ホームレス・スタディーズ の商品レビュー
編者・青木秀男さんは、日本の野宿生活・ドヤ街・日雇い労働者研究の草分けの存在。 その青木さんの研究会の、若手研究者たちによる研究書。 いわば「0世代」研究者による、本格的、日雇い労働、野宿生活の研究書で、非常にためになるし役に立つ。 顔見知りの研究者もいるが、 彼等は、単な...
編者・青木秀男さんは、日本の野宿生活・ドヤ街・日雇い労働者研究の草分けの存在。 その青木さんの研究会の、若手研究者たちによる研究書。 いわば「0世代」研究者による、本格的、日雇い労働、野宿生活の研究書で、非常にためになるし役に立つ。 顔見知りの研究者もいるが、 彼等は、単なる研究者ではなく、 釜ヶ崎でのケアワークにも携わっている。 だから、具体的な「現場」のことが具体的に書かれている。 ただ、一点だけ、やはり世代の問題はある。 青木さん世代のすごいところは、 釜ヶ崎や山谷、寿に、ほんとに生活し(ケアワークではなく、 日雇い労働者として)、安酒を酌み交わし、ドヤに住み、 そこから声を挙げていた。 0世代の研究者は、支援者として当事者にかかわる人が多い。 だから、その文章は知的ツールとしては役立つが、 情が揺さぶられないことは否めない。 しかし、情が揺さぶれるだけで、 「釜ヶ崎って、やはり人情の町や」で終わったら、 何もならない。 知的ツールで行政と交渉することは、 状況を改善するために必要である。 青木さんが、今生活をしている広島の、 今まで語られなかった 「歴史と現状」を大急ぎで語っておられる。 非常に貴重な資料である。
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