日本はスウェーデンになるべきか の商品レビュー
スウェーデン気質が非常に良くわかる本です。それを踏まえた上で日本がどうなりたいか?問われてる気がします。が、ここまでの逞しさはない気がします。
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日本はスウェーデンになるべきか――本書を読んだ感想としては、NOです。 否定される一番の要因は、国民が政府を信頼している点にあります。国家が国民を一元管理し、プライバシーもへったくれもない管理国家の印象を受けましたが、これが可能なのは、政府が国民の期待に応えているからです。年金や...
日本はスウェーデンになるべきか――本書を読んだ感想としては、NOです。 否定される一番の要因は、国民が政府を信頼している点にあります。国家が国民を一元管理し、プライバシーもへったくれもない管理国家の印象を受けましたが、これが可能なのは、政府が国民の期待に応えているからです。年金や保険、医療等、政府が一元管理する方が合理的ではありますが、これが日本だと杜撰な管理になってしまい、個人情報が漏れて大変なことになるだろうと思います。またマイナンバー法案成立にも苦戦したことから、もはや日本国民は政府を信用していません。 民主主義の要請、体現が政府の責任で、スウェーデン政府はそれにきちんと応えているのに対し、日本では国民が裏切られる感が強いです。 スウェーデンの家にはカーテンがないという件は印象的でした。カーテンで部屋を隠すことで何かやましいことや犯罪を思わせるのだそうです。本書に出てくるエピソードを見ると、昔の日本のムラ社会を彷彿させます。互いが互いを監視して、悪いことができないような社会……。政府の透明性が求められるのはもちろんですが、国民の諸行動にも透明性が求められるのはちょっと辛いものがあります。 産業構造や税収、所得再分配、年金保障等、見習うべき点はいくつもありますが、これらを可能にするためにはマイナンバーが必須条件であり、僕自身はマイナンバーに反対なので、スウェーデンのようになってほしくない、というのが正直な感想です。 僕の評価はA+にします。
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今年の4月からスウェーデン語を勉強し始めた自分にとってスウェーデンの文化について断面的に横断しているこの書は概論として非常に良かった。 筆者によるとスウェーデン人の強さの秘密には2つの側面「自立した強い個人」と「規則に基づく組織力」にある。人類学者のÅke Daunはスウェー...
今年の4月からスウェーデン語を勉強し始めた自分にとってスウェーデンの文化について断面的に横断しているこの書は概論として非常に良かった。 筆者によるとスウェーデン人の強さの秘密には2つの側面「自立した強い個人」と「規則に基づく組織力」にある。人類学者のÅke Daunはスウェーデン人を「北欧の日本人」と表現し、有名洋服ブランド「H&M」の日本市場での成功の一要因として見ている。彼も述べたように、スウェーデン人の国民性には横並び意識の強さ、内気で上下関係に敏感、など日本人のイメージに近いものがあり、親しみを持つ事ができた。この内気な国民性は外国人を受け入れることに乏しかったこと、日照時間の短さが家族と暮らす時間を増やしたという事実がある。この冬の厳しさはスウェーデン人が生きていくうえで個々を強くさせたと筆者は述べていた。スウェーデンとはどんな国か知りたい人にはおすすめの一冊。
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スウェーデンの特徴が、「自立した強い個人」「規則に基づく組織力」「透明性」「連帯」に現れているというのを裏付けるような事実や数字、体験談があってよく理解できた。 特に国際養子縁組数が世界一多いことと、非英語圏では難民受け入れ世界1位になるなど、それを可能にする土壌・決してユートピ...
スウェーデンの特徴が、「自立した強い個人」「規則に基づく組織力」「透明性」「連帯」に現れているというのを裏付けるような事実や数字、体験談があってよく理解できた。 特に国際養子縁組数が世界一多いことと、非英語圏では難民受け入れ世界1位になるなど、それを可能にする土壌・決してユートピアではない側面もよく説明されているように感じた。 単純に日本もそうするべきと言わず、現実的に考えていきたい。(日本だと、負の側面、治安悪化や職を奪われることばかりに焦点を当てすぎな嫌いはあると思うが)。 タイトルは変えてもよかった気もする。
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スウェーデンで公使(大使の次のポストらしい)を務める著者がスウェーデンのシステムについて日本と対比しながら紹介する本。 詳細なデータや自分の経験に基づいた文章は理論的で説得力がある。何よりも、スウェーデンの歴史的、地理的な背景に触れながら、スウェーデン・モデルを可能にした国民性...
スウェーデンで公使(大使の次のポストらしい)を務める著者がスウェーデンのシステムについて日本と対比しながら紹介する本。 詳細なデータや自分の経験に基づいた文章は理論的で説得力がある。何よりも、スウェーデンの歴史的、地理的な背景に触れながら、スウェーデン・モデルを可能にした国民性というところにフォーカスしている点は、とても興味深かった。
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デンマークやフィンランドに並んで、日本が憧れるような教育や男女平等や年金制度なんかの福祉が整った国。日本とは違うタイプの自己責任が成立してる。自己責任をもって自立するためには、国の介入がすんごい必要という矛盾。不思議だ。ただ、国民が幸せだと感じてるんだから、日本よりはスウェーデン...
デンマークやフィンランドに並んで、日本が憧れるような教育や男女平等や年金制度なんかの福祉が整った国。日本とは違うタイプの自己責任が成立してる。自己責任をもって自立するためには、国の介入がすんごい必要という矛盾。不思議だ。ただ、国民が幸せだと感じてるんだから、日本よりはスウェーデンの方が正解に近いんだろうて。
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テストの論述対策に使用。全部精読したわけじゃないけど、分かりやすいし、おもしろかった。北欧万歳福祉国家最高みたいな感じじゃなくて冷静なとこも良い。国民性みたいなところにグイグイ持っていく笑
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「自立した個人」を目指すというところがスウェーデンの様々な制度の基礎となっているのだと分かった。そこからは良い面ばかりでなく、冷たい面も見えてくる。 ちょっと子どもが熱を出したら2~3日様子見てくださいとか、何かの症状で具合が悪くなっても大事ではなさそうだったら(もちろん自分では判断のつかない場合もあるのだが)診断が先延ばしにされることなど、ちょっと可哀そうな部分もある。 産業構造を積極的に転換し(その際、後から雇われた者、若い者から解雇される)、国際競争力を高めるというところはいいけれども、15歳から24歳の若者の失業率が25%ってのはかなり高いなと思った。この辺りについて若者はどう思ってるのか。 スウェーデンの制度はやり方として効果的なものはたくさんあると思うが、限度として少しやりすぎではと感じる部分もあり、日本がそのまま真似するべきものではないと感じる。この部分はスウェーデン式やり方をこの程度参考にするというふうに、少しずつ盛り込んでいくのが一番良いんじゃなかろうか。
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本書は、一人当たりGDPランキングで世界のトップクラスであるスウェーデン王国について、その文化や社会保障制度・労働市場・医療制度等をわかりやすく紹介したものである。アメリカ的市場経済重視の資本主義が行き詰まりを見せている世界経済の現状において、それとは違う資本主義モデルとして、...
本書は、一人当たりGDPランキングで世界のトップクラスであるスウェーデン王国について、その文化や社会保障制度・労働市場・医療制度等をわかりやすく紹介したものである。アメリカ的市場経済重視の資本主義が行き詰まりを見せている世界経済の現状において、それとは違う資本主義モデルとして、興味深い思いで本書を読んだ。 本書によると、スウェーデンの専業主婦率はわずか2㌫だそうである。日本の2005年の統計によると日本の専業主婦率は28㌫だそうであるから、スウェーデン国民は良く働く国民であると感心する。 そのほかにも、様々なエピソードを交えてスウェーデン社会の実情を紹介しているが、社会制度の成立には、その特有の歴史とそれにより培われた国民性が背景にあることが、良くわかる紹介の仕方となっており、興味深く読めた。 著者は、東大卒業後外務省に入省し、スウェーデン公使も勤めたエリートのようだが、スウェーデンの社会をよく理解していると感じた。本書はわかりやすく、読みやすく、スウェーデンを全く知らない人でも、その歴史と現状の概略を知ることができる良書であると思った。 本書の最終章「ストックホルムで考える日本外交」において、著者は「ヨーロッパにおけるスウェーデンと同じく、アジアにおいて日本が法の支配・人権の尊重・民主主義という原則を掲げる運動の先頭ランナーであるべき」として、日本が「スウェーデン同様に軍縮・国連のPKO活動・開発援助という分野で積極的貢献を続けることが重要である」と主張している。PKO活動への参加には、いろいろと検討しなければならないこともあるかもしれないが、基本的には賛同するものであると思った。
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スウェーデンの実生活からスウェーデン人の価値観や社会システムのあり方に切り込んでいる。僕の実感とも近い。
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