1,800円以上の注文で送料無料

アレクサンドリア の商品レビュー

3.6

6件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    2

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/07/25

今から100年近く前に書かれた本でありながら、街の輝きを現代に蘇らせるような躍動感のある文体で、引き込まれるように読んだ。 特に、アレキサンダー大王から始まってプトレマイオス朝誕生からクレオパトラの死による終焉、図書館を中心に成熟する神と人間の関係を考え抜いた哲学、後のキリスト教...

今から100年近く前に書かれた本でありながら、街の輝きを現代に蘇らせるような躍動感のある文体で、引き込まれるように読んだ。 特に、アレキサンダー大王から始まってプトレマイオス朝誕生からクレオパトラの死による終焉、図書館を中心に成熟する神と人間の関係を考え抜いた哲学、後のキリスト教団誕生、イスラム教の支配、植民地化…。 著者がイギリス人なので、イスラムからの視点は弱いけれど、街自体が人間のように生き生きと輝いている様が分かる本でした。 アレキサンドリアに行きたくなります。

Posted byブクログ

2018/10/25

●ちと物足りない内容だったように思う。しかし、各時代におけるアレクサンドリアの様子を描いており、概観は理解しやすいかも。

Posted byブクログ

2012/08/30

"アレクサンドリア"、都市の歴史としては約2000年におよび、 その名が示すとおりにマケドニアのアレクサンダー大王が造った街です。 個人的には、伝説的な図書館があった街とのイメージを持っていますが、 2000年もの時の積み重ねはさすがに、重みがありますね。 ...

"アレクサンドリア"、都市の歴史としては約2000年におよび、 その名が示すとおりにマケドニアのアレクサンダー大王が造った街です。 個人的には、伝説的な図書館があった街とのイメージを持っていますが、 2000年もの時の積み重ねはさすがに、重みがありますね。 本書はそんな2000年の流れを手軽に俯瞰できる一冊になっています。 エジプト王朝からローマ帝国、トルコ時代、そしてナポレオン、 都市を軸にして地中海の歴史を追っていくのは、ちょっとした旅行気分でした。 著者のバックグラウンドはキリスト教的な価値観があり、随所でもそれが感じられますが、 決してそれに固執することなく、客観的な記述になっていると思います。 また一つ、いつか行ってみたい場所が増えました。

Posted byブクログ

2011/05/12

 E・M・フォースターの歴史ガイドブック『アレクサンドリア』(1922)が、昨年末に文庫化された(ちくま学芸文庫)。『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』『モーリス』で知られるイギリスの文豪の著作を読むのは、私にとってこれが初めてのこと。本書の初版が出た1922年、同性愛者のフォ...

 E・M・フォースターの歴史ガイドブック『アレクサンドリア』(1922)が、昨年末に文庫化された(ちくま学芸文庫)。『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』『モーリス』で知られるイギリスの文豪の著作を読むのは、私にとってこれが初めてのこと。本書の初版が出た1922年、同性愛者のフォースターは最愛の青年モハメッドを、まさにアレクサンドリアの地で結核のために亡くしている。そういう意味で、著者にとっても思い出深い因縁の書であると言える。  私が本書に手を伸ばした理由は、単純かつ現金なものだ。アレハンドロ・アメナーバル監督、レイチェル・ワイズ主演の映画『アレクサンドリア』をつい最近見たとき、この古代の学芸都市についてこれほど無知のままでいるのは恰好がつかない、と思ったからだ。映画としてすぐれているとか、そんな評価を吐くつもりはない。ヘレニズムの掉尾を飾った女性哲学者・天文学者ヒュパティア(370?-415A.D.)が、まだ新興宗教だったキリスト教の頑是ない信者集団に虐殺されるまでを扱った、ごく標準的な歴史ロマンである。以前にも拙ブログ上で白状したが、私はこの手のスペクタクル史劇に対して、どうにも点が甘くなる傾向がある。  当時、詩で謳われるほどその美貌で有名だったヒュパティアは、講義をおこなった帰り、キリスト教徒たちに教会へつれこまれ、生きたままカキの貝殻で肉を骨からそぎ落とされて殺害された。映画ではその蛮行を、フレームの外で起こったこととし、オフの物騒な音だけで示したにとどまるが、確かにそんなシーンを見たいとは、誰も思わないだろう。  フォースターの冷徹な筆致は、1個の都市が王命で建設され、理想的に育まれ、多くを生み出し、あこがれをもって見つめられたのち、衰退の道を避けがたく辿っていくプロセスを、淡々と素描してみたにすぎない。戦渦に巻き込まれたり、不運な火災が起きたり、暴徒によって略奪されたりするうちに、アレクサンドリア図書館は跡形もなく消滅した。文明とは、そうやって複合的に息の根を止められるものなのだろう。福島原発をみれば、わかる。人災と天災が重なり、その後も長期にわたってまずい対応(と非対応)が続いたりして、文明の終焉が、うっとうしいほど万端に準備されてゆく。  ある種のSF映画のように、宇宙人の襲撃や隕石の落下によって終わるなら、いっそさっぱりしている。だが現実的には、もっとグズグズとしてネバネバした煉獄のような崩壊のプロセスがあるにちがいない。

Posted byブクログ

2010/12/26

E.M.フォースター氏(1879-1970年)というイギリスの作家の方が書いた、アレクサンドリアへの観光者向け歴史書割愛版ってトコロでしょうか。コレを読んでアレクサンドリアに行けば、楽しみ倍増ってのがコンセプトじゃないかと。初版というか原版が1922年発行なので、若干パクスブリタ...

E.M.フォースター氏(1879-1970年)というイギリスの作家の方が書いた、アレクサンドリアへの観光者向け歴史書割愛版ってトコロでしょうか。コレを読んでアレクサンドリアに行けば、楽しみ倍増ってのがコンセプトじゃないかと。初版というか原版が1922年発行なので、若干パクスブリタニカな雰囲気を漂わせつつ、アレクサンドリアの歴史を紹介してくれます。

Posted byブクログ

2011/07/19

『眺めのいい部屋』や『モーリス』のE.M.フォースターによる、でもこれは小説ではなく、アレクサンドリアという街についての歴史案内小著です。予備知識としていくらかのものが必要かもしれませんが、この著だけでも楽しめます。歴史(文化・芸術含め)案内とはいえ、さすがフォースター、読み物と...

『眺めのいい部屋』や『モーリス』のE.M.フォースターによる、でもこれは小説ではなく、アレクサンドリアという街についての歴史案内小著です。予備知識としていくらかのものが必要かもしれませんが、この著だけでも楽しめます。歴史(文化・芸術含め)案内とはいえ、さすがフォースター、読み物として面白い。「ギリシァ精神が多くの迷いから解き放たれ、物質世界にたいして、かつてない支配力を持つに至った時代に建設されたアレクサンドリアは、ある意味ではギリシァよりもはるかにギリシァ的な都市であった。もちろん時とともにロマンスもつけ加えられたが、アレクサンドリアはまず一切の過去を持たぬ、純白に輝く驚異の大理石の都として出発したのである。」という文章なども美しい。随所に英国人フォースターらしい皮肉が利いた表現も見られる。アレクサンドリア、なんとも複雑にして抗い難く魅力的な都市です。それをこの文庫1冊で、それもフォースターの文章によって俯瞰できるのが嬉しい。

Posted byブクログ