名門大学スキャンダル史 の商品レビュー

海野弘【著】

2019/06/03

この人の本を何冊か読ませていただいてますが、同性愛者に向ける目線は優しいのに、女性への視線がひどく酷薄な時があるように感じられます。
不思議。

2010/10/28

知識人はパトロンや教会から解放されるのであるが、知識人として集団をつくり、一般人と一線を隠し、隠れ蓑、一種の秘密結社に籠る。それは一段高いプラットフォーム。
中世に起源を持つ大学は神学中心であった。イギリスでは19世紀以前はオックスブリッジ以外に大学はなかった。中世の大学は近代化されなければならなかった。それは神学校から人間学校への変化であったしかしその転機はうまくいかず、その間、大学は停滞した。18世紀は大学の最低の時代と言われていた。
18世紀は文士とか文人の時代であった。
19世紀になると中世の神学校のままにとどまろうとしていたオックスブリッジにも、さすがに変化を受けなければならなかった。
オックスフォードもケンブリッジも男性だけの涼聖克だったからホモセクシャルがたくさんあった。その入口となったのはヘレニズム（ギリシャ崇拝）だった。オックスフォードではギリシャ古典研究が盛んとなった。ぷらと似ずむからいかに同性愛的要素を括弧にいれておくかに苦心した。
ケインズは若い時代、30代までホモセクシャルでありながら、40代になって結婚し幸せな家庭をつくった。なんという見事なライフスタイルではないか。

アメリカの大学の学長は世界でも最も権力を持っていると言われる。アメリカの大学が巨大で複雑な機関となり、大企業さらには政府に比較されるような組織となり学長は、そのジェネラルマネージャーであるから。アメリカの大学が巨大化すると、子園者の寄付をいかに獲得するかが重要課題となった。
大学がエクセレンスを競うのは国民文化といったアイデンティティがなくなってきているから。国民文化は文学において特に発揮される。ことば（国語）はアイデンティティの表現だからだ。17-18世紀以来の近代の大学では文学が中心的な役割を果たした。