裏切り涼山 の商品レビュー
浅井家の滅亡を決めた男が、 行方知れずになった娘に逢いたいがために、 篭城中の別所家へ侵入する。 目指すは裏切り者を探し出し、開城させること。 だが、もくろみはなかなかうまくはいかず、 城はどんどん追い詰められていく。 篭城という状況をかなりリアルに描いていると 思います。
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秀吉の播磨制圧は苦境に立っていた。 盟主別所家の居城三木城を包囲して一年。見通しが立たない。 竹中半兵衛は、ある男を城に入れ、調略による開城を進言する。 涼山。 かつては浅井家の家臣だった。 信長方に内通、浅井家滅亡のきっかけを作った男。 半兵衛の要請を再三固辞し...
秀吉の播磨制圧は苦境に立っていた。 盟主別所家の居城三木城を包囲して一年。見通しが立たない。 竹中半兵衛は、ある男を城に入れ、調略による開城を進言する。 涼山。 かつては浅井家の家臣だった。 信長方に内通、浅井家滅亡のきっかけを作った男。 半兵衛の要請を再三固辞していた涼山にもたらされた情報。 自害したはずの娘が三木城内にいる。 寺本生死之介。 滅亡した尼子家、十勇士の生き残り。 秀吉に仕え、毛利家に復讐する機会を窺う。 忠義に生きてきた生死之介にしてみれば、裏切って主家を滅ぼした涼山は唾棄すべき相手。 半兵衛の下知に従い、嫌悪しつつも行動を共にする。 やがて生死之介が知る涼山の真実。 そして涼山が知る娘の真実。 慟哭と希望。 城内の家臣団は一枚岩でなかった。 城に入った農民たちに対する配慮も残酷なもの。 疲弊する農民の心は別所家から離れていくのに、それが解らない家臣団。 実は当主別所長治もまた苦しんでいた。 忠義―――こんなのは嘘。 一番は不安、そして恐怖。 新しい時代が判らない。 覚悟がない。 ならば、抗うだけ抗っての死。 美意識ではなく、無策無能が生み出す無駄死。 それに飾り物の当主と領民まで巻き込んで。 浅井家の時代、それに気付いて行動、裏切り者の汚名を着た涼山。 その代償として家族も失った。 その再現だった。 知っている人間だから、竹中半兵衛は涼山に託した。 涼山自身、三木城で守りたいものが出来た。 だから闘った。 付き従う者も増えてきた。 誰もが気が付いた。 生きるために勇気を出す事を。 涼山が赤子に語りかける。 「そなたは、何で身を立てる 坊主はやめておけ。座禅は足が痛いぞ・・・・・・・ 侍も戦ばかりの辛い日々だ・・・・・・・・・ 領主が下手な戦をすると、百姓もえらい目にあうな・・・・ 何をやっても、人間は大変だなあ 」 いつの時代だって、人間は大変っすよ。
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