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フライパンの歌 の商品レビュー

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2018/08/20

戦争が終わり、疎開先から焼け跡の東京へ帰ってきた主人公 疎開先の山奥では教師をやっていて、誰からも尊敬されたものだが 東京ではろくな仕事にありつけなかった 妻と娘を養うため、友人に紹介された新興の出版社に入ったが 月給が安すぎてどうにもやっていけない 結局は雑誌一冊を刊行しただけ...

戦争が終わり、疎開先から焼け跡の東京へ帰ってきた主人公 疎開先の山奥では教師をやっていて、誰からも尊敬されたものだが 東京ではろくな仕事にありつけなかった 妻と娘を養うため、友人に紹介された新興の出版社に入ったが 月給が安すぎてどうにもやっていけない 結局は雑誌一冊を刊行しただけで潰れてしまい 主人公は、上手く大手にもぐりこんだ友人を横目に見ながら 売れるあてもない小説の執筆活動に入った 妻がダンスホールの踊り子に就職したおかげで生活は楽になったが 主人公の鬱屈は膨らむばかりだった 島崎藤村の「春」に似て おそらくはプライドの高さゆえ、まともな就職ができない人の話 私小説である 昭和23年に発表されたこの作品は、当時のベストセラーになったらしいが 恥を暴露されたようなもんで結局、妻には逃げられてしまい 水上勉はその後、推理小説作家として再ブレイクを果たすまで 長い沈黙の時代に入る 序文は宇野浩二が書いていた

Posted byブクログ