1,800円以上の注文で送料無料

“反"知的独占 の商品レビュー

4

10件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2020/04/06

難解な本ではないけど、ボリューム多いしトピックも多いので、何度か読む必要ありそう。 -特許、著作権などの知的独占は、イノベーションを阻害している -オリジネイターが利益を得る方法は別にあるし、今の特許制度もそれほど利益をだしてなくて、大企業とパテントトロールのみを利している ...

難解な本ではないけど、ボリューム多いしトピックも多いので、何度か読む必要ありそう。 -特許、著作権などの知的独占は、イノベーションを阻害している -オリジネイターが利益を得る方法は別にあるし、今の特許制度もそれほど利益をだしてなくて、大企業とパテントトロールのみを利している -そうした知的独占がないほうがイノベーションは伸びる ことを、発明、特許、ソフトウェア、音楽、出版、製薬、など様々な業界を対象に検証している。 商標は指定してない。コピー品ビジネスなどは否定している。 でも、逆に言うと「商標などの仕組みでオリジネイターの利益は守れるし、知的独占は害のほうが大きい」と言い切り、かつ事例もデータも誠実に引いてるのが素晴らしい。 山形浩生さんの訳者解説もいつにも増してノッてるように思われる。 ちょっとよくわからないのが、「独占」はいいことが悪いことなのか。Linuxは圧倒的シェアを持ってるけど、それは別に悪くない気がする。 多くの場合で独占はたぶん悪いことなんだけど、競争そのものを排除せずにうまく独占をやめさせる方法はなんだろう。 また、セグウェイの話で出てくる「発明家がそれで自動車の価値がなくなると本当に思ってるなら、さきに車会社の株を空売りしておけば利益確保できた」というのはいまいち同意できない。 量産が強い会社が、安価な模倣品をたくさん作ることで市場を持っていくことについては、たしかにそのほうが人類のためかもしれないが、工場に近い人たちしかインセンティブが働かなくなる。 音楽アルバムの著作権収入がゼロになってもグッズ等で儲かる話も、零細ミュージシャンにはつらそうな気がする。(音楽の章はレコード会社のビジネスと著作権のどちらに問題があるのか、もう一回読まないとならなそう) 本では「発明者は一番手で、模倣者は一番手が利益を出てからコピーを始めるので、先行者利益としては充分」というが、中国と北欧みたいに製造力が違いすぎると、あとから出てくるほうが有利すぎる。それはいいんだろうか。グローバル化についても記述はあり、再読したほうがよさそう。 ただ、実際はそういう人も、特許料で利益を得てるわけではなくて広告等別の形で利益を得ているので、本書の趣旨の「知的独占は良くない」とは矛盾してない。 何かの発明について、特許以外の方法で発明者に報いるやり方は何か、と考える選択肢を増やすことはすごく意味がある

Posted byブクログ

2014/06/26

特許などの知的財産を守る法律は、世界の発展の邪魔になっているんだ、という話。目から鱗、というより、そうかそういう見方をしてもいいんだ、とすっきりした。Appleが「丸みを帯びた四角」で特許をとったり、松本零士が歌詞のことで歌手を訴えたり、大の大人がなんなのそれ、とは思いながら、で...

特許などの知的財産を守る法律は、世界の発展の邪魔になっているんだ、という話。目から鱗、というより、そうかそういう見方をしてもいいんだ、とすっきりした。Appleが「丸みを帯びた四角」で特許をとったり、松本零士が歌詞のことで歌手を訴えたり、大の大人がなんなのそれ、とは思いながら、でも知的財産って大事なことだからな、と思っていたぼくは知らず知らず洗脳されてたのかもしれない。 とはいえ、ちょっとすっきりしない点も多々。たとえばブランドの偽物は? この本でははっきりした線引がされないが、不必要な知的独占と、必要な知的独占?があるのでは? 知的独占をせずに発展したオープンソースについてもっとつっこんで欲しい。対立する意見も取り上げているが、扱いはちょっと雑で、納得性はあまりない。

Posted byブクログ

2014/02/27

本書の意義は、知的独占を認める特許の社会的意義が、一般に認識されているほど自明ではなく、むしろ社会的厚生を低下させている可能性すらあることを、示したことにある。 全撤廃を0、現状を1とし、その間のグラデーションを含めて、どの地点が最適かを議論することは、非常に面白く、また有益で...

本書の意義は、知的独占を認める特許の社会的意義が、一般に認識されているほど自明ではなく、むしろ社会的厚生を低下させている可能性すらあることを、示したことにある。 全撤廃を0、現状を1とし、その間のグラデーションを含めて、どの地点が最適かを議論することは、非常に面白く、また有益であろう。しかし、いくら過去事例をもとに数値シミュレーションを行ったところで、仮定の起き方次第で結論が180°変わるであろうことは目に見えているため、社会的実験を行う他に客観的結論を得ることはできそうにないが、これは政治的観点から見て、不可能である。つまり、イノベーションを促す最適な制度設計に関する客観的な答えは、永遠に出ない(これは、知的財産権にかぎらず、あらゆる制度設計に対しても言えること)。 従って、採用すべき制度の意思決定を論理によって成すことはできず(これはコンドルセのパラドックスなどに鑑みれば、別に真新しいことではない)、最終的には、文化思想信条信念価値観上、どの制度が好みか、という感情論に基づく決定にならざるをえない。ヒッピー寄りの価値観を持っている者(オープン・ソース・コミュニティに生息している人間の多く)は、知的財産権全撤廃寄りの制度を求めるだろうし、エスタブリッシュメント寄りの価値観を持っているもの(エリート畑を歩んできた官製独占企業の経営者など)は、知的独占権を推進するだろう。後は、どちらが、中間層の感情をより強く引き寄せるソフト・パワーを獲得するに至るか、という問題に帰着する。 その意味で本書は、知的独占の弊害を示す事例をこれでもかというほど記述して大いに話題をさらい、一部中間層に「え~、特許ってこんな風に使われてるのか~、こんなの嫌だな~」と思わせる上で一役も二役も買った。文化思想信条信念価値観ブロックの激突における、ヒッピー陣営からの一撃としては、記念碑的価値があったといえよう。 よって☆5つ。

Posted byブクログ

2013/11/11

特許や著作権などの「知的独占」は本当にイノベーションやクリエイティビティを高めるのか?という多くの人が前提としている命題に食い込む。多様な事例をもとに、特許や著作権の制度は、イノベーションにつながらないばかりかむしろ有害であると主張。制度自体の廃止を提言している。以前から疑問に思...

特許や著作権などの「知的独占」は本当にイノベーションやクリエイティビティを高めるのか?という多くの人が前提としている命題に食い込む。多様な事例をもとに、特許や著作権の制度は、イノベーションにつながらないばかりかむしろ有害であると主張。制度自体の廃止を提言している。以前から疑問に思っていた特許の有効性を考える上でとても参考になる。

Posted byブクログ

2013/06/22

率直に言えば、レッシグの著書に中途半端に経済学的味付けをしただけのような内容で、あまり目新しさは感じられない 論旨に共感はしつつも、論考に同意する事はなかった クリス・アンダーソンが何冊かの著書で分かりやすい形で実践してるんだから、レッシグ分からない向きはそっちでいいんでないかし...

率直に言えば、レッシグの著書に中途半端に経済学的味付けをしただけのような内容で、あまり目新しさは感じられない 論旨に共感はしつつも、論考に同意する事はなかった クリス・アンダーソンが何冊かの著書で分かりやすい形で実践してるんだから、レッシグ分からない向きはそっちでいいんでないかしら

Posted byブクログ

2012/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この業界にいる人は、一度読んでおくべきだろう。自由経済主義の経済学者が書いた知的財産独占不要論。 製薬分野での知識がないため、本書の主張が正しいのかわからないが、少なくともエレクトロニクス分野では反論は難しい。一言でいうと、特許や著作権が創作者のインセンティブになるというのは誤った固定観念で、特許保護が無い時代のほうが有用な発明が生まれたし、特許がイノベーションを増やしたという証拠はない。特許がなければ開発投資を回収できないというが、実際には特許で初期投資を回収した例は殆どなく、特許になる前の市場での先行者利益で回収される。 著作権など無い方が良いという著者の主張通り、原文は無料公開されている。 http://levine.sscnet.ucla.edu/papers/anew.all.pdf 和文解説 http://orion.t.hosei.ac.jp/hideaki/rageagainst.htm

Posted byブクログ

2012/03/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ミケーレ・ボルドリン&デヴィッド・K・レヴァインは『<反>知財独占』のなかで、 「もしアイデアが簡単に模倣されたら、『最初にアイデアを思いついて具体化した人』には何の報酬もなくなるだろう。アイデアは知的独占権を保証して保護し、『正当な』報酬を得させよう。そうすればインセンティブ、つまり『次も頑張ろうと思える身心の糧』がえられるはずだ」 という論理をものの見事に覆しています。 ボルドリン&レヴァインが論じた内容。それは 『知的財産権による独占、権利保護が、かえって経済発展の邪魔で、お金の回転や人の成長を悪くしている』 ということです。 特に『第7 章 知的独占の擁護論』で挙げられた『価格のつかないスピルオーバー外部性』、『模倣の外部性』について、です。 わかりやすい身近な例で論じられているので、こちらに引用しましょう。 手押し車が発明された後、これを砂や泥や肥料の輸送で生産的に利用するには、みんなに見えるところで使う必要がある。通りがかりの人は、だれでも手押し車を使っているところを見て、手押し車のアイデアを手に入れることができる。そして大急ぎで家に帰って、自分でも手押し車を組み立てる。このようにして、貴重な手押し車の知識が発明者の許可なしに、支払いもせずに伝わる (『<反>知財独占』草稿の下訳PDF、129ページ『価格のつかないスピルオーバー外部性』より引用) 知的財産擁護論者は、この例から 「これでは、手押し車発明者には何も与えられない。 発明にかけたコストが回収できない。 発明によって手に入ると期待していた利益もあげられない。 こんなことでは、経済人はだれも発明家に投資しないし、発明家は発明を止めてしまい、経済は停滞して国家は破たんし失業率はうなぎのぼりになるであろう!」 という論理を展開しているそうです。 私たちのような一般人も、こうした論理を「権威ある研究者がそう言っているんだし、法律だってそうなってるんだから、こうあるべきだよね」と思い込んでいます。 思い込みは危険です。私たちの行動を決める前提はたくさんあります。そのひとつ、法律の存在です。 もし法律の拠り所となった経済学の権威がおかしいとなったら? 法が保障しようとする『権利の枠組み』すら疑ってみることは、大事なことですし、論理的にも当然の行動でしょう。 Webで「入手時に無料で手に入れられたものには対価を払う必要はない」というのは、おかしな論理です。 商品入手時やサービス受けた時点でお金を払わなくても、後払いの通信販売や、食後にお会計するレストランは沢山あります。 多くの人が、それを当然のこととして利用していらっしゃるんですもの。Webだけが異様な状態なのです。 不況及びお小遣いカットで、貧しい人が沢山いて、それでも音楽が好きで、動画も好き、という友人たちが、 「どんなに小さくても、お金の形で『アリガトウ』を届けてあげたい」 と思うような作品。 そういう作品を、沢山作り出していけるように。こういった基礎的な経済分析はとても重要だと思います。 白田 秀彰教授による、『<怒>知的独占』もまた、優れた小論文ですのであわせて一読をお勧めいたします。http://orion.t.hosei.ac.jp/hideaki/rageagainst.htm

Posted byブクログ

2012/01/21

流し読み。 結論:特許・著作権は有害、廃止すべき 理由:①特許や著作権は競争・イノベーションを阻害し、社会的効用を下げる    ②特許や著作権がなくても、アイデアを考えた人にはお金が流れる  理由①については一応納得できる。「特許・著作権」って「独占」の状態とも言えるわけで、...

流し読み。 結論:特許・著作権は有害、廃止すべき 理由:①特許や著作権は競争・イノベーションを阻害し、社会的効用を下げる    ②特許や著作権がなくても、アイデアを考えた人にはお金が流れる  理由①については一応納得できる。「特許・著作権」って「独占」の状態とも言えるわけで、「独占」が良くないことは感覚的にも理論的にも理解できるし、「オープンソース」に基づいたサービスが次々と生み出されている現状にも合致している。  ただ、②は本書でいくら説明されてもなかなか納得できない。本書では特許や著作権がなくても特許発案者や著者は十分に利益を得られる事例がいくつも紹介されているんだけど、その例がちょっと微妙だ。例えば、人気ミュージシャンが知財として保護された商品(=CD)の売上から得る収入はほんのわずかだと具体的な数字を出しながら説明しているが、それは知財の問題というより、音楽業界の収益構造の問題だと思う。また、本の著作権収入の例でアメリカの政府文書を出すのは不適切だ(もちろん、著者自身も政府文書と商業本では状況が異なると認めてはいる)。  このように、特許や著作権を「廃止すべき」という主張には納得できないものの、「やみくもに強化しようとする現状は危険」という主張には共感できる。ただ単に「強化」するだけではなく、クリエイティブ・コモンズのように「柔軟」にすることが大切なのではないかと思う。  本書の結論に共感できる人がどれくらいいるかは分からないけど、豊富な事例と学問的な分析(著者は経済学者)をもとに書かれており、「刺激的」な本ではあると思う。  本書を読んだ上で、特許や著作権について自分なりに考えた結果、「権利は守るべきだけど利権はなくすべき」という考えに至った。

Posted byブクログ

2011/12/09

 経済学者が知的財産権を全否定するすっごくラディカルな書。要するに知的財産を独占させることは競争を否定することであり,百害あって一利なしという刺戟的な説を滔々と述べる。  知的財産制度は,中世に恣意的に賦与されてた特権を多少修正した制度にすぎず,本質は独占である。早く来た移民が遅...

 経済学者が知的財産権を全否定するすっごくラディカルな書。要するに知的財産を独占させることは競争を否定することであり,百害あって一利なしという刺戟的な説を滔々と述べる。  知的財産制度は,中世に恣意的に賦与されてた特権を多少修正した制度にすぎず,本質は独占である。早く来た移民が遅れてきた移民を排除するようなもの。しかも知財は,土地とか動産とかいう有形物でなく,情報という無形物に与えられるから余計に始末が悪い。  インセンティブを与えるために独占権の付与が必要というのが定説だが,モーツァルトやベートーヴェンの時代には著作権はなかったことなど,著者たちはいろいろ例を挙げて異を唱える。知財がなくても発明はなされ,作品は作られてきた。インセンティブとしては,先行者利益で充分。模倣には時間も金もかかる。マネされないうちに,自分の技術・作品から利益は得られる。それが発明・創作のインセンティブになる。  それどころか,知財があるために技術革新が滞ることも多い。蒸気機関の改良は,ワットの特許が切れるまで進まなかったし,初期の飛行機の発達は,ライト兄弟の特許がなかったフランスで進行した。  独占者がレントシーキングすることは社会的な損失となる。独占利益を維持するために,生産に結びつかない監視・訴訟などの活動に興じる不毛。  しょうもない特許が成立することも多く,サブマリン特許,パテントトロールの問題もある。特許のほとんどは防衛的に取得されるのでその数も必然的に多くなり,審査にも維持にも時間とコストがかかる。知財がなければこのような無駄な労力は要らない。  そんなこんなで,著者たちは知財権を徐々になくしていくべしと主張する。とりあえず期間を短くするとかして権利を弱めることから始める。ただ世の中の状況はこれとは反対に権利を強くし,また途上国にも法整備を迫るなど,地理的にも拡充していく方向。  まあ極端な論,ということにはなろうが,巷間無闇に叫ばれる知財礼賛の言説に対する良い冷や水にはなっている。歴史的な経緯から制度としてはかなり定着しているので,弊害が少なくなるような運用を考えていくのがいいかな。著作権は登録制とかいいかも。特許など,現状では何でも一律で同じ期間保護されている。これもベストではないんだろうが,差別化するのもまた難しい。いっそ制度をなくしたらそういう余計な心配もないのですっきりするという気持ちは理解できる。  医薬品産業についても,一章を割いて検討している。そのうえで,特許は不要・有害と結論してる。反著作権だけあって,本の内容はフリーで公開されている(英語版のみ)→ http://bit.ly/hOoDpC

Posted byブクログ

2011/02/14

知財の仕事をしている自分にとって、いつも見聞きするのは特許制度の社会的意義、産業の発展への寄与、といったことばかり。この本はそれとは真逆の議論を示しているようだったので、大変興味をもった。 確かに、説得力がある。今後長期的には、知的財産フリーな方向へ進むのかもしれない。思えば、仕...

知財の仕事をしている自分にとって、いつも見聞きするのは特許制度の社会的意義、産業の発展への寄与、といったことばかり。この本はそれとは真逆の議論を示しているようだったので、大変興味をもった。 確かに、説得力がある。今後長期的には、知的財産フリーな方向へ進むのかもしれない。思えば、仕事で特許出願とかやってるけど、意味ない出願であったり、他社排他を狙った出願とか、清々しく社会貢献を目指したものは無いなあ。そんなもんでいいのかなあ、と考えてしまった。

Posted byブクログ