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土の器 の商品レビュー

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2014/02/04

1974年下半期芥川賞受賞作。タイトルからは、まったく内容の想像がつかないが、語り手の「私」(おそらくは、ほぼ等身大に作者自身に重なると思われるが)の母の終末期を克明に描いたもの。小説としての完成度は低くはないが、芥川賞に相応しかったかどうかは疑問。つまり、斬新さに欠けるのだ。そ...

1974年下半期芥川賞受賞作。タイトルからは、まったく内容の想像がつかないが、語り手の「私」(おそらくは、ほぼ等身大に作者自身に重なると思われるが)の母の終末期を克明に描いたもの。小説としての完成度は低くはないが、芥川賞に相応しかったかどうかは疑問。つまり、斬新さに欠けるのだ。それ以前にも候補になったらしいのだが、どちらかといえば直木賞向きではなかったか。描写は丁寧だし、病者(まして母)を前にしての煩悶もよくわかる。しかし、所詮は裕福な境遇の中での死と、その周縁の者との甘やかな葛藤の物語だ。

Posted byブクログ