科学!21世紀の挑戦 の商品レビュー
アメリカ人が書いた科学本を読んだので、フランス人が書いた科学本も読んでみた。 さすが、宗教と市民革命と哲学と芸術の歴史がある国の科学者が書くことは違う! 科学は、政治であり、経済であり、哲学であり、宗教と対立するもの。 (何の役に立つのかわからないまま進めた研究からの発見が、大い...
アメリカ人が書いた科学本を読んだので、フランス人が書いた科学本も読んでみた。 さすが、宗教と市民革命と哲学と芸術の歴史がある国の科学者が書くことは違う! 科学は、政治であり、経済であり、哲学であり、宗教と対立するもの。 (何の役に立つのかわからないまま進めた研究からの発見が、大いなる変革をもたらすこともある旨も書かれてるけど。) 前半は20世紀の科学の成果を、物理学(量子力学)、生物学(分子生物学、遺伝学)、地球物理学(気象学、地質学)など、多岐にわたって簡潔に解説。 中盤で、同様に広範囲な分野の21世紀の予測を述べた後、第11章から最後までの3章が圧巻。ここだけでも読む価値あり。 原著は2009年に発表されたものだけど、 世界の人口と産業、資源の構造の記述は、2011年のエジプトやチュニジア、リビアのイスラム圏で起こり得そうなことを予言している。 (そして、「富める高齢者と貧しい若者」という構図が、ある国の国内だけでなく、世界規模でのことだということも。) 世界の人口が80億人となり、資源が枯渇する、 来たるべき未来のために何をすべきか、 地球物理学者である著者なりの提言が書かれている。 そして、宗教(カトリック、アメリカのパブテスト)がいかに科学と進歩を妨げてきたか。そして、最近ではエコロジストが同じことをしている。 (シー・シェパードとかやっぱ田舎者だよ。パリの科学者が書いていることと比べるなら。) 彼から見ると、ダライ・ラマも科学の邪魔をしているらしい。 フランス人なので、当然、フランス・西欧の視点。 科学にもっとお金かけていいし、何の役に立つかわからない研究も大事と。 人口爆発と食糧問題、グローバル経済についての考えは、私は著者とはちょっと違うんだけど、それでも、21世紀に世の中のことを考えたい人は一読の価値ありと思う。 (あと「!」多用なのはあれだけど、訳もとても読みやすい)
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