怪帝ナポレオン三世 の商品レビュー
ナポレオン三世のフランス第二帝政という日本ではあまりメジャーではない時代ですが、この時代がどれだけ革新的で重要な社会変革が起きていたかをこの本では知ることになります。人々の欲望を刺激する消費資本主義が発展したのもまさしくこの時代のパリからです。その過程を見ていくのもものすごく興味...
ナポレオン三世のフランス第二帝政という日本ではあまりメジャーではない時代ですが、この時代がどれだけ革新的で重要な社会変革が起きていたかをこの本では知ることになります。人々の欲望を刺激する消費資本主義が発展したのもまさしくこの時代のパリからです。その過程を見ていくのもものすごく興味深いです。 非常におすすめな一冊です。
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▼今年の読書の大テーマである、「フランス/パリを軸にして、ルイ14世から第2次大戦までを読んでいく」の一環です。ちなみに発端はロバート・キャパの評伝「キャパ」(ウィーラン作)があまりにオモシロかったからなのと、「第一次世界大戦っていうのが、どうもまだ皮膚感覚でよくわからん」なんで...
▼今年の読書の大テーマである、「フランス/パリを軸にして、ルイ14世から第2次大戦までを読んでいく」の一環です。ちなみに発端はロバート・キャパの評伝「キャパ」(ウィーラン作)があまりにオモシロかったからなのと、「第一次世界大戦っていうのが、どうもまだ皮膚感覚でよくわからん」なんですが。 ここまで「キャパ評伝三部作」を除けば以下の道のり。 ■集英社「まんが世界の歴史13・第一次世界大戦とロシア革命」 ■「太陽王ルイ14世」鹿島茂 ■「賭博者」ドストエフスキー ※これも20世紀初頭のフランスの感じってにじむなあ ■「異邦人」カミュ ※アルジェリアが仏植民地であるということが20世紀前半のフランス感だなー、と。 ■「ナポレオン、フーシェ、タレーラン」鹿島茂 ■「イギリスの歴史が2時間でわかる本」 ※比較してこの時期のイギリスっていうのがもやもやして気になってしまったので。 ■「二都物語」ディケンズ ※このテーマを持っている今こそ読むべきだな、と。二都ってパリとロンドンですから。 ■「贖罪」マキューアン ※第2次大戦前後。イギリス人兵隊がフランスの戦場で、もだえ苦しむ。 ■「怪帝 ナポレオン三世」鹿島茂 という歩み。 今後も、(まあちょっとどこかで挫折するかもですが) ■「感情教育」※再読だが ■「葬送」平野啓一郎 ■第一次世界大戦の本2冊くらい? ■「西部戦線異状なし」 ■「第三帝国の興亡」 ■ルパンシリーズの未読のものを2~3冊 ■バルザックの未読のものをひとつくらい ■「移動祝祭日」 ■「武器よさらば」 ■「フランス組曲」 などを(できれば)読み進めて、「パリは燃えているか?」で閉幕したいと思っています。2024年いっぱいくらいは楽しめるかな、と。 ▼閑話休題それはさておき。この本ですが、文庫本608ページという読み応え、各種脱線ありまくりの「ナポレオン三世とその時代」です。同じ鹿島さんの「ナポレオン、フーシェ、タレーラン」から続いて読むというのは正しかった気がします。 ▼つまりは、「ナポレオン三世であるという妄執はあるんだけど、理想としては共和制と民主主義とナポレオン帝国の融合であったという不思議な人物」なんですね。そして、「今日のパリ、パリらしさ、みたいなものはナポレオン三世が作った」という事実。 ▼それらが興味深いのは、結局、19世紀(日本で言えばまさに幕末前夜~明治維新なんですが)のこの時代に、ナポレオン三世は簡単に言っちゃえばロンドン育ちなんですね。で、ロンドンは当時の産業力学としては先端だった。しかもイングランドは以前から上手いこと、王政→ブルジョワジーによる民主的な政治 にソフトランディングできている。で結局、ナポレオン、といういかにもフランス革命そのものを代表する精神の塊のような固有名詞を持った「三世」は、ロンドンから吸収した美学をパリにぶち込んだんですよね。それでいて「ナポレオン」そのものは現代的に言うと「イタリア人」だったりするから、ヨーロッパって面白いなあ…。
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三世というと、ルパン三世を思い出す。 しかし、同じフランスが生んだこちらの三世は、とらえどころがない。 学校の世界史を普通にさらっただけの知識では、叔父のナポレオンの威光で皇帝となり、普仏戦争で捕虜となった残念な皇帝、というイメージくらいか。 もう少し詳しいと、今のパリの街並み...
三世というと、ルパン三世を思い出す。 しかし、同じフランスが生んだこちらの三世は、とらえどころがない。 学校の世界史を普通にさらっただけの知識では、叔父のナポレオンの威光で皇帝となり、普仏戦争で捕虜となった残念な皇帝、というイメージくらいか。 もう少し詳しいと、今のパリの街並みを整備した人、という程度。 当時、ヨーロッパ各国にいた”皇帝”像をもって捉えようとすると理解に苦しむ。 かといって共和制寄りかというと、そうでもない。 彼の時代を第二帝政と呼ぶが、”第二”と言っても実質ナポレオン三世の時代。 彼だからこそあのような時代になったのだろう。 帝政ではないが、その後のファシズムもシステム上はさほど差異はない。そのような意味で極めて幸運な時代、ベルエポックだったのかもしれない。
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『英国マザーグース物語』を再読したので 『やる夫が鉄血宰相になるようです』を再読し 『やる夫で学ぶ第一次世界大戦』を再読しつつこれも再読する ナポレオン三世はあんまり好きになれないが フランツ・ヨーゼフ1世はいいよね ヴィルヘルム1世もいいよね ビィクトリア女王もいいし ヴィルム...
『英国マザーグース物語』を再読したので 『やる夫が鉄血宰相になるようです』を再読し 『やる夫で学ぶ第一次世界大戦』を再読しつつこれも再読する ナポレオン三世はあんまり好きになれないが フランツ・ヨーゼフ1世はいいよね ヴィルヘルム1世もいいよね ビィクトリア女王もいいし ヴィルムヘルム2世も人間味があるね ナポレオン三世はフランス近代化に功績があったことは間違いないし イタリア戦争も普仏戦争もナポレオン三世でなかったからと言って 結果が変わったかどうかはわからないから もっと評価されていいのはわかるが 嫌われるのもわからないでもない 2013/2/22 ナポレオン三世=フランス第二帝政 とすれば否定する余地はあまりないが 「怪帝としての評伝」とフランス第二帝政の概観が 整理されておらず読みづらい 第二帝政について概説が不十分かつ主旨曖昧で 第二次産業革命に結局王政でも共和制でもなく帝政が すなわちナポレオン三世がどれだけの役割を果たしたのか 結論づけれらておらず怪帝のまま マルクスユーゴーへの批判もわかるけれど プロイセンフランス戦争の敗北は 指導者ナポレオン三世の敗北と同時に 同時代フランスの敗北でもあり そもそも相手にするほどのものでもないはず 近世から近代へのいつでも急激な変移において 国家指導者が理想主義であることがどれだけできるか 後世からの成功したから良い政治 失敗したから大悪人というのも 結果からの一面でしかない
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まあなんという振り幅の激しい人であったことか! あるときは慎重過ぎ、あるときは大胆過ぎ。 どちらの場合も、成功と失敗があった。 社会保障の先駆けやインフラの整備、パリの大改造等の 功績は」素晴らしいけれど、同等にとんでもない事も多し。 最後は捕虜になり、英国で余生を過ごす・・・あ...
まあなんという振り幅の激しい人であったことか! あるときは慎重過ぎ、あるときは大胆過ぎ。 どちらの場合も、成功と失敗があった。 社会保障の先駆けやインフラの整備、パリの大改造等の 功績は」素晴らしいけれど、同等にとんでもない事も多し。 最後は捕虜になり、英国で余生を過ごす・・・あぁ怪帝! 産業革命、旧新入り混じった政治情勢・・・加速する歴史に 振り回されながらも、フランス最後の皇帝となった男の 生涯を詳細に綴っている。 女性関係もすごいもんだ! 画像と不随する説明が多く、長文でもわかりやすい。 なんといってもこの一冊で歴史とその当時の情勢がわかる。 鹿島先生の渾身の一冊ですね♪
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パリについての紀行文なら、鹿島茂氏が第一級。何より、詳しいし、文章も上手い。 但しこの本は、筆者が少し構えて、研究者の側面を前に出した本格本。ナポレオン三世については、ちゃんとした本がないので、貴重な良書だ。以下別途
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その生い立ちから、傍目には「無茶?」と見える振る舞いで権力奪取を目指してみて失敗し、やがて大統領となり、クーデタで皇帝となり、敗戦で廃されてしまうまでのナポレオン三世の歩みが本書には網羅されている。彼と行動を共にした、または対立した男達や、彼の人生を彩った女達に関する言及も多く、...
その生い立ちから、傍目には「無茶?」と見える振る舞いで権力奪取を目指してみて失敗し、やがて大統領となり、クーデタで皇帝となり、敗戦で廃されてしまうまでのナポレオン三世の歩みが本書には網羅されている。彼と行動を共にした、または対立した男達や、彼の人生を彩った女達に関する言及も多く、それぞれ面白い。更にナポレオン三世の強い望みを受けて、彼が抜擢したオスマンが推進した“パリ改造”に関する話題も、「ナポレオン三世の事を扱った本だったよな?」と一瞬思う程に詳しく綴られ、非常に興味深い… 決して評価が高いでもない皇帝…しかし、「現代の基礎」を整えた側面もある、理想家肌な皇帝…非常に興味深い出会いということになった!!
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いやー、こりゃすごい。 ナポレオン三世の人となりだけでも十分に予想外の記述だけど、19世紀後半のフランス社会の変貌ぶりの記述がすばらしい。有名なパリ大改造にとどまらず、金融産業資本主義の誕生にバブル経済、貧民対策としての公団建築。 特に金融に焦点をあてた章は面白い。利率を下げて投...
いやー、こりゃすごい。 ナポレオン三世の人となりだけでも十分に予想外の記述だけど、19世紀後半のフランス社会の変貌ぶりの記述がすばらしい。有名なパリ大改造にとどまらず、金融産業資本主義の誕生にバブル経済、貧民対策としての公団建築。 特に金融に焦点をあてた章は面白い。利率を下げて投資を刺激した件はマクロ経済学のテキストに載っててもおかしくない。ソシエテ・ジェネラルが設立された経緯も興味深い。発券機能をめぐってのすったもんだも面白い。 政治・外交に関しても、イタリア・ドイツの国民国家成立やクリミア戦争の展開、英仏の融和 などいろんなことに目配りされている。 いや、たしかにこの時代の前と後ではフランス社会や外交の風景がガラッと変わったんだろうな、と思える本。 次はナポレオン三世が範としたイギリス社会に関する本を読んでみよう。
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分厚い本ですが、短く区切られた構成と堅苦しさとは無縁な文章のおかげでちょっとの空き時間でも気軽に読める親しみやすさがあります。しかも時間を忘れてしまうほどの面白さ。ユゴーやマルクスなどのビッグネームにこきおろされたり、普仏戦争の惨敗が目立って後世に散々な評価を残したナポレオン3世...
分厚い本ですが、短く区切られた構成と堅苦しさとは無縁な文章のおかげでちょっとの空き時間でも気軽に読める親しみやすさがあります。しかも時間を忘れてしまうほどの面白さ。ユゴーやマルクスなどのビッグネームにこきおろされたり、普仏戦争の惨敗が目立って後世に散々な評価を残したナポレオン3世ですが、この本を読むと「それなりに上手くやったトボけた味のおとっつあん」という印象を持ちます。もちろん看過できない失点もいくつかありますが、経済・産業政策では素晴らしい功績を残しています。ただこの人、女性関係があまりにも...
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
偉大な皇帝ナポレオンの凡庸な甥が、陰謀とクー・デタで権力を握った、間抜けな皇帝=ナポレオン三世。しかしこの紋切り型では、この摩訶不思議な人物の全貌は掴みきれない。近現代史の分水嶺は、ナポレオン三世と第二帝政にある。「博覧会的」なるものが、産業資本主義へと発展し、パリ改造が美しき都を生み出したのだ。謎多き皇帝の圧巻の大評伝。
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