リトル・シスター の商品レビュー
個人的には、チャンドラーの長編小説の中で一番プロットのわかりずらい本だと思います。それでも、マーロウ物の魅力が薄れるわけでなく。 登場人物はみな個性的で生き生きとしていて、読んでいて飽きません。特に女性陣。オファメイクエストの曲者感はひしひし伝わってくるし、映画女優2人の強烈さも...
個人的には、チャンドラーの長編小説の中で一番プロットのわかりずらい本だと思います。それでも、マーロウ物の魅力が薄れるわけでなく。 登場人物はみな個性的で生き生きとしていて、読んでいて飽きません。特に女性陣。オファメイクエストの曲者感はひしひし伝わってくるし、映画女優2人の強烈さも印象に残っています。 そして、マーロウのやさぐれ感は格別ですね。 何度か読み直して、ちゃんとミステリーとしてあらすじを時系列に沿って理解したい作品です。 「誰かの夢が失われたようだね」そして身を屈め彼女の目を閉じてやった… なんて締めの一文、本当に胸にきます。
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極貧の発展途上国でもないのにお金のために家族を売る…映画ミリオンダラーベイビーを見る前にこれを読んでいたら免疫ができていたかも。でもあれでも、本作の妹のように兄を殺し屋に売るために探偵を雇ってまで探すろくでなしではなかった。レイモンド・チャンドラー作品では二人姉妹の姉がまし、妹が...
極貧の発展途上国でもないのにお金のために家族を売る…映画ミリオンダラーベイビーを見る前にこれを読んでいたら免疫ができていたかも。でもあれでも、本作の妹のように兄を殺し屋に売るために探偵を雇ってまで探すろくでなしではなかった。レイモンド・チャンドラー作品では二人姉妹の姉がまし、妹が最低、というのが定番らしい。アミーゴしか言わないオハイオ出身の自称ラテン女、は笑えた。 いかにもチャンドラーらしいとっ散らかった作品で特に面白いと言うことはない。他にいくらでも良い作品があると思う。村上春樹の本のどこがいいのか理解できない自分がいて、彼がこのチャンドラーをべた褒めするあたり、いかに売れていても価値観や感覚が合わない作家はやはりあるんだなぁと妙に納得。
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チャンドラー2冊目。 プロットが入り組んでいて、本当に分かりにくい。 村上春樹が解説で言っているとおり。 ファニー・メイが魅力的って、そうかなぁ。 まぁ、楽しく読めましたけど。
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ハリウッド、もしくはある張りぼて家族の話。 『リトル・シスター』の説明は次の文章にまとめられていると思う。チャンドラーの名文。村上さんの名訳。 「芝居は終わった。私は無人の劇場に腰を下ろしていた。カーテンは降りたが、そこにはまだ演技の残像がある。それをぼんやり目にすることがで...
ハリウッド、もしくはある張りぼて家族の話。 『リトル・シスター』の説明は次の文章にまとめられていると思う。チャンドラーの名文。村上さんの名訳。 「芝居は終わった。私は無人の劇場に腰を下ろしていた。カーテンは降りたが、そこにはまだ演技の残像がある。それをぼんやり目にすることができる。しかし俳優たちのあるものは既に輪郭を欠いた、非現実のものになりつつある。」(p.328) 細部は鮮明、全体はぼんやり…という読後感です。 タイトルの『リトル・シスター』であるオーファメイ…彼女の情緒不安定な態度とか身勝手さがどうにも好きになれなくて、だからラストのマーロウの仕打ちにちょっとスッキリしました。 あとがきで村上さんがオーファメイこそがこの作品の魅力みたいなことを書かれているけれど、その褒められているリアルさを…わたしはチャンドラーの小説に求めていないから、彼女の人間味に嫌悪感を抱いてしまうんだろうなぁ。 あ、ストーリーに関係ないけど、これは備忘録として書いておかなければ!わたしの一番のお気に入りは冒頭、アオバエを仕留める場面です!マーロウがチャーミングすぎる!
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前半はもの凄く良かったのに、中盤以降急速にトーンダウン…。 誰が誰を殺し、誰と誰がグルなのかも私の乏しい頭の中だけでは整理しきれていない。 ただそれらも含め、訳者のあとがきを読んで非常に納得。 ※本筋はそのままで、説明不足や???なところを村上さんが大胆に構成し直したリメイク版...
前半はもの凄く良かったのに、中盤以降急速にトーンダウン…。 誰が誰を殺し、誰と誰がグルなのかも私の乏しい頭の中だけでは整理しきれていない。 ただそれらも含め、訳者のあとがきを読んで非常に納得。 ※本筋はそのままで、説明不足や???なところを村上さんが大胆に構成し直したリメイク版みたいなモノがあれば是非読んでみたい。
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オーファメイクエストがリーラと同一人物なのかと一瞬思った。最後まで誰が誰を殺したか不明!極めて複雑で難しかったけれどおもしろかった。
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謎解きなど全く考えずに、人間関係もほぼ考えずに(時々人物表を見たりもしたけれど)読んだ。そこにある表現を楽しむ、と思えば、すごく楽しい一冊だと思う。 元々、推理ものは好きではないし。 それにしても、これが書かれてから70年が経っているのに本当に「かっこいい男性」像として、チャン...
謎解きなど全く考えずに、人間関係もほぼ考えずに(時々人物表を見たりもしたけれど)読んだ。そこにある表現を楽しむ、と思えば、すごく楽しい一冊だと思う。 元々、推理ものは好きではないし。 それにしても、これが書かれてから70年が経っているのに本当に「かっこいい男性」像として、チャンドラーが考えたものと私が感じるものとそう遠くに外れていないのが興味深い。 いつも、マーロウはすごく素敵。
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私立探偵マーロウシリーズ。 村上春樹訳。 人が多くでてきて、関係も複雑で読み解くのに骨が折れた。 けれど完璧に読み解けているわけではないという。
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レイモンド・チャンドラーによる私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とするシリーズの一冊。何と言ってもチャンドラーの作品の魅力はこのフィリップ・マーロウという素晴らしく魅力的な人物造形にあるわけで、アイロニカルな笑い、クールな彼が珍しく感情を露わにする場面などを楽しみながら、今作も...
レイモンド・チャンドラーによる私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とするシリーズの一冊。何と言ってもチャンドラーの作品の魅力はこのフィリップ・マーロウという素晴らしく魅力的な人物造形にあるわけで、アイロニカルな笑い、クールな彼が珍しく感情を露わにする場面などを楽しみながら、今作も読むことができた。 プロットに若干の荒さはあり、かなり読み進めるのがしんどい部分もあるのは事実だが、タイトルにある「リトル・シスター」にマーロウが最後に対峙する場面でのやり取りは名シーンだと思う。
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自分の中に小さな自分がいるとしたら(本田圭佑曰くの「リトル」)、それは是非マーロウであってほしい。いささかくたびれてはいるが、スタイルというものがあるし、それを貫き通せるタフさもある。現実はともかく、「リトル」に限って言えば、けっこう近いと思うんだけどね。融通の利かなさとかw。 ...
自分の中に小さな自分がいるとしたら(本田圭佑曰くの「リトル」)、それは是非マーロウであってほしい。いささかくたびれてはいるが、スタイルというものがあるし、それを貫き通せるタフさもある。現実はともかく、「リトル」に限って言えば、けっこう近いと思うんだけどね。融通の利かなさとかw。 ストーリーを時々見失いつつ、マーロウのカッコよさに痺れながらついていくと朧げに事件の全貌が見えてくる感じ。スッキリとは行かず、理解が悪いのか?と思ってたけど訳者解説読んで納得。でもまあ、そういうのも含めてのこの作品だよなあと思う。 しかしこれ、60年以上前に書かれてるんだね。むしろ当時を時代背景にして、今書かれたような。訳にも負う所が大きいんだろうけど、テキストの開かれた新鮮さにため息が出る。凄いな。
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