日本料理の贅沢 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
最近慮料理を始めたこともあり、前から家の本棚にあったこの本に興味を惹かれ読んでみた。最初は高級料理店の話なので世界が違うと思い込んでいたが料理の基本は一緒。懐石料理の品出しの順番に基本のポイントを料理人の目線から教わることで、ああ、巷のレシピサイトに比べなぜそうするのか、どこにこだわりを持つのかがよくわかる。思わず読んだその瞬間からちょっとキッチンに立って実行してみようとしそうになる。出汁の取り方や茶わん蒸しの黄金比など、役立つところが多々とあり興味深く読めた。 ただ、使う材料がとても素人が扱おうって気になれないものも多く、その辺が高級料理店ならではで、妥協しまくる必要があるな笑 また、自分は自分のペースで好きに作れるが、カウンター前に座ったお客さんの好み、ペース配分を見ながら次の料理を進めるその緊張感は家庭では体感できないのが残念。こちらはせっかく作ったものを一瞬で食われて終わってしまう儚さが身に染みる
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ミシュラン三ツ星の店なんか縁がないのだが、これを読んだら行ってみたくなった。実家が料理屋をしていた徳島の子供時代や、パリに渡ったりもした修行時代のエピソードも交えつつ、前菜からはじまってデザートにいたるコースの章立てになっている。 語りかけるような文体で、本職は当然料理人なのだ...
ミシュラン三ツ星の店なんか縁がないのだが、これを読んだら行ってみたくなった。実家が料理屋をしていた徳島の子供時代や、パリに渡ったりもした修行時代のエピソードも交えつつ、前菜からはじまってデザートにいたるコースの章立てになっている。 語りかけるような文体で、本職は当然料理人なのだしたぶん口述筆記で一気に書いたのかと思っていたら、あとがきによると執筆に3年かけたとのこと。手間隙をかけるのはやはり性分なのか。みごと、読んでいて腹の減ってくる仕上がりになっている。 お客の飲みっぷりなどで即興的にメニューを組むそうな。 子供のころ百合根が好きで(渋いよな)、親に頼み込んで百合根だけの茶碗蒸しを作ってもらったら美味しくなくて出汁の効果を知る。これは作ってあげる親も偉い。 酸味が料理のキーだと。特に近年の傾向として(へー)。著者自身もスダチが好き。日本酒に比べて酸があるのがワインが好まれる理由ではないかと。日本酒ばかり飲んでいると酸がなくて飽きてくると。 寿司も握ってしまうオールマイティさはパリ修行の賜物。 素材の吟味とか、味の組み合わせとか、けっこうロジカルなのである。
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春は芽吹いたもの、夏はなりもの、秋は熟れて落ちるもの、冬は土のなかで育ったもの、と季節に合わせたものが旬のもの。魚は泳ぐ深さと身のしまりを意識して適した料理がある、背が青い魚は空からの敵に保護色をまとったもので、浅いところを泳ぐから身が水圧でしめられておらず、柔らかい…ご馳走とは...
春は芽吹いたもの、夏はなりもの、秋は熟れて落ちるもの、冬は土のなかで育ったもの、と季節に合わせたものが旬のもの。魚は泳ぐ深さと身のしまりを意識して適した料理がある、背が青い魚は空からの敵に保護色をまとったもので、浅いところを泳ぐから身が水圧でしめられておらず、柔らかい…ご馳走とは、馬を走らせて手にいれた、新鮮なものですよというところからきており、日本におけるご馳走とは、新鮮さを示すものだった。等、非常に勉強になった。
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歳とともに和食が恋しくなり、旬のものを求めて、海のものを食べに旅行することもあります。でも、これは筆者のいう日本料理ではありませんね。あとがきに書かれたように家庭では食べられない“文化としての日本料理”を知りました。そして、日本料理を支える、器や数奇屋、所作など日本料理の世界観を...
歳とともに和食が恋しくなり、旬のものを求めて、海のものを食べに旅行することもあります。でも、これは筆者のいう日本料理ではありませんね。あとがきに書かれたように家庭では食べられない“文化としての日本料理”を知りました。そして、日本料理を支える、器や数奇屋、所作など日本料理の世界観を守りたいと思いました。少し、お店選びを変えてみます。
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丁寧でまっすぐに向き合う姿勢が、本から伝わってきます。料理に対しての熱意と向上心も素晴らしく、一度は神田で食べてみたくなります。 家庭でも出来るコツも少しかかれてありました。 手元にいつまでも置いておきたいです。
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20140601読了 著者は東京の日本料理店「元麻布かんだ」の料理人。●おもしろい!料亭でお食事するときに料理を楽しむ視点というか、一皿の裏に隠された料理人のたくさんの配慮に気付ける知識というか、そんなものを与えてもらえる本だった。手元に一冊置いておきたいな。●パリでの料理経験が...
20140601読了 著者は東京の日本料理店「元麻布かんだ」の料理人。●おもしろい!料亭でお食事するときに料理を楽しむ視点というか、一皿の裏に隠された料理人のたくさんの配慮に気付ける知識というか、そんなものを与えてもらえる本だった。手元に一冊置いておきたいな。●パリでの料理経験がある方で、「その土地にはその土地の風土や食材を生かした料理がある」ことを身を持って知っているのだなと思った。硬水の欧州にはそれに適した料理が発達してきたし、軟水の日本では日本だからこそおいしい料理がある。●章立てが、前菜、お造り、お椀、お寿司、焼き魚、煮物…とお料理が出てくる順番になっていて楽しい。惜しむらくは冒頭にある目次の誤植。
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迫力のある本。「元麻布かんだ」のご主人が、3年にわたって料理への思いを書き溜め、編集が施された本で、まるでブログ本のようなまとまりのなさだが、全ページに亘って厨房の緊張感が溢れていて息がつけない。一気に読了してため息一つ、かなりの疲労感である。 語られているのは、カウンターの向こ...
迫力のある本。「元麻布かんだ」のご主人が、3年にわたって料理への思いを書き溜め、編集が施された本で、まるでブログ本のようなまとまりのなさだが、全ページに亘って厨房の緊張感が溢れていて息がつけない。一気に読了してため息一つ、かなりの疲労感である。 語られているのは、カウンターの向こうに座るお客様にいかにお食事を楽しんでいただくかの話が全てであるのに、普段客側から直接感じることのない、わずか数メートル向こうの理詰めの緊張感が本全体に静かに充満してリラックスのかけらもない。こんなものを読まされては「かんだ」へ飯を食いに行けないではないか。
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真のプロフェッショナルの精神に触れた気がします。 いつかお客さんとして神田さんと真剣勝負したいものです。
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おいしさの答えは自然の中にあります。 お客様を見ながらカウンターでライブで料理する。 まな板の上は見せない。わくわくしてもらうために。 魚のおいしいサイズから決めた席数=18席。 魚に合わせた切り身の厚さと醤油。食材そのものを味わうには塩。広島の藻塩。 魚の酢〆めには酢ではなく、100%スダチで。 寿司飯はやはり純米酢。 地中海やブルターニュの魚は皮下脂肪が少ないので、バターで焼いたほうがうまい。 肉も日本と違い、霜降りではないので、フライパンで焼くのがいい。 雨が多い日本の野菜は多汁で皮が薄いので煮物に向く。 フランスの野菜は雨が少ないので皮が固く、油でコーティングしてからトマトソースで包む。 日本料理にはデザートがない。 砂糖やみりんで糖分を取り、糖度の高い日本酒、でんぷんの米をたべるから、 甘いものをを欲しくならない。 口をさっぱりさせるフルーツがいい。 フランス料理のソースには糖質や砂糖は使わない。脂質。 ワインは糖分を含むが、酸味が高いので、甘いものがほしくなる。 これから、お酒は衰退する。飲むと楽しいが、戒めにもなる。 規制が厳しくなったり、無理に飲ませる習慣も減り、飲めない人は飲めないままで行く。 お茶は不滅。 千利休がお茶を極めたのもそこにあるのでは? 高級ではなく一流でありたい。 肉食は素材を熟成。 日本食は鮮度。 だから、ご馳走。日本の流通システムだから成り立つ。 「上質のシンプル」を目指したい。
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染み込むように日本料理がわかる。私もフランスは、隅々に行っているので共感できる事が多い。料理は感覚から化学へ。伝統を守りつつ挑戦する姿勢。
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