糸杉の影は長い の商品レビュー
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スペインの国民的作家の処女作。 スペインの古都アビラが通奏低音のような小説。 不遇な少年時代をアビラで過ごしたペドロは「失う痛みを思えばはじめから持たない方がいい」と、人との関わりを避ける船乗りとなる。 自分は最後まで独りで生きていくのだと考えていたペドロだが、病にかかったとき療養生活を助けてくれた友人の母の優しい言葉に勇気づけられ、一回は諦めた(というよりは関わりを恐れて自分から去った)女性とともに人生を歩むことを決める。 というとハッピーエンドになるように思えるが、ラストに向かってどんどん不幸フラグが立っていき、まさにその通りに。 ここでペドロが自暴自棄になってしまわないのは、アビラ、昔の時間が今と交わり、生と死が共存しているような古都で少年時代を過ごしたためか。死んだ者をすぐそばに感じ、彼らとともに生かされていると実感できるから辛い別れがあっても生きて行くことができるのだろう。 ラストで少年時代の親友の墓に亡き妻の指輪を落とすシーンで不覚にも涙がでた。
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