ひとり の商品レビュー
糸井さんとの共著である「悪人正機」と重複する内容もありますが、その中でも『才能』に関する吉本さんのお話は、やはり特に心に残りました。 例として挙がった、若い頃から才気溢れていた芥川龍之介と、若い頃は鈍いヤツと言われていた田山花袋が、晩年の作品で比べればどっちも同じようにいいよう...
糸井さんとの共著である「悪人正機」と重複する内容もありますが、その中でも『才能』に関する吉本さんのお話は、やはり特に心に残りました。 例として挙がった、若い頃から才気溢れていた芥川龍之介と、若い頃は鈍いヤツと言われていた田山花袋が、晩年の作品で比べればどっちも同じようにいいようになってきた、という話には「続けること」の本当の意味を教えられた気がします。 「やってるうちに自分の姿が自分なりに見えてきて、鋭いのは鋭いなりに、鈍いのは鈍いなりに、なんともいえないその人だけの値打ちが出てくるものなんです。それこそがその人の〈才能〉であり、その人の〈宿命〉と呼べるものなんですよ。」 まだ何者でもない15歳くらいの年頃の人には、とても勇気をもらえる言葉ではないでしょうか。
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子どもとこういう方が直にじっくりと話ができる機会があるっていうのはすごくいいと思う。沈黙も言葉。とにかく手を使うこと。吉本さんの考え方はとても納得できる。そして語り口はとてもやさしい。もっともっとじっくり知りたいし読みたい。
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この本大好き・・・!吉本さんが15歳の子供たちにちゃんと向き合ってる雰囲気が伝わってくるし、吉本さんの言葉の使い方は、断定を避けて、言葉を慎重に選んで正直に使ってる印象があって好きだった。ぼくもこういう言葉の使い方が出来ればなぁ・・・。
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吉本隆明氏が15歳の男女を前に語った言葉の数々。 「行きがけの道」を歩きながら、道中見える景色や生まれる感情を噛みしめながら生きていくのが人生なんだろう。 正解なんて最後までわからないし、存在すらしないものだと思うと、諦めのような気持ちが生まれるけど、だからこそ人生には意味がある...
吉本隆明氏が15歳の男女を前に語った言葉の数々。 「行きがけの道」を歩きながら、道中見える景色や生まれる感情を噛みしめながら生きていくのが人生なんだろう。 正解なんて最後までわからないし、存在すらしないものだと思うと、諦めのような気持ちが生まれるけど、だからこそ人生には意味があるんだろうなというような救いのようなものを感じた。 沢山の気づきがあったので以下は備忘録として。 <話言葉>が相手に何かを伝えるための道具だとしたら、<書き言葉>は自分の心の中に降りていくための道具だと言っていい (P13) 人は誰でも、誰にもいわない言葉を持っている。 沈黙も、言葉なんです。 沈黙に対する想像力が身についたら、本当の意味で立派な大人になるきっかけをちゃんと持ってるといっていい。 (P23) 誰に才能があって、誰に才能がないとか、そんなことはないというのが僕の考えです。(中略)大事なのはしょっちゅうそのことで手を動かしてきたか、動かしてきていないかのちがいだけです。 (P25) 人は、自分が自分を思うほど、君を思っているわけじゃないぜ。 (P37) 「生きていくことは、たぶん誰にとっても行きがけの道なんですよ。(中略)人は誰しも行きがけの道を行く。そうして迷いながら、悩みながら、ただただ、歩きにあるいていくうちに、ああ、これこそが自分の宿命、歩くべき道だったんだと思うことがあるんじゃないか。 (P50) 創作の本質はこの<転換>にあるんですよ(中略)文学というのは、その<転換>のうまさ、巧みさに注目して読むと読みやすいんです。 (p55) 戦争が悪なら、僕だって悪党だ (P79) 人間っていうのはかわいそうなもんですよ。生きるっていうのはかわいそうなもんだ。それはもう、いたしかたのないもんなんだと思います 変更がきくもんでもないし、急に納得がいくもんでもないし、やっぱりかわいそうだなぁというのを一種の食べ物みたいにして生きていくよりはしょうがない。 それでもなんで生きていくのかっていったら、それは先があるからでしょう。(P83)
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悩める中学生の息子に 何か励ましの言葉をかけてやれないかと思って 頼ってみた本。 吉本さんは、 中学生たちの質問に対して わりとのらりくらりとした感じでお話されます。 こうしなさいよ、こうだよ、というよりは、 もう少しあいまいな、 ふわっとした、けれど自分が身をもって体験したか...
悩める中学生の息子に 何か励ましの言葉をかけてやれないかと思って 頼ってみた本。 吉本さんは、 中学生たちの質問に対して わりとのらりくらりとした感じでお話されます。 こうしなさいよ、こうだよ、というよりは、 もう少しあいまいな、 ふわっとした、けれど自分が身をもって体験したからこそ言える言葉をかけてくれる感じ。 そうすることで逆に考えさせられるというか、 こういうことなのかな?と 自分で考えてみる余白を残してくれている気がしました。
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思想界の巨人と呼ばれるだけに、とっつけないでいたけれど、これならとっかかるのに良さげだと、ついにチャレンジ吉本隆明氏。 •沈黙も言葉。 •生きるとは、かわいそうなこと。 深々と沁み入りました。 ほんとうだ。
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吉本隆明氏が中学生の相談に答えているのですが、なかなか良いです。 僕は、自分のために読みましたが、中学生くらいの子どもをもつ親ならば「子どもにこういう風に話しをすればいいのか!」と参考なると思いますよ。
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ふわふわと考えていたいろいろに、言葉というかたちでヒントや答えを落としてくれた、宝物みたいな本だった。
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吉本さんの本をちゃんと読んだのはこれが初めて。 今までどうしてこの人はこんなにも崇められているのかなと思っていたけど、わかった気がした。
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15歳の寺子屋と銘打たれたシリーズの1冊。 自分というものを模索しはじめる思春期の中学生たちに、 吉本隆明さんが人生の先輩として行った 生き方の授業を採録したものです。 私はもちろんとうにすぎているのですけど、 当時の気持ちを思い出しながら読むと 今になってあぁそうかと腑に落ち...
15歳の寺子屋と銘打たれたシリーズの1冊。 自分というものを模索しはじめる思春期の中学生たちに、 吉本隆明さんが人生の先輩として行った 生き方の授業を採録したものです。 私はもちろんとうにすぎているのですけど、 当時の気持ちを思い出しながら読むと 今になってあぁそうかと腑に落ちることも多く、 非常におもしろかったです。 アンダーラインをひきたかったけれど図書館の本だったので、 代わりに付箋をたくさんつけてしまいました(笑) 自分は親とも友だちとも違う、 人間は完全には理解し合えない存在である。 その孤独の大きさに気づきいかに受け入れてゆくかで 今後の人生は大きく変わると、私も振り返り実感します。 大人になってもいつまでも苦しむひともいますから。 15歳はその長い孤独との戦いの入口かもしれませんね。 吉本さんの、子どもたちを前にしても先生然とせず、 いわゆる世間の常識ではなく、ご自身の経験から得た 真実の言葉だけで語られる授業は、 15歳の心にもきっとまっすぐに届いたことでしょう。 もっとも多感なこの時期に、 こんなふうに裸の心で向き合ってくれる大人がいるって、 それを知ることだけでも貴重なことですよね。 若い頃に読みたかった気もするけれど、今でも充分です。 付箋がいっぱいついていますから(笑) あらためて買って、手元に置きたいなぁと思います。
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