夢 の商品レビュー
3作とも直接的に「夢」がテーマとは感じないが、それぞれに微妙すぎる男女関係のアヤが描かれていて面白く読めた。44/100
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「すみれの君」 ノンシャラン、なるほど、いい言葉だ。 粋、というよりはやわらかく、適当な放蕩さを感じる。 一つの美学だ。 ルドルフは、どうしようもないところがある反面、実に魅力的な人物だ。 文章から、彼の様子が立ち上がってくる。 「夢」か。 なるほど。 この作品にはいくつもの「夢...
「すみれの君」 ノンシャラン、なるほど、いい言葉だ。 粋、というよりはやわらかく、適当な放蕩さを感じる。 一つの美学だ。 ルドルフは、どうしようもないところがある反面、実に魅力的な人物だ。 文章から、彼の様子が立ち上がってくる。 「夢」か。 なるほど。 この作品にはいくつもの「夢」がひそんでいる。 「雨の中の噴水」 「別れよう」を言ってみたい、か。 世の中には多種多様な欲求があるものだなぁ。 実に子供っぽい。 背伸びのポイントがずれている。 その滑稽さ。 そりゃぁ、少女も素に戻るわ。 夢見心地でとりとめがないのだから、この少年は弱い。 こんな男のために涙を流す少女も、だいぶ夢の中、のような気がするが。。。 「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」 実に、短い。 男としての無敵の勇気・自由を手に入れて、これからの人生は今までとは違った堂々とした自分らしいものになるはずだったのに。 なにかが起こる予感は、ひしひしと感じていた。 やはり、か。 そう思った。 人は、生まれ変わったからと言って、0から始めることはできない。 今までの人生を引きずり、その責任を背負いながらしか生まれ変わることなどできないのだ。 マカンバーの背後。 一人だけ次へ進んでいくことはできなかったか。
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”企画に共感して購入。3作品のなかで強く印象に残ったのは三島由紀夫氏の『雨のなかの噴水』。初めから最後の場面まで「水」が影の主人公のように数々の表現で登場する。頭の中でずっと水音が鳴っている感覚が、まさに夢のような…。”
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三島由紀夫はキモい。女嫌いが全面に出ている。 女嫌いの作家に女性ファンが多いのは、フェミニズムによって女が男とおなじようになろうとする流れから生まれる自己嫌悪なのである……
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・ポルガー「すみれの君」◎ オーストリア。 おもしろい。武士はくわねど高楊枝って感じか。 ギャンブル好きで気風がよく、どんなに落ちぶれようとも貴族としての信条は失わない。女性を助けるためというより、高貴さと信条のためには不正もいとわず活路をひらく。まあおしゃれな話であること。 ...
・ポルガー「すみれの君」◎ オーストリア。 おもしろい。武士はくわねど高楊枝って感じか。 ギャンブル好きで気風がよく、どんなに落ちぶれようとも貴族としての信条は失わない。女性を助けるためというより、高貴さと信条のためには不正もいとわず活路をひらく。まあおしゃれな話であること。 ・三島由紀夫「雨のなかの噴水」○ 少年は「別れ話」をしたいがために、別れを切り出すその一瞬のためだけに彼女を口説き一緒に寝、あるいは愛したという。なんていう倒置だろう。 「弓から放たれた矢のように一直線に的をめがけて天翔ける、世界中でもっとも英雄的な、もっとも光り輝く言葉。人間のなかの人間、男のなかの男にだけ、口にすることをゆるされている秘符のような言葉。すなわち、 『別れよう!』」 このドライヴ感。ただのくそやろーのはずなのに、三島由紀夫が書くとたしかに英雄的で美しいことのように思えてしまうナ。 三島由紀夫って「嚏」すんの好きね。 ・ヘミングウェイ「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」△ 百年文庫の外人作家は翻訳ちょっとどうにかならんかな、ていうのが多々。新たに訳してるわけでもないのだろうし、仕方ないか。 ヘミングウェイのサファリもの。ライオンを前に逃げてしまった弱虫マカンバーとそれをなじる妻マーガレット。 ガイドのウィルソンはヘミングウェイそのものって感じなのだが、本当に「男」になった瞬間というのがあるらしい。それははじめてセックスを経験した時ではなく、恐怖を退けたときに訪れるのだとか。 んーまあなんていうかちと説教くさいし、瑞々しくないヘミングウェイはあまり好きじゃない。あとサファリものは今読むと単純に動物がかわいそうだよ。
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ポルガー『すみれの君』 三島由紀夫『雨のなかの噴水』 ヘミングウェイ『フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯』
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雨の中の噴水の主人公の、「別れよう」という言葉への執着とSっぷりに圧倒された。 確かにこれを言われた女はとっても惨めになりますから。 最後は痛快でした。女子としてはざまみろでした(笑) すみれの君は男ってどうしようもないなと思う反面、 自分の美学を貫くところは現代にはあまり見られない素敵なところでもあると思った。 どれも読みやすくて、先に読んだ百年文庫2冊よりはタイトルに沿っている内容だということが分かりやすかった。 ・すみれの君 ボルガー(訳:池内紀) ・雨の中の噴水 三島由紀夫 ・フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯 ヘミングウェイ(訳:高見浩)
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ポルガー:「すみれの君」 あくまで彼自身の貴族たらんとした男。かわいいひと。 三島由紀夫:「雨の中の噴水」 世界のなかで自分しか見ていない男。女は強し。 ヘミングウェイ「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」 短い、短い人生。題名が一番好き。ライオンと自尊心。
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ポルガーの描く落ちぶれ貴族も、三島由紀夫の描く少年も、バカだなと思うけどかわいかった。ヘミングウェイのマッチョな男たちは苦手だけれど、全体のバランスがよくて最後まで面白く読んだ。テーマは「夢」だけど「男のロマン」(女から見たら理解に苦しむこともある)といったところ。
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