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マイケル・フレイン(Ⅰ) の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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2013/03/10

BBC Radio 3 "Copenhagen" 予習として。 ベネディクト・カンバーバッチと量子力学、どちらも好きなので前々から楽しみにしていたラジオドラマである。BBC Radio は日本からもiPlayerで聴くことができるため、英語学習にもうってつけ。...

BBC Radio 3 "Copenhagen" 予習として。 ベネディクト・カンバーバッチと量子力学、どちらも好きなので前々から楽しみにしていたラジオドラマである。BBC Radio は日本からもiPlayerで聴くことができるため、英語学習にもうってつけ。何より番組の質が素晴らしく、昨年から気に入って聴き続けている。 まず、不確定性原理を扱った戯曲があるということにびっくり。作者のマイケル・フレインは物理学が専門というわけでもないようだし(大学の専攻はmoral sciencesらしい)どうしたらこのような作品を書こうと思い立つのだろう。「文」「理」の区別が日本ほどはっきりしていないということなのか。 私にとってはボーアもハイゼンベルクも量子力学の教科書の中の人物なので、彼らが生きて動く人間として描かれているのは新鮮だった。ボーアの「法王」っぷり、ハイゼンベルクの才気走った感じ、ともに興味深く読んだ。(このハイゼンベルクをベネディクト・カンバーバッチが演じるのかと思うとにやにやする。) ボーアの妻マルグレーテも出てくるのだが、彼女のキャラクターがあまり好きじゃなかった。なんというか、天才二人の関係性に入り込んだノイズのように感じてしまったのかなぁ。もちろん劇の進行上重要な人物なのは重々承知している。 原子爆弾開発については、まだまだ整理できていない。あの状況で原爆をつくらないという選択が人類に可能だったとは、現時点ではちょっと思えない。理論的に実現可能なものを実現しない、という選択はできるのか。 もちろん、原爆開発に関わったことをあとになって後悔する人々の言葉をたくさん読んだことがあるし、その反省は無論あって然るべきだ。でもまさに「当時」開発を放棄できたかというのはまた別の問題ではないだろうか。 慎重に扱われるべき事柄。もっと勉強する。 物理学との関係についてメモ。 そもそもハイゼンベルクの不確定性原理とは「交換可能でない物理量の組(運動量と位置、エネルギーと時刻など)は同時に測定誤差を0とすることは出来ない」というものであり、それ以上でもそれ以下でもない。「説明すればするほど曖昧に――不確定性が深まっていった」という一文に代表されるように、純粋な物理法則を人間心理のメタファーとして用いるという試みは、もはや物理学を完全に離れている。 こうした科学理論の「拡大解釈」については、賛否両論がある。とりわけ量子力学はその象徴性ゆえに人文系のフィールドでもしばしば言及されることがあるようで、議論の的になることも多いようだ。(なお、数学でもゲーデルの不完全性定理が同じような立ち位置にある様子。)実際、理学系の大学教授がこの点で文系批判をするのも何度か目にしたことがある。 本書のような文学作品に限って言えば、読む側が区別をわきまえている限りそう目くじらを立てるほどのものでもなかろうと個人的には思うが・・・・・・。

Posted byブクログ

2012/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不確実性とか原爆に関するボーアとハイゼンベルグのお話。 いくつかひっかかる言葉はあるんだけど、現代科学の背景を知っている人にとってはマイケルフレインはいつも期待を超えてくれないと思う。予想の範囲内で閉じている気がする。「相補性」という言葉を繰り返し使っているところは結構すき。でもなんか物足りない。

Posted byブクログ

2012/07/24

観劇はしたものの、ちゃんと読んでいない作品。 ハイゼンベルクとボーアの難解な量子力学・物理学談義が琴線に触れた。

Posted byブクログ