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寂しい国の殺人 の商品レビュー

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2015/12/01

酒鬼薔薇聖斗事件の発生を受け、若者が「殺人」を犯したり「援助交際」を繰り返したりするのは寂しいからだ、と筆者は言う。なぜ若者は寂しいのか。いや、寂しいのは若者だけではない。 「近代化」の済んだ日本には国としての目標がなくなった。これからは各個人が目標を設定していかなければならない...

酒鬼薔薇聖斗事件の発生を受け、若者が「殺人」を犯したり「援助交際」を繰り返したりするのは寂しいからだ、と筆者は言う。なぜ若者は寂しいのか。いや、寂しいのは若者だけではない。 「近代化」の済んだ日本には国としての目標がなくなった。これからは各個人が目標を設定していかなければならない。目標が設定できない若者は寂しいままなのだという。 学校や職場、家庭でも完全に安定している人間関係はない。それも寂しさの一因だ。中学生くらいの年代は急に成長するし知識も増える。その一方で社会に触れる機会は少ない。たくさん知識を持っているのにそれを使って想像力を働かせる機会がない。そこでよくない想像に走ってしまうことがある。「悪意」や「殺意」だ。 少年法が改正されて、何歳だろうが重罪を起こしたら死刑というようにしても、今回事件を起こした少年を殺しただけで、国の若者の「悪意」「殺意」が止まるわけではない。また、第二の酒鬼薔薇聖斗が現れてくるだろう。 「悪意」「殺意」にさいなまれないように、自分自身目標を持ち、自分の子供やこれから接していく子供たちに目標を持たせるように生きていきたい。

Posted byブクログ

2014/08/22

金とブランド品という価値観は近代化を果たしていないかつ途上国のもの。先進国はブランド品を創出して市場で売ることができるし、国として十分な外貨を持ち、自国の通貨も強いから、金が欲しい、ブランド品を手に入れたいとすることだけが価値観とならない。 戦争の遂行は近代化のハイライトだった。...

金とブランド品という価値観は近代化を果たしていないかつ途上国のもの。先進国はブランド品を創出して市場で売ることができるし、国として十分な外貨を持ち、自国の通貨も強いから、金が欲しい、ブランド品を手に入れたいとすることだけが価値観とならない。 戦争の遂行は近代化のハイライトだった。国民が一丸となるための、これ以上のモチベーションはない。

Posted byブクログ

2012/08/12

1997年の、14歳による児童殺傷事件を機に書かれ、1998年に発刊された本のシングルカット版。 シングルカットということは、1998年版からの一部抜粋ということなのか。 著者は、あの時代から日本を覆い始めた、どこか憂鬱な空気の根源を「近代化の終焉」と「寂しさ」に求めている。 ...

1997年の、14歳による児童殺傷事件を機に書かれ、1998年に発刊された本のシングルカット版。 シングルカットということは、1998年版からの一部抜粋ということなのか。 著者は、あの時代から日本を覆い始めた、どこか憂鬱な空気の根源を「近代化の終焉」と「寂しさ」に求めている。 僕は1988年生まれだが、「酒鬼薔薇聖斗」によるあの事件について全く知らない同世代の人が わりといることに驚いたことがある。事件当時は9歳だったか。 「酒鬼薔薇聖斗」の中に自分の名前に使われる漢字が含まれていたからかな。 当時はこの名前がテレビで連呼されていて、自分が何か悪いことをしたんじゃないかという気分になった。 そんな記憶が、強く残っている。 村上龍氏といえば、311震災後にニューヨークタイムズ紙に寄稿して話題になったな↓ http://www.timeout.jp/ja/tokyo/feature/2581/  (日本語訳あり:タイムアウト・トーキョー) 力強く、率直な言葉。この即効性が、作家の持ち味だと思う。 言葉の力に「感染」する。良い意味でね。びりびりっ、ときて、背筋がしゃんとなる。 そんな言葉に飢えている気がする。

Posted byブクログ