Kiss の商品レビュー
死んだ恋人は奥さんの元に戻り、わたしはひとりぼっちで さびしい思いをしていると、夢に恋人が現れる 「翼」 写真を渡すために友達の元を訪れると、 離婚した夫(わたしが昔好きだった)に直接渡してほしいと頼まれる 「歳月」 夫と離婚し、不倫相手と一緒に過ごしながら いずれはこの男も失う...
死んだ恋人は奥さんの元に戻り、わたしはひとりぼっちで さびしい思いをしていると、夢に恋人が現れる 「翼」 写真を渡すために友達の元を訪れると、 離婚した夫(わたしが昔好きだった)に直接渡してほしいと頼まれる 「歳月」 夫と離婚し、不倫相手と一緒に過ごしながら いずれはこの男も失うのだと感じる 「白い花のような月」 別れた彼女から一緒に飼っていた猫の骨壺を預けられ、 そこにキスをしているところを今の彼女に見られる 「猫壺」 雨のバーで、離婚後に死んだ父を看取りに来た母が 顔中にキスの雨を降らせていたことをひとり語る 「夜噺」 夫と義父、義従弟と一緒に暮らしていた家に立ち寄り 当時の自分の不貞に思いをはせる 「廃墟」 彼がリフォームしてくれた青い三角屋根の別荘で これから別れ話をされるのだろう 「蒼いトマト」 異動してきた課長の歯に惹かれ、 社員旅行の帰りに車で送ってもらう 「ラプソディ」 別れた夫に呪われながら彼の友達と結婚するが 経営不振に陥り心中し、未だに成仏できずにいる 「オンブラ・マイ・フ」 装画:柄澤齊 装丁:新潮社装丁室 不倫や離婚をベースとしたほろにがい恋愛短編集。 「ラプソディ」の歯に焦がれる描写がいいです。 「チーズバーガーを食べている彼の舌先が、時々、歯の表面を撫でていく。笑うたびに、また、白いアーチを描いた歯が見える。美しく猛々しい、小さなギロチンのような歯である。」 性的であり、残酷であり、こちらの想像をかきたてるような。 最初と最後の話は少し現実から離れた視点なのが ホラー作家としての小池さんを思い出させます。
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素晴らしかった。 大人のいろんなキスのお話。 そう書くと軽いラブストーリーに思えてしまいそうですが そうではありません。 私は不倫を認めているわけではありませんが 【翼】は泣けてしまいました。 そしてラストの【オンブラ・マイ・フ】も 心を打ちました。 さすが、小池真理子さん...
素晴らしかった。 大人のいろんなキスのお話。 そう書くと軽いラブストーリーに思えてしまいそうですが そうではありません。 私は不倫を認めているわけではありませんが 【翼】は泣けてしまいました。 そしてラストの【オンブラ・マイ・フ】も 心を打ちました。 さすが、小池真理子さん。 表紙も大人っぽく 「キス」なのに【黒】ってのがたまりません。
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第9章の「オンブラ・マイ・フ」は小池さんの真骨頂である「夢か現か」の世界を、自ら命を絶った女性の魂が生前を振り返りながら物語る。一緒に命を終えた夫の棺と共に焼却炉に入れられた瞬間、2人は永遠に結ばれる。もはや何の苦しみもなく、押し寄せる睡魔に身を委ねる。ラストの「五月の木立を吹き...
第9章の「オンブラ・マイ・フ」は小池さんの真骨頂である「夢か現か」の世界を、自ら命を絶った女性の魂が生前を振り返りながら物語る。一緒に命を終えた夫の棺と共に焼却炉に入れられた瞬間、2人は永遠に結ばれる。もはや何の苦しみもなく、押し寄せる睡魔に身を委ねる。ラストの「五月の木立を吹き抜けるそよ風の音が聞こえる。さえずる小鳥の声が聞こえる。だが、それらは次第に遠くなり、幸福な感覚だけが残されて、凪いだ海の底の底、果てしのない青の中にわたしはもぐっていく」の部分は、「瑠璃の海」のラストを思わせる。
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