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十一面観音巡礼 の商品レビュー

4.4

6件のお客様レビュー

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2023/11/24

十一面観音菩薩と言えば、やっぱり奈良県桜井市にある聖林寺の天平観音様。 明治初期の廃仏毀釈によって、大神神社の大御輪寺から聖林寺に大八車に載せられた移されたと伝わる。その仏を表現する白洲正子の文章が簡潔で小気味良い。

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2022/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

白洲正子の全国の十一面観音像訪問記。時代による仏像の様式の違いや佇まいについて、聖林寺から奈良、湖北、京都、那智、長野、養老、岐阜の円空に至るまで縦横無尽に駆け回る。密教や長谷観音、熊野、オシラ様など各地の信仰の広がり、能や梁塵秘抄、和歌、天皇家や貴族、僧侶、権力者たちの血塗られた歴史など豊かな知見が散りばめられている。 美しい十一面観音像の写真に加え、本地垂迹や土地それぞれの水の信仰、時代による様式の変化、廃仏毀釈や火災による観音像の来歴に加え、補陀落渡海や「六」が葬送に由来する地名であることや法隆寺が聖徳太子の怨霊を鎮めるためであるなど少し恐ろしい逸話と、官能的な聖天信仰や市の聖など艶かしい逸話あり読み物として楽しい。 ・

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2021/02/13

著者の白洲正子さんが、各地の十一面観音を求めて巡礼した記録。 一口に十一面観音といっても、そのお顔やお姿は様々で、こういう楽しみ方(いや、信仰の深め方というべき?)もあるんだと思った。 個人的には、渡岸寺の十一面観音像が美しくて好き。 今後お寺に行くときは、もっとゆっくりじっく...

著者の白洲正子さんが、各地の十一面観音を求めて巡礼した記録。 一口に十一面観音といっても、そのお顔やお姿は様々で、こういう楽しみ方(いや、信仰の深め方というべき?)もあるんだと思った。 個人的には、渡岸寺の十一面観音像が美しくて好き。 今後お寺に行くときは、もっとゆっくりじっくり仏像を拝んでみようと思う。

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2016/09/20

愛蔵版だけかもしれませんが、十一面観音の写真が美しく、分かりやすい地図が旅愁を誘いますね。白州さん六十半ばの旅ですが、深い教養があって、香りたつ文章が美しい。驚いたのは、「木津川にそって」で、岩船寺や海住山寺まで奈良から歩いたとおっしゃったことです。道のりもありますし、山道でもあ...

愛蔵版だけかもしれませんが、十一面観音の写真が美しく、分かりやすい地図が旅愁を誘いますね。白州さん六十半ばの旅ですが、深い教養があって、香りたつ文章が美しい。驚いたのは、「木津川にそって」で、岩船寺や海住山寺まで奈良から歩いたとおっしゃったことです。道のりもありますし、山道でもあります。白州さんは非常な健脚ですね。晩秋には湖東や湖北の寺社を訪ねますが、沢山の奥深い情報を頂き、楽しみが増えました。

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2014/05/25

世田谷美術館で白洲正子展を見てから3年が経ち、やっと彼女の著作を読む機会に恵まれた。 この展覧会でも痛いほど伝わってきたことだが、白洲の関心は、自然と仏と神が一体となる日本の古来の信仰の美しさにあると思う。その美しさが、十一面観音にフォーカスすることで明らかにされていく。 本書の...

世田谷美術館で白洲正子展を見てから3年が経ち、やっと彼女の著作を読む機会に恵まれた。 この展覧会でも痛いほど伝わってきたことだが、白洲の関心は、自然と仏と神が一体となる日本の古来の信仰の美しさにあると思う。その美しさが、十一面観音にフォーカスすることで明らかにされていく。 本書の冒頭に登場するのが、奈良県桜井市の聖林寺の住職から白洲が昭和の初めに聞いたという話である。この住職が少年の頃、大神神社から十一面観音像と地蔵菩薩像を台車に積んで聖林寺まで運ぶのを手伝ったのだという。あのフェノロサも付き添ったのだそうだ。聖林寺を訪れた人ならわかると思うが、この移動はかなりの登り坂である。廃仏毀釈の吹き荒れるなか、二体の仏像を必死で守ろうとする日本人と米国人の姿を想像し、こみ上げるものがあった。 この冒頭のシーンだけでも何度読み返しただろう。ここ以外にも何度も読み返したくなる箇所があり、わたしは毎晩少しずつ、途中で前のページを繰りながら読み進めた。そのようにして読むのが楽しい本だった。 東大寺お水取りの説明も詳しく、印象に残っている。これも自然と仏と神が混在する話である。神と仏と人と自然との間の愉快で、おおらかで、しかも優しいエピソードに、日本の心の美しさを感じぜずにはいられない。 英語訳でも読みたいと思って探してみたのだが、出版されていないようだ。日本の美しさを伝える名作なだけに、残念である。 ああ、本書を片手に、十一面観音さまを訪ねる旅に出たい。

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2014/05/07

読んだことのあるのを読み返した。 お寺や地名、仏像の名前などなかなか憶えられない ので何度でも読み返せる。文章が清澄なので。 読んでいると心がいにしえに馳せる。誘われる。 ところどころに挟んである仏像の写真、白洲正子さんの 褒め言葉である「うぶ」な美しさがよくわかる。 蛇足ながら...

読んだことのあるのを読み返した。 お寺や地名、仏像の名前などなかなか憶えられない ので何度でも読み返せる。文章が清澄なので。 読んでいると心がいにしえに馳せる。誘われる。 ところどころに挟んである仏像の写真、白洲正子さんの 褒め言葉である「うぶ」な美しさがよくわかる。 蛇足ながら、私はこの本をみうらじゅん&いとうせいこう 著の「見仏記」と照らし合わせて読んだ。

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