1,800円以上の注文で送料無料

芸十夜 復刻版 の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2010/12/24

1971年に行われた八代目坂東三津五郎と武智鉄二の対談。玄人同志の本気話なので難しいところも多いが(ほとんど註がない)、とくに標題にある「芸」というもの、その概念の豊かさについては、どんな読み手でもそれぞれに刺激を受けると思う。「時代錯誤」ではなく「反時代的」なテクスト。 【三...

1971年に行われた八代目坂東三津五郎と武智鉄二の対談。玄人同志の本気話なので難しいところも多いが(ほとんど註がない)、とくに標題にある「芸」というもの、その概念の豊かさについては、どんな読み手でもそれぞれに刺激を受けると思う。「時代錯誤」ではなく「反時代的」なテクスト。 【三津五郎】今の邦楽が悪くなったのは、自分の声をテープで聞けるでしょう。だから自分で聞いてみて、ウム、案外いけるなと思っちゃうんですよ。だからお素人の小唄と同じで、小節(こぶし)は上手になるけれども、肝心の本物がわからないんですよ。 【武智】呼吸(いき)はテープにとれないですからね。テープでは上げ下げしかわからない。逆に山城を聴く会で一日しかやらないで、懸命に聞いたものは、全部覚えていますものね。やっぱり聞く気持ちですね。(80~81頁) 【武智】芸のみなもとを探る一つの方法として、書がありますね。といっても今の書道を習えというんでなくて、王義之と顔真卿を見つめるんですね。〔…〕それの一本の線を――横に引く線でもいいんです、それを自分で見つめて、書いてみるといいと思うんです。〔…〕 【三津五郎】息づかいだってわかる――。 【武智】そうなんです、息づかいがわかるんです。(208頁) 【三津五郎】やればできるじゃありませんか、という考え方がこわいんです。 【武智】そうなんです。なんでもなくやれることを、なんでもなくやれないようにして、そのなんでもなくやれないところから、なんでもなくやれるところをつかむというところが、伝統芸術の根本なんですね。(219頁)

Posted byブクログ