日本赤軍!世界を疾走した群像(2) の商品レビュー
重信房子氏や塩見孝也氏を初めとする赤軍派幹部・関係者に対するインタビュー集である。 重信氏も塩見氏も、過激な運動に足を踏み入れるきっかけは、いずれも友人らの勧誘に気軽に乗ったものだと言う。当初、大学における学生の自治の在り方、学費値上げといった、学生からして密接な利害を有す...
重信房子氏や塩見孝也氏を初めとする赤軍派幹部・関係者に対するインタビュー集である。 重信氏も塩見氏も、過激な運動に足を踏み入れるきっかけは、いずれも友人らの勧誘に気軽に乗ったものだと言う。当初、大学における学生の自治の在り方、学費値上げといった、学生からして密接な利害を有する問題に取り組んでいたのだが、運動の目的は、いつの間にか、帝国主義一辺倒支配の打倒、階級闘争等、全く異なったものに変質し、その手段も武力闘争を伴うものに転化していく。本来、その過程を当事者に語らせることこそが、本書を史料として価値たらしめる筈なのだが、残念ながら、当該記述がすっぽり抜け落ちていて、消化不良気味なまま、読了となった。 全共闘運動しかり、薬害エイズの「救う会」しかり、ひとたび巨大な敵(仮想敵?)を見い出すと、それを打倒するための器たる組織だけが急激に自己拡大し、組織の維持、運動の継続が自己目的化する。やがて、内ゲバが生じ、最終的に組織が瓦解する。このパターンが性懲りもなく繰り返されるのは何故か。謎である。
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