太宰治ADHD説 の商品レビュー
数年前発達障害の疑いがあると言われて、ADHDに対する印象が大きく変わりました。というのも、それまで私はADHDと言えば授業中に立ち歩き、気づいたら動かずにはおられない気質のことと思っていました。思考の多動、デイドリーマーといった心がどこかにいってしまう症状がADHDに起こると初...
数年前発達障害の疑いがあると言われて、ADHDに対する印象が大きく変わりました。というのも、それまで私はADHDと言えば授業中に立ち歩き、気づいたら動かずにはおられない気質のことと思っていました。思考の多動、デイドリーマーといった心がどこかにいってしまう症状がADHDに起こると初めて聞かされて驚いたことを覚えています。 といういことで、太宰が好きなので興味津々で手に取った本ですが、前半はADHDやアスペルガーなどに説明を交えつつ太宰がどんな困難を抱えて生きてきたかが描かれています。後半は太宰の恋愛や死についての病理学的考察です。 前半を読んで思考の多動、夜泣きなど、自分との共通点を見つけて少し嬉しくなりました。笑 多情、心中、薬への依存に金遣いの荒さなど、太宰と言えば破滅的で自ら身を滅ぼしていった人間の印象が強いですが、この本を読むと太宰の生きづらさや苦しさや悲しさが身近なものとして迫ってきます。 ちょうど走れメロスの授業準備をしていたのですが、愛と真実を求めながら叶えられない、証明したい、その苦しさを改めて考えさせられました。 今後作品を読むとき、以前より深く考えて読めるようになりそうです。
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最近、太宰治の作品を読んでいるのでもっと太宰治を知りたいと思い、読んでみた。昔から太宰はただのかまってちゃんなメンヘラだろうと思っていたのだが、これを読んでADHDやアスペルガー障害・アダルトチルドレン、トラウマなどのいろいろな疾患や生きづらさを抱えながら生きてきたのだなと知る。こういった太宰の部分を見て、太宰作品を読むとまた違った雰囲気を感じれるのかもしれない。
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私は文学研究のことは良く分かりません。素人の読書家として、文学や小説の良し悪しや価値は、作者の作品外の生活を抜きにして語られるべきだと思ってきましたが、特に生の苦悩をテーマとしていた作者については、このようなアプローチも意味のあるものかと思います。 太宰は、津軽でも有数の素封家...
私は文学研究のことは良く分かりません。素人の読書家として、文学や小説の良し悪しや価値は、作者の作品外の生活を抜きにして語られるべきだと思ってきましたが、特に生の苦悩をテーマとしていた作者については、このようなアプローチも意味のあるものかと思います。 太宰は、津軽でも有数の素封家に生まれ裕福な中で育ち、勉強もできて旧制中学・高校から帝大に進み、生活上は何不自由なく大人になったわけですが、それゆえに精神的に非常に弱くて、お金や女性関係や生活にだらしなく、破滅的、それを文学の上で表現した、、、たとえばこんなイメージで理解されているのではないかと思いますが、彼が発達障害であったのではないかという仮定を置くと、また違った姿が見えてきます。 太宰が、甘やかされて育てられたので弱くだらしなくいいかげんだったのではなく、ADHDやアスペルガーであったために、逆に非常に完璧主義で潔癖だったのに自分の理想どおり生きられない、対人関係をそつなくこなすことができない、その苦悩が彼の文学だとしたら、という感じです。かつ発達障害は育成環境によっては二次障害を招くのであり、金持ちで地元の有力者であるが家庭を顧みない父と、病弱で子育てができない母が、太宰の発達障害傾向をさらに問題に向かわせた可能背もあるかもしれないと。 正直に言って、太宰が発達障害であるかどうかはどうでもいいのです。また、私は発達障害の考え方は、レッテルを貼って遠ざけるのではなく、その特性を理解した上で本人と周囲が一緒によりよく生きていけるために努力や工夫をするためにあると思ってますので、すでに亡くなった方が発達障害であるかどうかは実は重要な問題ではないと思います。 ですが、太宰のケースは、発達障害がいかに周囲に理解されにくいものか、特に成人の発達障害者が抱える苦悩はどのようなものか、を表す一つのケースとして意味のあるものなのではないかと思いました。 文学者研究としてどうなのかはわかりません。発達障害と関係なく太宰の人物像に迫ろうとしている部分にはあまり興味がもてず、情緒的に過ぎる、思い込みでは?という記述も散見されたので、結果として半分ぐらいは読み飛ばしたことも事実です。 発達障害に関心のある方にはおススメします。
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太宰治という人物を、発達障害という視点から捉える試みをした本書。 前半は、太宰の人となりや作品から発達障害の可能性に言及したもので、発達障害についてある程度知識があったので興味深く読めた。 後半、かなりの部分をキリスト教との関係で太宰を語っているので、キリスト教の知識がないと...
太宰治という人物を、発達障害という視点から捉える試みをした本書。 前半は、太宰の人となりや作品から発達障害の可能性に言及したもので、発達障害についてある程度知識があったので興味深く読めた。 後半、かなりの部分をキリスト教との関係で太宰を語っているので、キリスト教の知識がないと分かりにくいかもしれない。 太宰とかかわりのあった多くの作家とのエピソードが面白く、いくつか出てきた文献を読んでみたくなった。
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めちゃくちゃ面白かった。 ADHDやASについてよく知りませんでしたので、興味が沸きました。 参考文献がそらもう沢山出て来まして…読まねば!
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