。
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ムハマドユヌスの、マイクロクレジットの実業版とでもいうべき、ソーシャルビジネスについて、整理して書かれた本です。社会的利益の実現を第一として無利益で運営するとか、所有者を貧困層(従業員)としたり、とか、その背景となる考えを述べています。 使命感を刺激され、燃えます。
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[世界を変えるために喜んでその身を捧げる全ての人へ]。ソーシャルビジネスの概念とムハマド・ユヌス氏が取り組んできたダノン社、ヴェオリオウォーター社との協働事例をまとめた一冊。1.ソーシャルビジネスとは貧困・教育・健康・情報アクセス・環境などの社会問題の解決を、持続的な可能性でもっ...
[世界を変えるために喜んでその身を捧げる全ての人へ]。ソーシャルビジネスの概念とムハマド・ユヌス氏が取り組んできたダノン社、ヴェオリオウォーター社との協働事例をまとめた一冊。1.ソーシャルビジネスとは貧困・教育・健康・情報アクセス・環境などの社会問題の解決を、持続的な可能性でもって解決する手法。利潤は事業の再投資にのみ使われる。そして何よりも楽しむ!事業体には2つあり、(1)社会問題の解決に専念する損失なし配当なしの会社(グラミン・ダノン、グラミンヴェオリオウォーターなど)、(2)貧しい人々が所有する営利会社(グラミン銀行、オットーグラミン(オットーとは繊維会社))の2種類がある。2.協働事例、グラミン・ダノン合弁でカルシウムや淡白質を得るためのヨーグルト(ショクティ・ドイ)を販売する事業を立ち上げた際に得られた知見を紹介している。相手の文化に身を投じること<女性販売員へのフォロー(女性は家族の一部という文化に対して)>、内部相互補助(ある部分の赤字を他の黒字で補填、地方の赤字を都市部の黒字で補填。商品での価格差を設ける)等を紹介している。私達自身を世界の積極的な創造者として捉え貧困博物館を創ろうという呼びかけには共感する。[多元的な人間が住む世界においては世界の福祉にどれだけ貢献したかが成功の大きな基準となるだろう]
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