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日本の医者 の商品レビュー

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2024/08/23

「看護のための精神医学」でわかるように患者さんに対してとてもやわらかく臨む名医だけど、医師、医局制度に対しては鋭い批判を向けている。1960年代にこれを書いているのがすごい。病院にも働き方改革が及んでいるいま、これを読んでどう思うか。

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2018/11/05

中井久夫が20代終わりから30代はじめにかけて楡林達夫のペンネームで書いた、日本医療界批判の若書き3篇。まだ精神科の道へ進む前の著作である。時代を反映して、今から見ると左翼色すら感じるが、「革命家は別の入り口へどうぞ」と、医師らしい現場主義に貫かれている。 二人の友人の自殺を受...

中井久夫が20代終わりから30代はじめにかけて楡林達夫のペンネームで書いた、日本医療界批判の若書き3篇。まだ精神科の道へ進む前の著作である。時代を反映して、今から見ると左翼色すら感じるが、「革命家は別の入り口へどうぞ」と、医師らしい現場主義に貫かれている。 二人の友人の自殺を受けて、パセティックに今日(当時)の日本の医学界での生き方を説いた「抵抗的医師とは何か」。昭和30年代に書くには、昨今のブログとは違う重みがあるだろう。 「病人のまなざしそのものが医師の存在を要求する」と、医療と呼べるかどうか定かでない原始的な医療から医学史から説き始め、博学と広い視野を予見させる「病気と人間」。医療でのエポックメイキングは20世紀前半の抗生物質で、その後は大きな変化に乏しい。当時の医療技術に関する現状認識も、素人には今と比べてさほど違和感がない。

Posted byブクログ

2016/07/06

これまで、医師が医師になるまでの過程について、ほとんど考えたことがなかった。 職業柄、医師と接する機会が多い。 時に理不尽だと感じる場面もある。 どうしてなんだろうと考えるけれど、原因がわかることは少なかった。 本書を読んでみて、医師の世界、常識の一端に触れることで、これまで...

これまで、医師が医師になるまでの過程について、ほとんど考えたことがなかった。 職業柄、医師と接する機会が多い。 時に理不尽だと感じる場面もある。 どうしてなんだろうと考えるけれど、原因がわかることは少なかった。 本書を読んでみて、医師の世界、常識の一端に触れることで、これまでもやもやしていたものが少し晴れたような気がする。 教授によって医師の人生が大きく変わってしまう。よくも悪くもその存在の大きさには改めて驚かされた。 医局から飛び出して医師として身を立てていくことの難しさ、そうされている医師の矜持は並々ならぬものである。 そのあたりをわきまえて行動をしなければ、地雷を踏んでしまうね。

Posted byブクログ

2012/11/29

 1963年に『日本の医者』という本が出版された。著者欄には、楡林達夫とあった。  今は高名な精神科医となっている著者がペンネームを使用していたのには、理由がある。『日本の医者』はおそらく、初めて当事者が日本医学会の内情を綴った本だ。「医学が医学でありつづけるために、医療の姿勢を...

 1963年に『日本の医者』という本が出版された。著者欄には、楡林達夫とあった。  今は高名な精神科医となっている著者がペンネームを使用していたのには、理由がある。『日本の医者』はおそらく、初めて当事者が日本医学会の内情を綴った本だ。「医学が医学でありつづけるために、医療の姿勢を正そうとして、どこからの理解をも期待せず(略)たたかっている」と書く通り、当時の医学会が批判的視点で描かれる。  「医師は、医学からすらも疎外されねば、医局の中での連帯を長期的にはつらぬけない」と指摘する著者は、日本の医学会における問題点を医局に見る。そしてその医局でくずおれそうな同輩たちへ、「ただ毅然たれ(カミュ)」という声を、本書を書くことで届けようとする。  著者は長らく、本書の再出版に同意しなかった。が、「今日的意義があるかどうか私にはわからないが、私は私の残り少ないであろう人生とともに暗闇に向かって本書を投じる」。

Posted byブクログ