デンマークの光と影 の商品レビュー
デンマークで守られてきた社会民主主義が時代の土台が新自由主義の波にのみこまれようとする姿を描いている。 特に移民問題ではヨーロッパ全土の極右化を先取りしている現象が2000年代からデンマークで起こっていることが理解できる。それがトランプ現象ともつながっている。 興味深いのは著者の...
デンマークで守られてきた社会民主主義が時代の土台が新自由主義の波にのみこまれようとする姿を描いている。 特に移民問題ではヨーロッパ全土の極右化を先取りしている現象が2000年代からデンマークで起こっていることが理解できる。それがトランプ現象ともつながっている。 興味深いのは著者の語るデンマーク像は日本の社会の課題である"透明性"があること。そして、自分たちの置かれた立場を表明する場、フォーラムが存在する。そして三権分立の原則。 以下の書を読んで思ったことは、日本社会には異常に権力を纏った組織が乱立している。これらを監視する機構はないか、機能していない。 即ち三権分立が機能として欠けている。 力を持たない"個人"は非常に生きにくい。 何かが自身の身に起きた時は特にである。
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本書大部分の「闇」は現代育ちの人が江戸時代の人に向けて言う「現代人にも色々悩みがあって大変なんですよ」というニュアンス(実際私達は江戸時代の人々よりも健康で文化的な生活をしているがそれでも未だに悩んでいる)が強く、まだ私達はその次元で悩んだことすらないという印象。しかし後半に述べ...
本書大部分の「闇」は現代育ちの人が江戸時代の人に向けて言う「現代人にも色々悩みがあって大変なんですよ」というニュアンス(実際私達は江戸時代の人々よりも健康で文化的な生活をしているがそれでも未だに悩んでいる)が強く、まだ私達はその次元で悩んだことすらないという印象。しかし後半に述べられる特に「医療・健康・薬物・食生活」の部分には確かにギョッとするものがあるものの、それがどこまでワンセットなのか、有用な部分を見習うことが可能なのかは本書では未知数。「既に言論の自由は達成されたのではないか?」という過信が招いたムハンマド問題、移民問題、日本よりかなり良い状態のまま「大問題」となっている男女賃金格差(日本はワースト2位/3位)、いずれも日本よりもかなりハイレベルな部分で悩んでいるように見える。根底に横たわるのは人口問題。
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イメージは福祉国家で寒いけど人が温かい北欧の国だが実際は、、というデンマークの裏側が書かれた本。選択の自由を奪わないために国が麻薬を提供していたり、移民受け入れへのルールが非常に厳しいことに驚いた。時々挟まれる風刺画がとても分かりやすくデンマークの裏側を皮肉っていて面白かった。デ...
イメージは福祉国家で寒いけど人が温かい北欧の国だが実際は、、というデンマークの裏側が書かれた本。選択の自由を奪わないために国が麻薬を提供していたり、移民受け入れへのルールが非常に厳しいことに驚いた。時々挟まれる風刺画がとても分かりやすくデンマークの裏側を皮肉っていて面白かった。デザインや福祉など表面的な良いところだけでなくもっとデンマークを深く知りたい人にオススメの本。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ケンジ・ステファン・スズキ氏の「消費税25%で世界一幸せな国 デンマークの暮らし」とは違い、本著はデンマークの影の部分にスポットが当てられている。チャプターのタイトルも「無料の代償」、「個人の意思尊重の代償 」、「寛大な福祉給付の条件」、「選別される外国人」、「フレキシキュリティの陰」となっており、高福祉として有名なデンマークにも影があることを物語っている。 本著では、デンマークという国が常に課題に追われ、「個人の責任」という名のもとに様々な分野にまで歳出削減の波が押し寄せている姿が紹介されている。高福祉の国として名を馳せているが、実態は教育・医療・福祉の分野にまで歳出削減に切り込んでおり、名目と実態の差異が明らかにされている。デンマークは「大きな政府」から「小さな政府」へと舵を切っているようにも思えるが、おそらく政府としては「大きな政府」を標榜したいのだろう。経済成長の伸び悩みは以前から指摘されていたにも拘わらず、政府はこれを認めず、世界金融危機の発生とともにそこに原因を求め、歳出削減へと取り組んだ。「大きな政府」を掲げつつも「小さな政府」化しているデンマークは、迷走をしているように思え、今がまさに過渡期であると感じた。 「消費税25%で世界一幸せな国 デンマークの暮らし」と併せて読むことで、デンマークの光と影の両面を知ることができるだろう。
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人口550万人の国、デンマークの社会について、まあ、状況はある程度分かりました。けれどどちらの路線を取っても課題や困難が生ずるのは当然なので、それをどうするべきだと言いたいのか、良くわからない、というところにどうしても不満は残るのです。
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福祉国家の影を詰め込んだ箱って感じ。 福祉国家にも新自由主義の影響がじわじわと入り込んでいる。民営化とのバランス。 失業手当、雇用、格差、移民・難民、医療についてなどなど。 ルポ貧困大国に内容も似てるけど、こっちは大きい話ばかり。少し身近な事例欲しい。読みづらかった。
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北欧ユートピア思想に染まらないために購入。 福祉先進国、幸せな国、寛容な政策といった 日本からみれば素晴らしい政策や社会の「影」の部分にフォーカスしたもの。 これを読むとなぜ世界一幸福な国なの?と思ってしまうほど 具体的な課題点が掲載されています。 しかし、これは日本より劣...
北欧ユートピア思想に染まらないために購入。 福祉先進国、幸せな国、寛容な政策といった 日本からみれば素晴らしい政策や社会の「影」の部分にフォーカスしたもの。 これを読むとなぜ世界一幸福な国なの?と思ってしまうほど 具体的な課題点が掲載されています。 しかし、これは日本より劣っているのではなく、 日本はまだこのような問題に直面するレベルまで追いついていないだけであるように思えます。 日本が高齢化や移民問題に直面するとき、 必ずデンマークのこれからに注目していくことが有益になりうると思います。
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