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みにくいあひるの恋(4) の商品レビュー

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3件のお客様レビュー

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他の選択肢はなかったのか

あひる共に歩むと決心した蛇衣が、まさにその身を呈する次元にまで辿り着いた完結である。しかし、これには賛否が大きく分かれるのではなかろうか。個人的には「この読後感の悪さは何だろう」と思った。 究極の愛、至高の愛、これ、すなわち盲目の愛とばかりに邁進する蛇衣。これ自体は良いのだ...

あひる共に歩むと決心した蛇衣が、まさにその身を呈する次元にまで辿り着いた完結である。しかし、これには賛否が大きく分かれるのではなかろうか。個人的には「この読後感の悪さは何だろう」と思った。 究極の愛、至高の愛、これ、すなわち盲目の愛とばかりに邁進する蛇衣。これ自体は良いのだが、このためにはどうしても解決しなければならないことがある。『妹』たる茜子とのことである。これまでを省みて蛇衣なりに解決しようとしているのだが、これが茜子に届かない。というか届く訳が無いと思った。茜子の本当の心を理解していないか、知ってて知らんぷりに見えるからである。今回に限っては蛇衣が物凄く身勝手に見えた。そこまでのあひるへの愛なのだろうが、三角関係にがっつりメスを入れ、ハーレム的な曖昧さを避けたのであれば、どんなことをしてでも茜子が真に理解する前向きな和解と、それを双方が乗り越えて辿り着く結末を目指してほしかったと思う。そのために必要な、茜子の気持ちを全て理解し、受け入れ、受け止めてもなお自分の想いを追及する道での解決がなされていないように感じた。 また、結末で辿り着いた2人の関係(形態と言ってもいい)についても甚だ疑問である。こうするしかなかったのかもしれないが、この関係は男女が愛を育むものではないと思うのである。「その先」を狙ったのかもしれないが外しているように思う。洗面台に並ぶであろう歯ブラシが男用と女用ではなく大人用と子供用では何かが違うと思うのだが。そして、あひると蛇衣寄りに見れば最高級の愛の形かもしれないが、茜子に肩入れすると、これ以上の悲劇があるかというくらいに叩きのめされるのを見ていられなくなる。他の選択肢や展開は本当に無かったのだろうか?そう思うこと自体が読み手の身勝手な願望なのだろうか?

DSK

2021/06/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

お伽話の人物には辛い現実は必要ないというのに納得。確かにあの二人は辛い現実を受け入れようとしなかったよね。あの二人にウへェとなったのは微妙な不幸自慢感が滲み出ていたからかなぁ。というかハッピーエンドが成功するのなら、恋の病も治るんじゃないの…? この話の本当の主役で一番真っ当だったのは茜子だな。

Posted byブクログ

2010/09/05

恋をすると死んでしまう病に立ち向かう物語の完結。 それぞれの兄妹(姉弟)たちの物語の結末は、 暖かくて、せつなくて、悲しい、ハッピーエンド。 愛が歪んでいるのに、せつなさを感じる。 綺麗な願いの為に歪んだ行動が連鎖されていく展開。 傷つけるのも傷つくのも登場人物の心だから、 ...

恋をすると死んでしまう病に立ち向かう物語の完結。 それぞれの兄妹(姉弟)たちの物語の結末は、 暖かくて、せつなくて、悲しい、ハッピーエンド。 愛が歪んでいるのに、せつなさを感じる。 綺麗な願いの為に歪んだ行動が連鎖されていく展開。 傷つけるのも傷つくのも登場人物の心だから、 読み進めるのが辛くなることもあった。 「兄」を思う茜子の気持ちに反して、あひるの為に行動を起こした陀依。茜子が傷つく姿は痛々しい。 そして、妹の茜子を護れる男らしい「兄」になりたかった陀依の本音も何か辛いものを感じられた。 茜子には幸せな未来があると願いたいです。 読了 2010/09/05

Posted byブクログ