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アイルランド・ストーリーズ の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2017/07/22

追悼ウィリアム・トレヴァー。何度再読したかわからない、読書人生を変えてくれた本。この1冊の中に何度読み返しても褪せない深みを湛えた短編たちが詰められている。わずかな頁の中に詩情豊かな筆致で綴られた、私たち人間の醜さ、愚かさと美しさ…話を読み終えた時に確かに感じる、そんな私たちの愚...

追悼ウィリアム・トレヴァー。何度再読したかわからない、読書人生を変えてくれた本。この1冊の中に何度読み返しても褪せない深みを湛えた短編たちが詰められている。わずかな頁の中に詩情豊かな筆致で綴られた、私たち人間の醜さ、愚かさと美しさ…話を読み終えた時に確かに感じる、そんな私たちの愚かさを包み込むようなトレヴァーの慈悲に充ちた眼差し…これまでの文学史に名を残してきた短編の名手たちと同じく、愚直に'ひと'を描き続けてきたトレヴァー。そんな彼の作品はこれからも本好きの人々の中で滔々と永遠に読み継がれてゆくだろう。

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2013/05/12

とても面白い短篇集。 アイルランドが抱えている社会情勢、過去にあった紛争問題などが色濃く反映されている。 小説を読むときに、単に読むだけでなく、その物語の背景を考えながら読む、という楽しさを久しぶりに味わった。

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2011/04/23

登場人物の心理に深入りしすぎない描写は、物語の解釈を読者の手にゆだねることにつながり、想像力をかきたてられる。 いろんなタイプの小説が収録されているが、全編の背景にプロテスタントとカトリックの対立、アイルランド独立と内紛の歴史がはりついていて、うすい黒いベールがかかっているような...

登場人物の心理に深入りしすぎない描写は、物語の解釈を読者の手にゆだねることにつながり、想像力をかきたてられる。 いろんなタイプの小説が収録されているが、全編の背景にプロテスタントとカトリックの対立、アイルランド独立と内紛の歴史がはりついていて、うすい黒いベールがかかっているような共通した印象がある。それは暗いとか重いとかいったものではなく、一種の個性を小説にあたえている。 語りや展開のうまさはいわずもがな、短篇の名手のアイルランドを舞台にした小説12篇を集めた短篇集、品切れ重版未定になる前に買うべし。

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2011/03/15

アイルランドを舞台にした短編集。 どの話も静かに暗い感じ。 情景が目に浮かぶような表現は凄いと思ったが好みではななかった。

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2011/02/19

短篇集なので、引用なし。 ていうか、どれも、終わってみると物凄く余韻の残る物語ばかりで驚きました。。。 素晴らしいです。 まさに珠玉の短編集。 1つずつがキラキラ輝いていたのです。 タイトルを見直すと、次々と、物語がキラキラとこぼれていくように感じるのがとっても不思議なのです...

短篇集なので、引用なし。 ていうか、どれも、終わってみると物凄く余韻の残る物語ばかりで驚きました。。。 素晴らしいです。 まさに珠玉の短編集。 1つずつがキラキラ輝いていたのです。 タイトルを見直すと、次々と、物語がキラキラとこぼれていくように感じるのがとっても不思議なのです。 最初の「女洋裁師の子供」から、最後の「聖人たち」まで、どれも、物凄く美しい。 そして、少し寂しい。 それでも、その場所を解説で言われているような、ポラロイドカメラで切り取った感覚が、ずっと残る。 そして、これからも残る、物語なのでした。 素敵な著者さんだ。。 また読みたい。 【2/10読了・初読・市立図書館】

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2011/07/19

2010年刊行のガイブン、という意味では読み遅れたかもしれないが、それは、私にはほとんど気にならない。アイルランドらしいものを手にした、という充実感に満たされている。以後、ちゃんとした感想は可能ならばここに付加しますので、先取り☆5つ、で御勘案くださいませ。ともあれ、とりいそぎ。...

2010年刊行のガイブン、という意味では読み遅れたかもしれないが、それは、私にはほとんど気にならない。アイルランドらしいものを手にした、という充実感に満たされている。以後、ちゃんとした感想は可能ならばここに付加しますので、先取り☆5つ、で御勘案くださいませ。ともあれ、とりいそぎ。〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜2011年3月12日まだ味読してなかったこの本が目に留まったので、部屋から持ち出した。以来、通読、拾い読み、ただぱらぱらする…、とにかくこの本を中心に1箇月以上を過ごした。淡々としているようで、しかしもちろんそれだけではなくて、残酷だなあと思う瞬間もあるけれど、でもつまりそういうことなんだよな、とか。たいした感想言ってなくてごめんなさい。何度も読める、違うようにも読める、いろんな読み方ができる。とにかくここ2箇月の私にとってありがたい1冊でした。たぶんこれは、いつもわかるところに置いといて、ときどき読み返すと思う、間違いなく。

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2010/11/11

とても良い本に巡り合えた。「聖母の贈り物」を読みそびれていたが、アイルランドということで読んでみる。一編一編が映画のワンシーンのよう。このような全く違うシチュエーションをどうしたら浮かぶのだろうか?訳者の短編の選び方と訳が良い。

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2011/07/16

アイルランド出身で世界最高の短編作家と称されるウイリアム・トレヴァーの短編セレクト集第2弾。『聖母の贈り物』(国書刊行会、2007年刊)に続き、栩木伸明がセレクト・翻訳を担当している。今回は、トレヴァーの祖国アイルランドを舞台とした作品のみがセレクトされており、アイルランドの抑圧...

アイルランド出身で世界最高の短編作家と称されるウイリアム・トレヴァーの短編セレクト集第2弾。『聖母の贈り物』(国書刊行会、2007年刊)に続き、栩木伸明がセレクト・翻訳を担当している。今回は、トレヴァーの祖国アイルランドを舞台とした作品のみがセレクトされており、アイルランドの抑圧されてきた歴史やそこに住む人々の独特の宗教観に基づく生き方が、12編に活写されている。 前著『聖母の贈り物』では、かなり宗教的な要素が反映された作品が目についたが、今回は、今回はアイルランドを舞台とした作品を集めたことで、その抑圧されてきた独特の歴史と宗教対立を背景とした物語が多くを占めることとなった。 行きつ戻りつする独特のリズムで刻まれるトレヴァーの文章によって、アイルランドが生きてきた歴史そのものの、失意に満ちた物語が綴られている。どの作品にも甘さだけではない苦さがにじむのはなぜだろう。 その中で一番心に染みたのは最後の1編『聖人たち』。老いた語り手「わたし」は、20世紀初頭のアイルランドの内乱を逃れてイタリアに移住してきた元支配階級の荘園領主の末裔。60年の時を越えて「わたし」の元へ、一通の危篤の電報が届く。修道院の名で届いた危篤電報の主の名はジョセフィン、、、苦渋に満ちた語りが、短い物語の中にアイルランドの紛争の歴史と人々の宗教観の違いを見事に映し出して、哀切。

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