ル・コルビュジエの愛したクルマ の商品レビュー
「クルマ」とは最小限の家 「ル・コルビュジエは自動車を建築や都市計画の大きな要素として考えた、歴史上、初めての建築家」という著者が、コルビュジエを切り口として20世紀前半ヨーロッパを中心に生み出された車の魅力を語る。 冒頭でその「コルビュジエが最も愛した車」が紹介されていま...
「クルマ」とは最小限の家 「ル・コルビュジエは自動車を建築や都市計画の大きな要素として考えた、歴史上、初めての建築家」という著者が、コルビュジエを切り口として20世紀前半ヨーロッパを中心に生み出された車の魅力を語る。 冒頭でその「コルビュジエが最も愛した車」が紹介されています。その名も「ヴォアザン・ルミノーズ」。20世紀初頭もともとは飛行機を作る会社としてスタートしたヴォアザンがその飛行機に変わるものとして造り上げた高級車です。王族や映画スターなど貴族や富豪たちの愛用車となりました。その形は今の時代から見ればいかにもクラシックなフォルムですが、その窓の形はコルビュジエが「近代建築の五原則」に掲げている「水平連続窓」になっていて、彼の建築にも共通する部分があるとしています。 フランスの「ヴォアザン友の会」の縁で著者が現地でルミノーズに乗った時の写真も紹介されているのですが、この車の内部から外を見たときの景色が何ともいえないのです。四方が横長の水平窓になっていて、特に運転席から前方を見れば、まるで上下を切り取って横長にしたシネマスコープの画面のよう。住宅の窓にハンドルをつけただけの運転席も素朴な感じです。内装もデザイン性の高い生地が使われています。黎明期の自動車というものが機械というよりは「動く住空間」のように感じられるのですが、思えばこうした車を愛したコルビュジエの目指したものが「住むための機械」としての住宅であったのは当然というべきでしょうか。 実際、後にコルビュジエは車を人が存在する更なる小さい空間として捉え、マキシマムカーを設計しています。最小限の家として考察された画期的な「最大効率車」。ラインがシャープでありながら半月の片側を斜めに切り落としたような洗練されたデザインは未来の車と言っても通用しそうです。全長3メートル少々の小さなサイズは、渋滞緩和や駐車場面積の利用効率に役立つといい都市のグランドデザインを常に念頭に置き車をその一部と考えたコルビュジエの考えが体現されたものであることがわかります。 コルビュジエの愛用したヴォアザン・ルミノーズと彼の設計したマキシマムカー。改めて二つを並べてみたときに、来るべき車社会を予測し建築同様にそこにも一つの時代の方向を付けたコルビュジエの先見の明を想います。 本書では、コルビュジエの建築はもとより彼のマキシマムカーの影響を受けた、例えば「ブガッティ」「プジョー」「BMWイセッタ」「ハインケル」(このあたりの車はドアが前開き!びっくり!)「フィアット」「シトロエン」など表情もフォルムも個性豊かな車がオールカラーで紹介され、20世紀前半の車の変遷を見渡すことのできるつくりになっています。運転はもちろん知識の無い車オンチでも充分楽しめました。
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ヴォアザン・ルミノーズ。VOISIN LUMINEUSE 1928年発表。光輝を意味する。 従弟と1927年型C7(4気筒 1522cc 44馬力)とC11(6気筒 2327cc 66馬力)の2台所有。 2ドア4シーター。4座とも同じ座席。 マン・レイのクルマもルミノーズ。 特徴...
ヴォアザン・ルミノーズ。VOISIN LUMINEUSE 1928年発表。光輝を意味する。 従弟と1927年型C7(4気筒 1522cc 44馬力)とC11(6気筒 2327cc 66馬力)の2台所有。 2ドア4シーター。4座とも同じ座席。 マン・レイのクルマもルミノーズ。 特徴は軽やかさ。ボディはアルミ製。簡素なボディ。広い窓。 馬車ベースのクルマから飛行機や建築的思考からクルマのボディを作ったのがヴォアザン。 住むための機械を作ったコルビジエが、 1928年、マキシマムカーを考案。 クルマのサイズを1/2にし、都市交通を効率化する。前列3人掛け、後列+1。 モノコックボディ。一つ目。ボディ側面埋め込みのスペアタイヤ。 リアエンジン、リアドライブ。全長約340cm、幅約165cm、ホイールベース234cm。 最小限住宅、動く家。 シトロエン、シムカ、フィアットなどに提案するが、反応は素っ気無い。 似たようなクルマが現実化したのは、1955年のイセッタまでかかってしまう。
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