世紀の空売り の商品レビュー
金融バブルの崩壊を予知し、サブプライムローンに端を発する金融商品のカラ売りに人生を賭けた男たちを描いた経済ノンフィクション。成毛眞さんのオススメ書籍。
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サブプライム問題のショート側の事情を読めてよかった。サブプライムモーゲージ債やそれに対するさまざまなCDOが破綻すると読んだ3組の投資家がどのような形で破綻すると思ったか、それに重点をおいていてとても読みやすかった。
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個人的な金融危機4部作のうちの1つ。アメリカ経済が高成長を続けていた2000年代後半、成長を牽引していた住宅バブルに気づいたスティーブ・アイズマン、住宅ローンを空売りする手段を発見したマイケル・バーリ、少ない資金で成功を狙う小物投資家集団などの世界経済の崩壊に賭けた男たちの物語。金融危機を主に3社のヘッジファンドの視点から描いた作品。
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サブプライム/リーマンショックの根源となったCDOという金融商品の性質上、巨額の損失を出した投資銀行・保険会社に対して、この賭けに勝った投資家が存在する。 そんなCDOへのsellないし金融市場の破綻に早くから気づいた個性的な面々にまつわるノンフィクション作品。 作家自身がウォー...
サブプライム/リーマンショックの根源となったCDOという金融商品の性質上、巨額の損失を出した投資銀行・保険会社に対して、この賭けに勝った投資家が存在する。 そんなCDOへのsellないし金融市場の破綻に早くから気づいた個性的な面々にまつわるノンフィクション作品。 作家自身がウォール街のモーゲージ債畑の出身だけあり、金融用語の記述も緻密かつ正確であり、かなり読み応えがある。 sellをしかけた面々が持つ真値からゆがんだ評価で取引される市場およびその関係者(投資銀行・格付け機関・政府)へのメッセージ色も強い。 初章にあるように初期の証券化商品の発想自体は早期償還を避け、安定したcash flowを提供すること等に力点があったりして、悪質なものではなかったし、証券化が端的に毛嫌いいされてしまう現状は残念ですね、、、、
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世界中に過剰流動性をばらまいたアメリカの不動産価格高騰、それにつけこんだウォール街の強欲。巨額のサブプライム・ローンが生んだバブルはいかにして膨らみ、そして弾けたか。バブル破綻に賭けた実在の投資家の思惑を通じて、金融の素人にもわかりやすくその仕組みを浮き彫りにした好著である。私に...
世界中に過剰流動性をばらまいたアメリカの不動産価格高騰、それにつけこんだウォール街の強欲。巨額のサブプライム・ローンが生んだバブルはいかにして膨らみ、そして弾けたか。バブル破綻に賭けた実在の投資家の思惑を通じて、金融の素人にもわかりやすくその仕組みを浮き彫りにした好著である。私にとって最も興味深かったのは、この史上空前のバブル崩壊の淵源がソロモン・ブラザーズの株式会社化・上場にあったのでないかという著者の推察だ。「山津波(注:バブル崩壊)の跡を丹念に調べているうちに、ウォール街の合資会社を上場企業に転じた決断こそが、頂上の小石を蹴り落とした行為に当たるように思えてきたのだ」と著者は書き、「小石を蹴り落とした男」、ソロモンの元会長で帝王の名を欲しいままにしたグッドフレンドと昼食を共にする。株式会社化によって財務リスクを株主に転嫁できるようになった事実をグッドフレンドが認めるくだりは正しく圧巻だ。「何かがうまくいかなくても、それは株主の問題ということになるからな」。グッドフレンドは、彼自身が言うところの「くそいまいましい本」(著者が1990年に書いた 「ライアーズ・ポーカー」)によって、かつての名声を台無しにされた経緯がある。その元帝王が再び登場するくだりが、本書の味わいをひときわ濃いものにしている。「ライアーズ・ポーカー」と併わせて読むことで、史上空前のバブルを演出し、自らその餌食となったウォール街の本質がよりクリアに理解できるだろう。ソロモンはすでに世になく、リーマン・ブラザーズも消滅した。しかし、ゴールドマン・サックスはこの山津波にも生き残り、いまだ世界の金融市場の覇権を握り続けている。ゴールドマンある限り、著者が喝破してみせた「ウォール街の強欲とそれをカネに換えるメカニズム」はなくならないのではないか。マイケル・ルイスには「世紀の空売り」の後日譚として、是非にもゴールドマン・サックスの功罪を書いてほしいと切に望む。
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サブプライムローンが破綻することを見抜き、市場の崩壊に賭けた人々を描いた経済ノンフィクション。市場なんて崩壊するはずがない、という市場の雰囲気の中、孤軍奮闘する姿が描かれる。個人に焦点が当てて構成しながら、市場全体の問題もしっかり扱っており、他のリーマン・ショック本と比較しても頭...
サブプライムローンが破綻することを見抜き、市場の崩壊に賭けた人々を描いた経済ノンフィクション。市場なんて崩壊するはずがない、という市場の雰囲気の中、孤軍奮闘する姿が描かれる。個人に焦点が当てて構成しながら、市場全体の問題もしっかり扱っており、他のリーマン・ショック本と比較しても頭一つ飛び抜けている感じがする。「芸術的」かどうかはともかく、翻訳も読みやすい。経済モノというより、あの時代を駆け抜けた人々の物語として、非常に面白い。
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数あるリーマンショック・金融危機関連書籍の中でも、ずば抜けて面白い。やはりマイケル・ルイスはすごい。
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世界全体を景気後退に陥らせた狂騒に対して早い段階から疑いの目を向けリターンを生み出した人々にクローズアップしたノンフィクション。
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リーマンショックで儲けた人たちの逸話。 正しい目を持って冷静にマーケットを見つめていても、周りの空気やプレッシャーで、自分の信じるポジションを持ち続けるのは難しい事なんだなとか感じる。 常人の精神力じゃ本当に厳しいかもね。
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元ソロモンブラザーズのマイケル・ルイスの書籍。 これは久々に改心のヒット。けっこう重厚な本ではあるが、食い入るように読んでしまった。 舞台は、金融業界を揺るがしたリーマンショックの前段階のサブプライムローン。これをめぐるセルサイド・バイサイドのノンフィクションストーリー。 (リーマンはほとんど出てこない。ベア・スターンズがかなり出る) メインのCDS、CDOなどの金融商品については、未だにざっくりとしか理解はできていない。そもそも、オプションのようなファイナンシャル・エンジニアリングの概念を知っていなければ、全くもってついてはいけないだろう。 ここは注意が必要であるだろう。 個人的には経済小説は好きなので、よく読む。 本書は同様のワクワク感を与えてくれた。 だが、唯一違う点は、すべて現実に起こったことであるということだ。 これは大きな違いだ。事実は小説よりも奇なりとは言いえて妙だ。 マイケル・ルイスの書籍は初めてだったが、すでに他の著書はWISHリストに入っているし、確実に読もう。ファンになったのだから。 The Big Shortの後に、Too Big Too Failを読める(のつもり)は順番的によかったかな。フレディマック・ファニーメイ・AIGを主役にどんな内容なのかとても楽しみだ。 超おススメの一冊である。☆5つ。 以下、目次 序章 カジノを倒産させる 第1章 そもそもの始まり 第2章 隻眼の相場師 第3章 トリプルBをトリプルAに変える魔術 第4章 格付け機関は張り子の虎である 第5章 ブラック=ショールズ方程式の盲点 第6章 遭遇のラスヴェガス 第7章 偉大なる宝探し 第8章 長い静寂 第9章 沈没する投資銀行 第10章 ノアの方舟から洪水を観る 終章 すべては相関する
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