1,800円以上の注文で送料無料

1968年文化論 の商品レビュー

0

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2013/08/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小熊英二「1968」は、私も読んで刺激を受けたものです。四方田氏は随分批判的で「文化論がない」との指摘。確かにそうかも知れませんが、未だ若い学者が文献だけを見て書いたことの限界は避けられないだろうと、私としては同情しました。共通しているのは1968年がキーになる年。68年がこの年だけでなく、前後を象徴する年として書かれ、当然団塊の世代がその中で見聞き、感じてきたことを書いているわけで、三島・大江、ジャズ(ビーパップからフリーへ)、ビートルズ、学園闘争、そしてクレージー・キャッツなど、幅広く文化・文芸が語られます。モラスキーの「ジャズと文化人の関係」はジャズ史を知る上でも貴重な文です。なぜ今1968年なのか、団塊の世代が定年を迎えているからなのでしょう。大江、石原慎太郎、寺山修司、江藤淳、浅利慶太、黛敏郎など左右の人たちが60年安保に際して「若い日本の会」を結成し、反対声明を出していたというのは、68年当時からして信じられない話の紹介でした。「スーダラ節」が決してサラリーマンだけではなく、子供たちの心の窓を開く青天井感を醸し出していたということは、全くその通りです。「大学生、機械を壊す」ではラッダイトに譬え、若者たちが決して共産主義に被れたわけではなく、秩序を壊すという行為に魅かれていたということも、自らを省みてきっとその通りなのでしょう。

Posted byブクログ