1,800円以上の注文で送料無料

人、中年に到る の商品レビュー

4

2件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2012/11/30

 映画を中心として、さまざまな(どちらかというと辺境的な)事象を長く批評してきた著者は、「批評とは他人の夢を正確に見据え、その行き先を見届けることである」と信じ、そのために、「自分の夢を語ることをみずからに固く禁じ」てきた。そしてその結果、「わたしは外界への好奇心を口実に、わたし...

 映画を中心として、さまざまな(どちらかというと辺境的な)事象を長く批評してきた著者は、「批評とは他人の夢を正確に見据え、その行き先を見届けることである」と信じ、そのために、「自分の夢を語ることをみずからに固く禁じ」てきた。そしてその結果、「わたしは外界への好奇心を口実に、わたし自身を放置」してしまっていた。  本書は、そんな著者があるとき「自分の立ち位置が機械的にゼロ地点に再設定されたような心理を覚え」、「まったく新しいことをしよう」と、書き下ろしたエッセイ集である。その新しいこととは、「自分自身について書くこと」だった。  人が中年に到るとはいかなることか。本書は良質な、その1つのサンプルだ。

Posted byブクログ

2011/01/06

ガブのリアル本棚には1989年刊の『ストレンジャー・ザン・ニューヨーク』という本がある。大学生の頃『朝日ジャーナル』の連載を毎号楽しみに読んでいて、単行本として出た時すぐに書店に買いに走ったもの。1989年のこの一冊以来、著者の本を二十年余りも読み続けてきたのだから、思えば長い「...

ガブのリアル本棚には1989年刊の『ストレンジャー・ザン・ニューヨーク』という本がある。大学生の頃『朝日ジャーナル』の連載を毎号楽しみに読んでいて、単行本として出た時すぐに書店に買いに走ったもの。1989年のこの一冊以来、著者の本を二十年余りも読み続けてきたのだから、思えば長い「お付き合い」になる。そんなわけで、今回このような本が出たと知り、帰国が待ちきれずすぐに購入ボタンをクリック! 本著に収録されているエッセイは、先人の言葉や古典作品を引用しつつ、著者本人の過去や現在をあれこれ綴ったものなのだが、四方田本の「忠實讀者」であるガブには、正直うち数編に書かれていたものは、すでにどこかで読んだ感じがぬぐえなかった。とはいえ、四方田本ファンとしては、まあそれが不満だというわけではないのだが・・・。 ただし帯の惹句を見て「むふふふ♪」とミーハーな興味や、『ハイスクール1968』のその後・・・的なものを期待してこの本を手に取った向きには、どこかしら、踏み込みが足りないような物足りなさを感じるかも。 ところで、タイトルのもとは「人到中年萬事休」である。ガブ自身すでに「人到中年」を実感しているのだから、著者はすでに・・・などと言うのは野暮というものか?

Posted byブクログ