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豊かさの向こうに の商品レビュー

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2012/11/16
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※このレビューにはネタバレを含みます

我々の物的豊かさが、世界の貧困層の労働によってもたらされている事実に衝撃を受けた。そして、自由貿易やそれを推進する機関や団体が行う行為が、貧困を更なる貧困に導くという結論に憤りを覚える。経済大国は正義なのか、戦勝国の行為は全て正当化されてよいのかを考えされられる。労働者が利益のために度を超えた暴力によって使い捨てにされ、権利もなく単に労働商品としての価値しかない扱いを受けるのは、我々の社会からは想像もつかないことである。加えて、我々の社会では禁止される児童労働が繰り返され、身売りが横行する。こんな実情は調べなければ知ることはできないであろう。  そんな国々の問題を解決し、「解放」することは人類共通の達成すべき課題だ。そして人々が具体的に行動していることに安堵した。人々の意識の中に搾取される彼らが存在するようになってきている証拠だ。本書を読み、日本のTPP参加に懐疑的にならざるを得なくなった。

Posted byブクログ

2011/03/29

貧困国にはグローバリゼーションによって制度化された暴力が存在する。 それはネオコロニアリズムと言い、国際金融機関によって行われている貧困国への政治的、経済的暴力である。 IMF、世界銀行などの国際金融機関は途上国に融資をする際に条件をつける。 国有企業民営化、通貨切り下げ、財政...

貧困国にはグローバリゼーションによって制度化された暴力が存在する。 それはネオコロニアリズムと言い、国際金融機関によって行われている貧困国への政治的、経済的暴力である。 IMF、世界銀行などの国際金融機関は途上国に融資をする際に条件をつける。 国有企業民営化、通貨切り下げ、財政支出の削減などを要求された貧困国では インフレが起こり、教育制度や保険制度は崩壊。 収入は1日1ドル以下の者が世界の20%を占める。 先進国の便利で快適な暮らしを支える商品のほとんどは貧困国の人々の安全・健康・人権を代償にして作られている。 私たちが「安い」と思って購入する物の本当の値段はいくらだろうか? どこの地域で製品を作るのかは企業の自由である。しかしどこで作られるにしても、労働条件は同じでなければならない。 人は交換部品ではないのだから。 拷問や虐殺など、読むのが辛くなるような事実がたくさん描かれていた。 圧倒的に不公平な世界経済システムの中で、誰がどのように苦しんでいるのかを知ることが解決への一歩であると著者は説く。 カトリックの視点で書かれており断定的批判に対して違和感を感じる面もあったが、 貧困の現場で活動を続けている著者が発する言葉を、私はまずは真摯に受け止めなければならないと思った。

Posted byブクログ