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東洲斎写楽はもういない の商品レビュー

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2017/09/13

 一部ネタばれあります。  写楽という名前は「楽を写す」に由来する。写楽の「楽」とは猿楽(能楽)のこと。  写楽の「写」は旧字体の「冩」でもなく「シャ」  文庫本のレポでも書いたが手書きパッドでも候補がなく変換できない。写楽作品の落款に、この「シャ」がつかわれている。...

 一部ネタばれあります。  写楽という名前は「楽を写す」に由来する。写楽の「楽」とは猿楽(能楽)のこと。  写楽の「写」は旧字体の「冩」でもなく「シャ」  文庫本のレポでも書いたが手書きパッドでも候補がなく変換できない。写楽作品の落款に、この「シャ」がつかわれている。また、写楽以外にも江戸期の画家の多くの作品にもこの「シャ」の落款が押されている。精神をもうつし取るという意味を持ち、「写」と「寫」とも明確に使い分けられていたらしい。  写楽の正体として当初から取り上げられていたのは能役者であった斎藤十郎兵衛だ。  能にとって一番重要な小道具である能面は「本面」と呼ばれる名人の作品を代々模倣して作られるが、面を模倣して制作することを、能の世界では「うつす」という。この「うつす」の「うつ」には「シャ」の漢字が当てられる。だから「シャ」楽なのだ。  「sharaku」を書いたクルトは斎藤十郎兵衛説を唱えている。明石散人もそうだ。  高橋克彦の解説によると、写楽が有名な画家の別名とする写楽別人説も、写楽は一人の画家を指しているのではなく、複数の人間が関わった工房であったとする写楽工房説も、そもそも斎藤十郎兵衛の存在が確認できなかったことにより、派生した説だった。  だから斎藤十郎兵衛の存在が確認できた時点で、これらの説は意味を失う。それを続けることは単なるゲームでしかない。  明石散人は膨大な史料から斎藤十郎兵衛の存在を明らかにした。しかも孫引き,ひ孫引きを厳しく戒め、ほとんど根本史料から証拠を引いてきている。  「東洲斎写楽はもういない」のタイトルの意味は、これからも明らかだ。  写楽探しゲームはもう20年以上前に終了していた。    文庫本ではこの根本史料の解読が文字解説だけで難解だったが、こちらの増補改訂版では図説や書影が多幅に追加されているので、理解度が格段にあがった。    文庫本でわからなかったところだけ、図版を参考にしながら読み返そうと思っていたが、結局また通して読んでしまった。  興味を持った方には、文庫本ではなく、こちらの増補改訂版をお薦めします。

Posted byブクログ

2011/04/11

なんていうか…めんどくさい本でした。 「写楽とは誰か」というマニアックな話題について 小説っぽいアプローチで挑んでいるみたいなので 面白そう…と思いきや。 最初から最後まで資料づけで、 それもメリハリ無く進んでいくし…。 さらに、「ゲリマンダー」的な条件設定で 写楽探しをするの...

なんていうか…めんどくさい本でした。 「写楽とは誰か」というマニアックな話題について 小説っぽいアプローチで挑んでいるみたいなので 面白そう…と思いきや。 最初から最後まで資料づけで、 それもメリハリ無く進んでいくし…。 さらに、「ゲリマンダー」的な条件設定で 写楽探しをするのがいけないって、 あまりにしつこく書いてあるので、 まったくのめりこめず。 写楽って面白そうな話題のはずなのですが。 もうちょっと「面白い話を面白く」書いてあればいいのに。 あと、著者プロフィールで 「業界人からとくに高い評価を得ている」 というところに、やや反感。 「高感度で頭のいい人じゃないとわからない」みたいなこと? すみませんねえ、という感じでした。

Posted byブクログ

2011/02/12

■内容説明 [Amazonより-ここから-] 謎の絵師・写楽の正体を完全証明した金字塔謎の絵師・写楽の正体を、膨大な一次史料とアカデミックな厳密手法で完全証明! 歴史ノンフィクションの最高傑作として屹立する名著に図版を大幅追補した完全版 [-ここまで-] 文庫版から3度は...

■内容説明 [Amazonより-ここから-] 謎の絵師・写楽の正体を完全証明した金字塔謎の絵師・写楽の正体を、膨大な一次史料とアカデミックな厳密手法で完全証明! 歴史ノンフィクションの最高傑作として屹立する名著に図版を大幅追補した完全版 [-ここまで-] 文庫版から3度は読んでいるのに、未だに読了感を得られない本。 俺のポンコツ脳みそじゃ、レビュー書くなんて到底無理である! だけど懲りずにまた読んでしまう◎お気に入り。

Posted byブクログ

2010/12/20

『東洲斎写楽はもういない』は、一九九〇年十月に講談社より単行本として、一九九三年九月に「あとがき」、「解説」を加えて講談社文庫として刊行されました。本書は、文庫第五刷を底本とし、図表を増補したものです。

Posted byブクログ