雑賀六字の城(1) の商品レビュー
この本を購入したきっかけはコミックスの帯のキャッチコピー、 「狙うは織田信長の首! 戦国最強 雑賀衆の死闘!津本陽・原作。異色の鉄砲集団「雑賀衆」の熱き戦いを描く戦国青春群像!!」 これに惹かれたからでした。 絵も読みやすそうだし…と、何気なくレジに持っていった訳ですが、読み終え...
この本を購入したきっかけはコミックスの帯のキャッチコピー、 「狙うは織田信長の首! 戦国最強 雑賀衆の死闘!津本陽・原作。異色の鉄砲集団「雑賀衆」の熱き戦いを描く戦国青春群像!!」 これに惹かれたからでした。 絵も読みやすそうだし…と、何気なくレジに持っていった訳ですが、読み終えて非常にこの作品にハマリました。 主人公は、雑賀鉄砲隊の年寄衆のひとり小谷玄意の子・七郎丸。 信長の大阪石山本願寺攻めが始まってから六年後、この七郎丸が初陣する所から物語は始まります。七郎丸の年齢ははっきり書いてないのですが、だいたい十五、六歳くらいでしょうか。上の合戦が始まった時、七郎丸はまだ幼かったがゆえに、父や兄達が戦(いくさ)に行く留守を守って六年の時を紀州雑賀の荘で過ごしています。七郎丸にはいいなずけの「おみつ」がいて、その2人の微笑ましいシーンから物語りは一転して七郎丸が父・兄と共に大阪へ出陣する流れになるのですが…。 戦乱の中にあっても、戦(いくさ)から遠い地にあるこの2人の初々しい恋人同士の姿がとてもいいのですが、物語が進むにつれて、それが戦の残酷さ苦しさと上手く対比されて描かれているように思います。 初陣前の若者らしい心理描写が凄く良くて、説得力ある構成になっており、また実際に初めての戦いになった木津口沖での舟戦さで、初めての交戦に意気揚々とする姿、初めて仲間の死を目の当たりにするショックが、とても精緻に描かれています。 そして敵方ですが、この舟戦さの最中、突如として登場する根来衆がなんとも魅力的です!2人の撃ち合いのシーンの迫力が凄い。緊張の糸がピンと張っている中にある高揚が見事で…! もう、なんとも読み応えのある作品です。物語の進め方も、キャラクターの作り込みも、とても丁寧で物語りに読者をグイグイと引き込んでくれます。 この先、信長との戦いはどうなるのか、七郎丸は生還しておみつと再会できるのか、今後の展開にハラハラドキドキさせてくれる1冊でした。主人公の七郎丸も魅力的ですし、他の武将達や女性陣など、いろいろな人物像から見た戦国を描いているので、歴史好きの方にはこの作品、是非お薦めします。
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