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2018/05/16

「ある日、/姉と私は、扇風機の羽の中心に、色エンピツの先をそっと差し入れた。扇風機は全体がうす黄緑色だったが、回転するその中心に紫や橙のエンピツをあてると、ほんのちょっとあてるだけで、一瞬にして色の輪がうまれた。エンピツの色を変えて位置をずらせば、虹色のカラフルな扇風機が出来上が...

「ある日、/姉と私は、扇風機の羽の中心に、色エンピツの先をそっと差し入れた。扇風機は全体がうす黄緑色だったが、回転するその中心に紫や橙のエンピツをあてると、ほんのちょっとあてるだけで、一瞬にして色の輪がうまれた。エンピツの色を変えて位置をずらせば、虹色のカラフルな扇風機が出来上がった。両親は共働きで、夕方は私たちの時間だった。」 ー 「ある日、/私は雪の結晶を見ていた。/十一階のマンションの小窓に/精巧な小さな六角形を見つけたのだ。/雪の結晶は窓に点在し、/張り付いていた。/あれはどんな冬のひと日だったのか。/見つけたのは朝だったか昼だったか、/雨から雪に変わった日だったか、/朝から雪の日だったか、/風はどうだったか、/覚えていない。/それでも私は奇跡でも見るように/窓のその美しい形状に見入っていた。/透明なその日の/そこだけが残り/今でも私をにこやかにする。/その力で/結晶が私に張り付いている。」

Posted byブクログ