ルソーを学ぶ人のために の商品レビュー

桑瀬章二郎【編】

2020/08/15

ルソーの思想の多面性を、さまざまな角度から考察している本です。

本書の「はじめに」で、「かつてルソーを読んだと称するひとびとが、ルソーについてはすべてが語りつくされた、と口にするのを耳にすることがある。そうした言葉は、往々にして解釈者の怠惰と知的凡庸さの告白にすぎない」と記されています。ホッブズやロックとならぶ社会契約論の提唱者であり、ロマン主義文学の先駆者であり、理想主義的な教育論の提唱者であり、さらにヒュームとのかかわりに典型的に見られるような強迫観念にとりつかれた思想家といったイメージで語られているルソーですが、そのもっともよく知られる「一般意志」の概念がきわめて矛盾的な性格をもっているように、彼の思想は単純なイメージによって割り切ることのできるようなものではありません。本書は、そうした複雑なルソーの思想を、さまざまなテーマにそくして検討しています。

入門書の体裁をとっている本ですが、執筆者たちはルソーの複雑な思想の内側に入り込んでいくような議論を展開しており、彼の思想をわかりやすいイメージに還元することは避けられています。どちらかといえば論文集に近い性格の本ではないかという印象です。

2018/09/03

ルソー、大分紙一重な人物説！
哲学者の不思議。

ルソーて、超有名で何したかもなんとなく知ってそうだったのに、実は思想を何も知らなかったんだな～！！て、これ読んで気づきました。
読んで良かった。

ルソーは、人間の自然状態、不平等の起源から、言語論（&子どもの成長論）から、政治（社会契約）、教育、芸術論まで幅広くカバーした、哲学者であり小説家であり写譜家だった(笑)。
反骨精神旺盛すぎる。

2021/01/05

どういう人に向けて書いてある本なのかわからん。すくなくともルソー初学者ではないだろう。

もう少しルソーから距離をとってほしい。「一般意志」の解釈を探したけどそんな論じられてなかった。

まあよく言えばルソーの多面的な魅力をさぐる、みたいな感じ。