ブルガーコフ作品集 の商品レビュー
「モルヒネ」 中毒者の心情が痛切に伝わってくる。その意味でサルトルの『水入らず』に収録されている、「壁」に通じるものがある。前者においては中毒者の苦しみ、後者においては処刑により死が逃れられないものとして迫ってくる苦しみは、誰も取り除くことができない。自分の努力によっても他人の力...
「モルヒネ」 中毒者の心情が痛切に伝わってくる。その意味でサルトルの『水入らず』に収録されている、「壁」に通じるものがある。前者においては中毒者の苦しみ、後者においては処刑により死が逃れられないものとして迫ってくる苦しみは、誰も取り除くことができない。自分の努力によっても他人の力によってもどうすることもできないと感じる点にある。これらは経験しなければ分からない苦しみであり、それを中毒者の苦しみを体験したブルガーコフにとってその表現は現実味を持つように思える。 また、モルヒネの投与によって恍惚となる場面は惹きつけられるものがある。
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