視覚はよみがえる の商品レビュー
幼児の頃の斜視、手術で治したものの、いずれかの片目のみの視界で認識。読書やスポーツ、運転が苦手だった。48歳で視能療法を受けトレーニングすることで、立体視が可能になり、目の前に現れた空間に新鮮な感動。人間には可塑性がある。 自分の感覚、普通で皆と同じと思っていることが、もしかし...
幼児の頃の斜視、手術で治したものの、いずれかの片目のみの視界で認識。読書やスポーツ、運転が苦手だった。48歳で視能療法を受けトレーニングすることで、立体視が可能になり、目の前に現れた空間に新鮮な感動。人間には可塑性がある。 自分の感覚、普通で皆と同じと思っていることが、もしかしたら違うのかもしれない、という可能性に気づきました。眼の使い方も、トレーニングできるものなのだと。
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子供の頃の斜視の影響で身につくことがなかった立体視が48歳で獲得。通常では起こりえない出来事だけに脳や神経の可能性の無限大を感じます。立体視がないという世界の感覚が想像できないので読んでいて納得しづらい部分がありますが、興味深い内容です。
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立体視というのは、右目と左目で見える画像の少しのずれを脳で処理して、立体的に物を見る能力のこと。 私たちは、アタリマエのように立体を見ている。著者のスーザンは、乳児期の斜視のせいで、立体視をする能力を養うことができなかった。 そして、もはや大人になって養うことはできないといわ...
立体視というのは、右目と左目で見える画像の少しのずれを脳で処理して、立体的に物を見る能力のこと。 私たちは、アタリマエのように立体を見ている。著者のスーザンは、乳児期の斜視のせいで、立体視をする能力を養うことができなかった。 そして、もはや大人になって養うことはできないといわれるその視野を大人になってからの訓練で得ることができた。著者は、この奇跡的な体験をしたと同時に、生物学者でもある。学者としての視点で、目の構造や脳の処理について詳しく述べるとともに、体験者として、自分の感覚をイキイキとえがいている。 正直、ふと図書館の新書コーナーで、この本を手に取ったときはたいした期待をしていなかった。奇跡の体験の本だと思ったのだ。だが、そこで借りようと思ったのは、オリバー・サックスが前書きを書いているのを見たからだ。実際は、期待以上に面白かった。この本を読んで、目の仕組みが前よりも理解できたと思う。単眼視と複眼視や目とニューロンと脳の役割などなど。 また、障害や能力というものについて考えさせられる本でもあった。立体視ができないというような障害は、とてもわかりにくい。盲目や足がないというわかりやすい障害とまったく違っている。学習障害など、思わぬところにその影響が及ぶこともある。 人は、自分の感覚をアタリマエと思い、そこに障害があっても気づかない。同様に、他人が違うことに気づかない。自分には、他人には、一般とは違った能力または障害があると気づくだけで、ずいぶん生きやすくなることもあるんじゃないだろうか。アタリマエのように思っていることは、他の人にとってはアタリマエではない。 本書と直接関係のないことだけれど、そんなことを思った。
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