小林秀雄の昭和 の商品レビュー
小林秀雄の著作が、昭和という時代の流れとどう交錯しているかを読み解こうとする意欲作。文章のリズムに乗って読めるまでにやや時間がかかるのが残念。小林の著作を昭和の潮流と接続させようといささか無理を感じさせる所がなきにしもあらず。しかし、引用文献も多く、著者の意気込みはしっかり伝わ...
小林秀雄の著作が、昭和という時代の流れとどう交錯しているかを読み解こうとする意欲作。文章のリズムに乗って読めるまでにやや時間がかかるのが残念。小林の著作を昭和の潮流と接続させようといささか無理を感じさせる所がなきにしもあらず。しかし、引用文献も多く、著者の意気込みはしっかり伝わってくる。 カール・ヤスパースの『歴史の起源と目標』という著作が興味深い。「紀元500年を前後する時期に、東西の5つの地域において、人間精神のあり方を根元的に問う思考が現れ、人類の自我の目覚めが起こった」という指摘があるという。宗教の原点への問いかけは深く、これは著者の投げかけた私への宿題と受け止めた。
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