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深川てんぐ三姉妹 の商品レビュー

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激甘展開だが時代モノらしい“責め”もあり

主家から放逐された主人公が美貌の三姉妹の切り盛りする寂れた剣術道場に転がり込む、時代モノの王道展開に思い切った要素が盛り込まれた作品。剣術はからっきしながら飄々とした憎めない主人公に、おっとりした長女、気風のいい次女、いわゆるツンデレな三女とキャラ立ちは秀逸。思いの外コミカルな流...

主家から放逐された主人公が美貌の三姉妹の切り盛りする寂れた剣術道場に転がり込む、時代モノの王道展開に思い切った要素が盛り込まれた作品。剣術はからっきしながら飄々とした憎めない主人公に、おっとりした長女、気風のいい次女、いわゆるツンデレな三女とキャラ立ちは秀逸。思いの外コミカルな流れに引き込まれる。ライトノベルっぽいドタバタもそこそこありながら進む中で長女から順番に体も通わせていく甘い情交が続く。骨太な時代モノではなく、あくまでライトでお手軽な物語と思いながら読むこととなる……中盤までは。 時代モノとしては「あり得ねー」反応も見せる官能描写だが、心と体の交流を通じて一気に主人公ラヴにまで至る心情には、ヒロイン視点の清らかないやらさしさもあって結構萌える。一応の相思相愛な長女を立てる次女と三女なので、主人公を奪い合う事態にはならない。あっという間にメロメロになることも含めて男女の恋模様だけを描く作品ではないのである。二天一流を名乗る「宮本」道場の秘伝書がキーアイテムとして出てくるが、歴史や剣豪に聡い諸兄であれば「いかにもだな」と苦笑混じりになるものの、道場破りを騙ってこれを執拗に探し求めるワルい連中の登場が終盤で本作の色を一時的に大きく変えることとなる。 このような甘い作風に時代モノの典型的な色責めと集団凌辱を大胆に盛り込んだ終盤には驚いた。心までは堕ちないものの、肉欲的には遂に陥落してしまうヒロインの無残な姿に甘々支持派の心は折れてしまうかも?しかも、最後にこれを清めるごとくみんな揃って盛り上がることで溜飲は多少下がるものの、主人公の放逐の真相と秘伝書を鍵に本作は『深川てんぐ三姉妹2』に続いてしまうのである。この物語の行方は?ヒロインはまた激しい凌辱に晒されてしまうのか?など、次巻への期待が尽きない終わり方をしてくれるものである。 構成の妙やこなれた筆致、あるいはキャラ設定の良さなどに新人さんらしくない巧みさがあるため、デビュー作である本作は果たして本当に処女作なのだろうか?と疑ってしまいたくなる読みやすさと面白さがあった。ペンネームにもどことなく「いかにも」な風情が漂っていると思うのだが……。

DSK