アメリカン・デモクラシーの逆説 の商品レビュー
2016年のアメリカ大統領選挙に向けた運動が激しさを増しています。 本書はアメリカ研究者として著名な筆者が2009年のオバマ大統領就任後に執筆したもので、 現代アメリカが抱える様々な社会問題を大統領選挙や当時の政策との関わりから解き明かしています。 2010年秋に刊行された図書の...
2016年のアメリカ大統領選挙に向けた運動が激しさを増しています。 本書はアメリカ研究者として著名な筆者が2009年のオバマ大統領就任後に執筆したもので、 現代アメリカが抱える様々な社会問題を大統領選挙や当時の政策との関わりから解き明かしています。 2010年秋に刊行された図書のため、若干古さを感じる部分もあるかもしれませんが、 オバマ政権を振り返るとともに、これからのアメリカを展望する意味でもおすすめの一冊です。 (ラーニング・アドバイザー/図情 KOMINAMI) ▼筑波大学附属図書館の所蔵情報はこちら http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1384696
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わたしにとっては非常に難しい本でしたが、諦めずに最後まで読んでよかったです。 オバマの話を軸にしつつ、現在のアメリカ社会のいい面も悪い面もしっかり描かれていてとても勉強になりました。
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全体の印象として、(いい意味で)岩波新書っぽい本を読んだなぁと感じました。アメリカ社会の断面を、奥行きと歴史観を持った切り口で分析します。そして、それでも変化しながら前に進むところに、消えることのない小さな希望を見出していく。
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アメリカの二大政党制について。どちらもマジョリティの支持を得ようとするとき、大まかな主張は似通ってくる(どちらも、政策は中道化する)。しかし、選挙というイベントを勝ち抜くためには、対立点が明確な「文化的差異」が前面に出てくることになる。些末な「文化的差異」が、政権与党を決めるキャ...
アメリカの二大政党制について。どちらもマジョリティの支持を得ようとするとき、大まかな主張は似通ってくる(どちらも、政策は中道化する)。しかし、選挙というイベントを勝ち抜くためには、対立点が明確な「文化的差異」が前面に出てくることになる。些末な「文化的差異」が、政権与党を決めるキャスティングボードを握るというこの不条理。日本の二大政党制も、ホント、些末な点に拘泥したし、そう、あの大正デモクラシーの末期も同じだったのかも・・・その混乱の中で、最終解決を与えられるのは軍部だけだとなる。ナポレオン登場と同じ構図が繰り返された、と。理念先行のデモクラシーが陥る構図なのかもしれない。軍部のような絶対的な力がない、現代の日本では、どうすればよいのか?絶対的な、「空気」を作ったものの勝ちか?
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トクヴィルを読んでいなかったので、自身がこの本の意図に沿わない読者であったかもしれない。 「自由」、「民主主義」という建国時からアメリカの根幹をなす精神(アメリカにとっての「正義」)が近年、制限のある「自由」、何かのための「民主主義」にとって代わっていると理解した。 アメリカ...
トクヴィルを読んでいなかったので、自身がこの本の意図に沿わない読者であったかもしれない。 「自由」、「民主主義」という建国時からアメリカの根幹をなす精神(アメリカにとっての「正義」)が近年、制限のある「自由」、何かのための「民主主義」にとって代わっていると理解した。 アメリカの歴史において、保守とリベラルの間で世論やトップが振り子のように動いている。 しかしながら、変化のスピードが速く、一国だけでは存在しえない現代にあって、そのスピードと規模に人々の考えや思いがついていけないという状況にあるのではないだろうか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
10月8日のマル激トーク・オン・ディマンドに渡辺靖氏が登場し、興味を持ったので早速、最近の著作を読んだ。この本の出版は昨年の10月なので、最近の情勢についてはマル激の方がタイムリーではあるが、アメリカの最近の動きを理解するにはうってつけの本である。 大きな流れとして、米国は大恐慌から1980年まではリベラルの時代であった。それが70年代に行き詰まり、レーガンが登場した1980年から保守の時代になった。クリントンは民主党右派であるし、オバマも中道でリベラルではない。したがってオバマの登場によりリベラルの時代に回帰したわけではない。 オバマ再選の可能性は、失業率が改善されていないこともありかなりの苦戦が予想されている。 米国には強い政府への不信があり、セルフガバナンスが伝統である。なんでも政府に任せようとする国とは大違いである。それから、宗教という次元がきちんと機能している。このことが自由主義でもなんとか社会が機能している理由である。また、自らを変革する能力も存在している。いろいろな米国終末論があるが、ネグリ・ハートのいう「帝国」における有利なポジションにあることは確かだ。 この本は、ニューオリンズ、ゲーティドシティ、メガチャーチ、ボストンの白人スラム街、「ボストンのバラモン」等多くの現地調査をもとに書かれてるのがこの本の強みだ。米国の深層について理解することができる。
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電車の中で、あとがきにかえて、を読み、涙がポロポロとこぼれた。 アメリカは、決してかつてアメリカが理想としたアメリカではないかも知れないけれども、トクヴィルが言うように、アメリカではアメリカ以上のものを見ることができる。 自由と人権と民主主義のイデアとしての自画像を忘れない限...
電車の中で、あとがきにかえて、を読み、涙がポロポロとこぼれた。 アメリカは、決してかつてアメリカが理想としたアメリカではないかも知れないけれども、トクヴィルが言うように、アメリカではアメリカ以上のものを見ることができる。 自由と人権と民主主義のイデアとしての自画像を忘れない限り、アメリカはずっと自己修正し続ける。
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大雑把に自分の感想や知ったことをまとめると・・・ ①アメリカ政治・社会の様々な二項対立構造の事実を知った。その対立構造に苦しむ国であることを知った。日本はアメリカと比較して、全然ダメで・・・ということではなく、アメリカも苦しんでいるんだ。 ②一つ前に読んだ、反哲学入門に登場した哲...
大雑把に自分の感想や知ったことをまとめると・・・ ①アメリカ政治・社会の様々な二項対立構造の事実を知った。その対立構造に苦しむ国であることを知った。日本はアメリカと比較して、全然ダメで・・・ということではなく、アメリカも苦しんでいるんだ。 ②一つ前に読んだ、反哲学入門に登場した哲学者がちょっとだけ出てきた。関連をおさらいしたい。 もう少し詳細に。 ①共和党・民主党、白人・それ以外、自由放任・リベラル※、キリスト教の穏健・保守等々、アメリカには様々な二項対立構造が存在する。それを内包する形で登場したのがオバマ大統領。その大統領も中間選挙で大敗。具体的な問題も多く発生していて、状況は深刻であることを理解した。 (そんなことを思っていた矢先に、民主党議員が銃で撃たれ、巻き込まれた子供が死亡してしまうという悲劇が起きた。深刻というレベルを超えている。選挙のたびに行われるネガティブキャンペーンなんかもそうだ。ちょっとひどい。) ②哲学者カントの記述 カントは”徹底した懐疑精神と現実主義の持ち主”として記されている。アメリカの対外政策を記した章で出てきた。 (このほかにアウグスティヌスが出ていたけど、どこか分からなくなってしまった・・・) 非常に分かりやすく、読みやすい本であった。 アメリカの現在をよく理解することのできる良本であると思う。
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アメリカの事を知りたいという欲求に、十分過ぎる現場の文献と実地見聞レポートでもって、応えてくれる良書である。 渡辺氏のあとがきに、とても心が熱くなった。大学のcommencementの雰囲気が伝わってきて、アメリカの懐の深さに自分も惹かれていることを再確認した。
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良書。アメリカのイデオロギー的文化が、著者の優れたフィールドワークを踏まえてわかりやすく論じられている。現在のアメリカの抱える暗鬱にもみえる諸問題を浮き彫りにしつつ、最後には希望の光を投じている。
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