テッサリアの医師 の商品レビュー
ギリシャを舞台のミステリ。 さびれた小さな町モルフィを身なりの良い太った男ヘルメス・ディアクトロスが訪れる。 折しも、結婚式に花婿が現れずに花嫁を嘆かせる事件が起きた日の夜。 不器量な二人姉妹ヌーラとクリサの妹のほうが、中年になってやっと相手が見つかった所だった。 羊飼いの少年...
ギリシャを舞台のミステリ。 さびれた小さな町モルフィを身なりの良い太った男ヘルメス・ディアクトロスが訪れる。 折しも、結婚式に花婿が現れずに花嫁を嘆かせる事件が起きた日の夜。 不器量な二人姉妹ヌーラとクリサの妹のほうが、中年になってやっと相手が見つかった所だった。 羊飼いの少年アドニスは、母に言われて教会へ灯明を上げるために、スクーターでやって来たが、目の前に靴が飛んできたので驚く。 うずくまっていたのは花婿になるはずだったフランス人の医師シャブロル。何者かに目をやられて動かなかったのだ。 寒村の描写がリアル。 景色は美しく、料理は美味しそうなのとひどいのと、すごいばらつきがある。 やる気なさげな人々の中に、働き者も混ざっている。 ヘルメスが泊まる事になった街中の店は、色々な意味でものすごい。 立ち寄った修理工場は散らかっていたが、疲れた様子のそこの妻は料理上手で、休ませてくれた室内も清潔だった。 若い町長アンゲロスはいぜんの権力者達に疎まれ、罠にかかりそうになっていた。 ヘルメスは一計を案じる。 太った男の正体は謎のまま。 アテネから視察に来たというが警察ではないという…? ちょっとずつ手助けして膠着した事態に風を入れ、風のように去っていく。 珍しい風物が出てくるので、それを楽しめます。 著者は1959年英国生まれ。ギリシャで毎年、半年は暮らしているそうです。3作目。
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