さかいめの住処 の商品レビュー
“「文字に残すのは 記憶より便利だ 書いた者の手を 遠く離れ 誰かの 物になり… 時を超えて 忘れられることのない 記録となる… 文字にした途端に 存在する<生きる>ことができるんだ そしてまた その逆も然り」 「わあ 鳩は字は 読めませんが… それってよく わからない けれど ...
“「文字に残すのは 記憶より便利だ 書いた者の手を 遠く離れ 誰かの 物になり… 時を超えて 忘れられることのない 記録となる… 文字にした途端に 存在する<生きる>ことができるんだ そしてまた その逆も然り」 「わあ 鳩は字は 読めませんが… それってよく わからない けれど すてきですぅ 山吹様はこの山に 色んなことをしに いらしたのですね!」 「…うん」” 表紙に釣られて購入。 良かった。 雰囲気としては「蟲師」や「夏目友人帳」辺りと同じかも。 舞台が山で、自然と不思議なものたちと。 一冊終わりがすごく残念。 二話の内容がとても良かった。 見えない水と、“池”の具現化。 見開きのページには思わず見入る。 生まれつき心臓の弱い主人公天澤山吹。 祀られた刀にして守り神、要。 要に育てられた山鳩の山霊小鳩。 山の警備をする蜘蛛の山霊、厄雲。 物静かな山吹とテンションが高いというか活発な女学生の要のやり取りがすごく楽しい。 “謎が 深まる 「今日も 書くことが いっぱいある 山の守り刀の 苦手なものに ついて、とか。」 ピタッ 「山吹… てめぇ…」 「…お前 刀の思念であって 刀自身ではないのに あんなものが恐いのか?」 「こっ 恐いもんは 恐いんだよッ つーか何 書いてんだーッ」 少しずつ 知りあっていく。”
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閉ざされた山を舞台に、物の怪・土着の伝承あたりにさらりと触れていく現代伝奇物語。 日本刀を携える女学生の画が印象的だが、血生臭い異能活劇にあらず、常世現世…つまりあちら側とこちら側の世界の住人達が、その境目の上であるこの場所でやんわりと交錯する物語を描こうとしているように見受けら...
閉ざされた山を舞台に、物の怪・土着の伝承あたりにさらりと触れていく現代伝奇物語。 日本刀を携える女学生の画が印象的だが、血生臭い異能活劇にあらず、常世現世…つまりあちら側とこちら側の世界の住人達が、その境目の上であるこの場所でやんわりと交錯する物語を描こうとしているように見受けられる。 画は、特に人物画についてはかなり未熟さが残り、そこは作者自身も後書きで認めている(掲載誌の作家傾向を知らないためあくまで一般印象)。 物語の運びも、少々作者のお遊びコマの頻度が高く、本来この傾向の作品にこそ求められる神秘性・叙情的な雰囲気を損なわれる事が多かった。 テーマは良い。 閉ざされた山奥を舞台に、そこに住まう人外達との接触を描こうとした着眼点は自分の好みに合っていた。 このまま続刊されるのかの情報を知らないが、更なる上達への期待を胸に、続きを読んでみたいと思った。
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